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第32話|静寂の中、確かに触れた日

凛と張りつめた空氣の中で、余計なものが一枚ずつ剥がれ落ちていく感覚があった。

2022年12月3日。  
菊池市、神龍八大龍王神社。  
龍の巣の前に立ち、静かに手を合わせた瞬間、意識は言葉の外側へと滑り込んでいく。

音は確かに存在している。  
けれど、その奥にある静寂の方が、はるかに鮮明だった。  

風は流れている。  
それでも、何か大きなものの中で“止まっている”ような、不思議な感覚。

ここは、外を整える場所ではない。  
内側の“ズレ”を、静かに正してくる場所だ。

整うとは、足すことではない。  
本来ではないものを、手放していくこと。

その本質を、思考ではなく、感覚が先に理解していた。

やはりここは、“感じる”ための場だ。  
考えた瞬間に、遠ざかる。

その後、冬の菊池渓谷へと向かった。


流れる水。  
絶え間なく、
ただ流れ続けるその姿に、
“流”としての龍の在り方を感じた。

龍は特別な存在ではなく、すでにこの世界の循環そのものとして在る。  

水は、ただの物質ではない。  
命を巡らせ、場を清め、見えない領域までも整えている。

青。

その色に触れたとき、内側に溜まっていた“何か”が、言葉にならないまま解けていった。

洗われる、という表現では浅い。  
もっと深い層で、本来の自分へと戻されていく。

「来て良かった」

この一言の中に、すべてが凝縮されていた。

そして、ふと確信に近い感覚が降りてくる。

龍神さん。

見たわけではない。  
けれど、“観られている”という感覚だけが、確かにそこにあった。

目が合った、というよりも、存在同士が重なったような感覚。

恐れは一切ない。  
ただ、深く包まれるような安堵。

守られている、というよりも、もともと繋がっている。

そう気づいた瞬間、自然と出てきた言葉。

ありがとう。

その言葉は、誰かに向けたものではなく、すべてに対してだった。

隣を見ると、嫁さんも同じ空氣の中にいた。

寒さの中で、何度も何度も  
「ほんと気持ちいいね」  
と、無邪気に言葉を重ねていた。

人は、本当に心地よいとき、余計な演出をしない。  
ただ感じたままを、そのまま表現する。

それが、本来の在り方なのだと思う。

ただ、感じる。  
ただ、在る。

それだけで、十分に満たされている時間だった。

そして最後に、静かに腑に落ちた。

この一日は、“行動”という選択がなければ、存在しなかったということ。

知識は、入口に過ぎない。  
理解は、通過点に過ぎない。

体験だけが、すべてを確信へと変える。

“その場に立つ”という一歩が、世界の見え方を変える。

「地球は行動の星」

この言葉は、単なる教えではない。  
体験した者にだけ開かれる、真理そのものだ。

動くことでしか、触れられない領域がある。  
行くことでしか、受け取れない感覚がある。

あの日の空氣も、水も、龍も、すべては最初からそこにあった。

ただ、自分が動いた。

それだけで、世界はこんなにも深く、優しく、広がっていく。

そんな一日だった。

はい全て🤗✨🐉🐲🐦‍🔥  
良氣良氣🐉


33話


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