Photo by
nyanyone
【風まかせ文芸部】予感の味|エッセイ
タイトル:予感の味
朝のコーヒーを飲んだ時、今日はいい日になりそうだと思うことがある。
反対に、空を見上げただけで何となく落ち着かない日もある。
根拠はない。
誰かに説明できるわけでもない。
それでも、人は時々「予感」を味わっているのだと思う。
予感には、味がある。
楽しみな予定を控えた朝は、少し甘い。
初めての場所へ向かう日は、炭酸のように弾ける。
大切な人に会う日は、温かいスープのように心に染みる。
逆に、不安な日の予感は少し苦い。
飲み慣れていない薬のように、喉の奥へ残ることもある。
でも振り返ってみると、その予感は案外当たらない。
心配していたことは何も起こらず、笑って一日を終えることも多い。
だから最近は、予感を信じすぎないようにしている。
味わうことはする。
けれど、それだけで今日を決めつけない。
今日という一日は、まだ何色にも染まっていないからだ。
嬉しい出来事が待っているかもしれない。
思いがけない出会いがあるかもしれない。
何も起きなくても、それは穏やかな一日だったということだ。
私は今日も一口、お茶を飲む。
どんな味がするだろう。
それは未来の味ではなく、今この瞬間の味だ。
だからゆっくり味わっていこうと思う。
一日の終わりに「いい日だった」と言えたなら、それが一番おいしい予感になるのだから。
了

*下記企画に参加させて頂きました*
☆次の作品はこちらです↓↓↓
前回の作品はこちらです↓↓↓
最後までお読み下さり、ありがとうございます😊
いいなと思ったら応援しよう!
読んで下さりありがとうございます!励みになります!