【機関の景色】米雇用統計の夜、半導体ではない3業種を私は買った
「2026年8月時点の記録」として、雇用統計の夜の建玉ノートを書きます。
雇用統計の夜、私が買ったのは半導体じゃなかった。投下142万円、3業種、建値は全部この記事に書く。
2026年8月時点の、私の口座の実測です。
先に言っておく。この記事、「雇用統計が強かったから株が上がる」みたいな話は一行も出てこない。そういうのは無料のニュースサイトが5分で教えてくれる。私が書くのは『機関のデスクが、雇用統計の翌朝、日本株のどのボタンから押していくか』という順番の話。デスクにいた7年、毎月これを見てた。
この記事を読むべき人を、先に絞る。
・日本株の現物を300万円以上持っていて、高配当セクターを1つ以上組み込んでる人
・雇用統計の夜に「明日の寄り、どうしよう」と眠れなくなったことがある人
・NISA成長投資枠がまだ100万円以上余っていて、8月中に何か入れたい人
成長投資枠の使い道、口座の中でずっと迷ってる人は結構多い。制度の全体像を1冊で掴んでおくだけで、判断のスピードが変わる。図解 新NISAの教科書は1,500円くらいで読めて、今日の記事の後半で出す「非対称の損切り」の考え方ともつながってる。制度を知らないまま枠だけ余らせてるのが一番もったいない。
逆に、読まなくていい人。
・信用取引で日経先物を回してる人(この記事は現物の話しか出てこない)
・元本割れが1円も許容できない人。今日は帰って寝て
・「どの銘柄が上がりますか」だけ知りたい人。答えは書かない。判断基準だけ書く
そして、これを今日読まないとどうなるか。
日本株の3月期決算企業の中間配当、その権利付き最終日は9月29日。今日は8月8日。残り52日。この52日の間に、高配当セクターは『機関の買いで一度持ち上がって、9月末に個人の投げで一度落ちる』という毎年同じ形をやる。今この記事を閉じたら、あなたは9月末に「なんで8月に拾わなかったんだろう」と口座を見ることになる。私は3年前、それをやった。
【この記事でわかること】
1. 雇用統計の夜、機関のデスクで実際に何が起きているか(執行の順番)
2. 私が投下した142万円の内訳(3業種・建値・株数)
3. 買わなかった1業種と、その理由
4. 高配当セクターの「配当利回りだけ見る人」が獲られる仕組み
5. 中間配当までの52日で見るべき日付カレンダー
📌 あわせて読みたい
・【建玉記録】日銀の買い入れ要請、元金利デスクの私が拾った3銘柄
・【実弾】防衛関連株の出遅れ3銘柄、投下187万円の全数字を出す
🌙 22時30分、雇用統計が出た夜のログ
まず記録から置く。私のノートはいつもこの形。私はこの手の記録を証券アプリのメモじゃなくて紙に手書きしてる。方眼の家計簿ノートを建玉ノート代わりに使ってて、800円くらいの安物だけど、デジタルより数字が記憶に残る。打ち込むより書くほうが、後で見返したときの反省が濃くなる。
【記録】2026年8月7日(金)
・21:30 米雇用統計 非農業部門雇用者数 発表
・21:31 ドル円 154円台前半 → 155円台へ振れる
・21:45 CME日経225先物 夜間、前日比プラス圏で推移
・22:10 私、証券アプリの「予約注文」画面を開く
・22:34 3業種・9銘柄の寄成注文をセット。合計 142万円
・翌8月10日(月)09:00 全約定
【所感】
この夜、SNSのタイムラインは半導体の話で埋まってた。「AI半導体、明日はぶっ飛ぶ」「キオクシアどうする」。わかる。値幅が出るから面白い。
でも私は半導体を1株も買ってない。
理由はひとつ。デスクにいた頃はね、雇用統計の翌営業日の日本株で、私たちが最初に触るのは半導体じゃなかったのよ。

🏦 デスク7年で見た「発注の順番」
ここが、この記事で一番書きたかったところ。
機関のトレーディングデスクには、雇用統計の翌朝、こういう流れがある。私が外資の自己勘定デスクにいた7年、月に一度、必ず見てた景色。
【記録】翌営業日の朝、デスクで起きること
・07:30頃 前夜の米金利(特に10年債利回り)の水準を全員で確認
・08:00頃 運用部から「金利前提の変更」の連絡が回る
・08:20頃 執行部隊に発注リストが降りてくる
・09:00 寄り付き、リストの上から順に流れる
そのリストの『上の方』に何が並ぶか。
金利が上がった翌朝は、銀行・保険。金利が下がった翌朝は、電力・不動産・REIT。そして為替が円安に振れた翌朝は、商社と海運が動く。
半導体は、その後。
なぜか。半導体は「米国の個別株の値動き」に反応する銘柄群だから、機関は米国市場の引け値を見てから、日本時間のもっと後で調整することが多いのよ。対して銀行や電力は「金利」という一枚の数字で機械的に判断できる。判断が速い分、発注が先に出る。
これ、証券会社のレポートには書いてない。書けないの。「うちのデスクはこの順で流します」なんて公表したら執行が読まれる。
つまり、あなたが朝9時に「半導体が上がってる!」と気づいて飛び乗るとき、機関はすでに8時20分の発注リストで別の場所を触り終えてる。そこ、獲られる側よ。
💡今日できる1アクション
今夜、米10年債利回りの終値を1回だけメモして。数字を書くだけでいい。3回続けると、翌朝の日本株の並びが見えてくる。

💰 投下142万円の中身を全部出す
口座の数字から言うわ。8月10日の寄りで約定した3業種、142万円ちょうどではなく1,423,600円。
内訳をセクター単位で分解する。

配当利回りの加重平均は、私の建値ベースで4.1%。ここから税金が20.315%引かれるので、手取りベースの実質は約3.27%。
「4%の高配当!」と書いてある記事の8割は、税引き前の数字を出してる。手取りで考えないと、143万円の年間配当は58,368円のつもりが、実際は46,500円くらい。この1万2千円の差、3年で3万6千円。ラーメン18杯分よ。
【判断】
なぜこの3つか。共通点は『金利と為替という2つの数字だけで、機関が発注の是非を判断できるセクター』だから。個別企業の業績を精査しなくても、マクロの一枚で買い判断が出る。だから発注が速い。だから雇用統計の翌朝に効く。
これが、私が半導体を触らなかった理由の全部。半導体を否定してるんじゃない。「雇用統計の夜」という材料に対して、反応の順番が遅いというだけ。

📉 私が買わなかった1業種と、その痛い理由
ここ、正直に書く。書いたら少し恥ずかしい話も混ざる。
私が候補に入れながら、最後に外した業種がある。
『不動産・REIT』。
金利が下がる局面なら本来これが一番きれいに走る。理屈は完璧。それでも外した。
理由は、2024年の秋に私が同じ形で獲られたから。
【記録】2024年10月の失敗
・米金利が下がった翌朝、REITを寄りで買い
・投下額 2,180,000円
・3営業日後、日銀の追加利上げ観測の記事1本で急落
・損切り実行 ▲317,000円
31万7千円。この数字、いまだに覚えてる。画面を見た瞬間、絶句した。
何を間違えたか。米金利だけ見て、日本の金利を見てなかったの。REITと不動産は『日米の金利の差』じゃなくて『日本の金利そのもの』で動く。米雇用統計は、日本の金利にはワンクッション置いてしか効かない。
つまり、材料と銘柄の対応がズレてた。
マーケットは優しくないけど、公平ではあるのよ。私が読み違えた分だけ、正確に31万7千円取っていった。
だから今回、日銀の金融政策決定会合の日程を確認した上で外した。理屈が正しくても、材料の当たり方がズレてるなら触らない。これは秋までの話だと思って見てる。
⚠️今日できる1アクション
自分の保有銘柄を1つ選んで、「この株は日本の金利で動くのか、米国の金利で動くのか」を紙に書いてみて。書けない銘柄があったら、それがあなたの次の▲31万円よ。

📊 配当利回りだけ見る人が、静かに獲られていく仕組み
これは業界の中の人しか言わない話。
証券会社の営業が高配当株をすすめるとき、必ず「利回り4.5%です」と言う。嘘じゃない。でも1つ黙ってることがある。
『配当利回りは、株価が下がると上がる』という当たり前の事実。
利回り6%の銘柄を見つけて「お得だ」と思うとき、その6%は、株価が3割下がった結果としての6%であることが非常に多い。分母が縮んだだけ。会社が儲かってるわけじゃない。
私がスクリーニングで最初に切る条件を書く。
・配当性向が80%を超えている → 切る(利益以上に配ってる。続かない)
・過去3年で減配が1回でもある → 保留(連続性が命)
・自己資本比率が同業平均を大きく下回る → 切る
・配当利回りが同業平均の2倍以上 → 疑う(罠の確率が高い)
この4つで、高配当銘柄リストは半分以下になる。残った方が本命。
そしてこの「配当を出し続ける企業だけが長期で勝つ」という考え方の原典が、『株式投資の未来』(シーゲル)。成長株より地味な高配当株が最終的に上回った検証データが載ってて、私がデスク時代に上司から最初に渡された1冊がこれだった。
ちーちゃんに先週、これを聞かれた。「りん、利回り7%の株見つけたんだけど、これ買ったらお金増えるってこと?」
貯金オンリーの親友が、めずらしく証券アプリを開いてた。画面には、私が上の4条件で真っ先に切るタイプの銘柄が映ってた。
……ちーちゃんのそれは笑わない。私が最初に教わったことから話すね。そう言って、配当性向という言葉から順番に説明した。ワイン2杯分の時間がかかった。

🗓️ 中間配当までの52日、私が見てる日付
ここから先が、この記事の実務パート。
高配当セクターは、8月から9月末にかけて『毎年ほぼ同じ形』をやる。これは私の主観じゃなくて、権利日という制度が作る構造。
・9月29日:3月期決算企業の中間配当、権利付き最終日
・9月30日:権利落ち日(理論上、配当分だけ株価が下がる)
・この2日をまたぐかどうかで、税金と値動きの見え方が完全に変わる
権利落ちで下がった分は、いずれ戻るのか、戻らないのか。ここの読み違いで毎年おそろしい数の個人が損切りしてる。私も1年ムダにしたことがある。
そして、この52日で「いつ買い増すか」の判断に、手数料の設計が地味に効いてくる。私は建玉を分割して入れるので、1回あたりの約定金額が小さくなる。回数が増えると手数料が積み上がる。もし52日間で5回に分けて拾う戦略を取るなら、日本株の売買手数料が業界最安水準で米国株の手数料が0円のネット証券口座を分割用に1つ持っておくと、回数を増やしても手数料負けしない設計にできる。
私は入金するたびに、ちょっとした儀式を作ってる。分割の端数、たとえば375,600円みたいな半端な金額を入れたときのお釣り感覚で、余った小銭を陶器の貯金箱に放り込む。1,500円くらいの安いやつでいい。分割を「単なる作業」にしないための、ちいさな仕掛け。
私の分割の考え方は、有料パートで表にして全部出す。
あなたは、9月29日の権利日を「またぐ派」?「その前に降りる派」?
コメントで教えて。答えは1つじゃないし、私も業種によって変えてる。
💎 この続き(有料パート)で手に入るもの
✅ 3業種9銘柄の建値・株数・目標・損切りラインの全記録(表で)
✅ 権利日をまたぐ/またがないの判断早見表(利回り別・52日カレンダー付き)
✅ 雇用統計の翌朝、寄り前30分でやる5ステップの手順表
✅ 「高配当の罠」を1分で判定する4条件チェックリスト(数値基準つき)
✅ デスク時代に見ていた、機関が個人を刈る2つの時間帯
ここから先で、その「具体的なやり方」を全部見せる。建値も株数も損切りラインも、隠さない。

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