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【風まかせ文芸部】予感の味|エッセイ


タイトル:予感の味

朝のコーヒーを飲んだ時、今日はいい日になりそうだと思うことがある。

反対に、空を見上げただけで何となく落ち着かない日もある。

根拠はない。

誰かに説明できるわけでもない。

それでも、人は時々「予感」を味わっているのだと思う。

予感には、味がある。

楽しみな予定を控えた朝は、少し甘い。

初めての場所へ向かう日は、炭酸のように弾ける。

大切な人に会う日は、温かいスープのように心に染みる。

逆に、不安な日の予感は少し苦い。

飲み慣れていない薬のように、喉の奥へ残ることもある。

でも振り返ってみると、その予感は案外当たらない。

心配していたことは何も起こらず、笑って一日を終えることも多い。

だから最近は、予感を信じすぎないようにしている。

味わうことはする。

けれど、それだけで今日を決めつけない。

今日という一日は、まだ何色にも染まっていないからだ。

嬉しい出来事が待っているかもしれない。

思いがけない出会いがあるかもしれない。

何も起きなくても、それは穏やかな一日だったということだ。

私は今日も一口、お茶を飲む。

どんな味がするだろう。

それは未来の味ではなく、今この瞬間の味だ。

だからゆっくり味わっていこうと思う。

一日の終わりに「いい日だった」と言えたなら、それが一番おいしい予感になるのだから。



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