ヨル編第14章 野生児?
前回のお話
皆さんこんにちは!
前回は狩りを通じて命の重みを肌で感じたヨルのお話でした。
今回は、日常回のようなお話です!
気づけば、あの山での暮らしにもすっかり慣れていた。最初こそ何もかもが不安で、夜になるたびに家族のことを思い出して泣いていたけれど、今では日々の営みの中に小さな楽しみを見つけられるようになっていた。
兄さんやのっぽさんたちが狩りに出るあいだ、ヨルは洞窟の外で薪を集めたり、果実を探したり、時には水場まで足を延ばしたりした。最初のころは外出を禁じられていたが、いつの間にか一人で山道を歩くことも許されるようになっていた。
(おとなしくしていたご褒美……なのかな)

こっそり木の枝を削って、弓の形を真似してみた。もちろん本物の弓ではない。ただの木の棒と麻ひもを結んだだけの玩具。でもそれを構えるだけで、胸の奥が少し高鳴る。父の姿を思い出すのだ。
兄さんのように強くなりたい。けれど同じように命を奪うことは、まだ怖い――そんな複雑な気持ちを抱えながら、ヨルは山の暮らしに順応していった。
洞窟の夜、焚き火の前ではお頭たちが時々酒を飲んで笑い合っていた。
(あれ……どこでお酒なんて手に入れてるんだろう)
気になって尋ねると、兄さんは曖昧に笑って「まあ、山の外にも知り合いはいるんだ」とだけ言った。その言葉が妙に引っかかって、ヨルはある日ひとりで森を抜けてみた。

木々の合間から光が差し、開けた先に人々の暮らす町が見えた。小さな家が立ち並び、煙があがり、人の声が響いていた。
(あれが……町……?)
生まれて初めて見る光景に、胸が高鳴ると同時に足がすくんだ。賑わいの中へ踏み出す勇気は出ず、結局そのまま引き返した。
その日の夜、正直に兄さんに報告すると「今度、おつかいでもしてみるか?」と言われて驚いた。
「お、おつかい……?」と目を丸くすると、兄さんは笑って「お金を渡すから、頼んだ物を買ってくるだけだ」と説明してくれた。
だが、想像しただけで不安が込み上げた。町の中で迷ったらどうしよう。知らない人に話しかけられたら? それに、お頭やヒゲさんを連れて行ったら一発で怪しまれる。結局、その話は立ち消えになった。

それでもヨルは落ち込まなかった。山の暮らしは、彼女にとって学校のようなものだった。
火の起こし方、水の見つけ方、食べられる草の見分け方。どれも日々の中で少しずつ覚えていった。
(たぶん、町の子たちとは全然違う生き方なんだろうな)
世間知らずで、でも逞しく。山で風と獣と語り合う少女は、少しずつ“野生児”のようにたくましくなっていった。
──とはいえ、そんな彼女でも人との温もりだけは決して忘れていなかった。
人恋しさと静けさ、その両方を抱えながら、ヨルの山での日々は今日も静かに続いていく。
少しずつ…穏やかな気持ちになっていきました。
ヨルは今後どのような道を選ぶのでしょう…?
今回はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、今日も明日も皆さんにとって良い一日になりますように♪
