3000冊の本を、3000人に届ける。
先日、神保町の書店「PASSAGE」で『クラクショN 〜片岡義男と僕らの夏』の出版を記念した“一日店長”イベントを行った。
お昼の12時から夜10時まで、たくさんの方が来てくれた。
みんな『クラクショN』を楽しみにして、買いに来てくれたのだけど、なかには2013年に出版した『MOTO NAVI』の「片岡義男とオートバイの旅」特集号や2015年に出版した「片岡義男とオートバイの夏」特集号を持ってきてくれた方もいた。
一冊は、何度も繰り返し読んでくれたのだろうと分かる、表紙がボロボロになったもの。もう一冊は長野県のペレファ・カフェに行って三好礼子さんにサインを入れてもらったもの。

どちらも10年以上前に発行した雑誌だ。
それをずっと書棚に収め、大事にしてくれていたのだと。
そしてこうして、僕のところに持ってきてくれたのだと。
そう思うと、本当に編集者冥利に尽きる思いだった。
いや、そんな言葉では表せないほど、嬉しくて、嬉しくて、
心から「編集者をやっていてよかった」と思えた。
かつて毎月毎月、たくさんの雑誌を発行したけど、そのうちの多くは売れ残って廃棄されたり、読み終えて処分されたり、いずれにして世の中には残っているものは少ないだろう。
それでもこうして、今も大事に保存し、残してくれている人がいる。これが“紙”の本のよさであり、出版する意味なんだと思った。
もちろんカタチとしては残っていなくても、多くの人の“胸の中”に残っているはずと、信じているけれど。
「クラクショN」は年に1冊、出せるかどうかという本だけど、丁寧に、想いを込めてつくっていきたい。
たった3000冊しか刷っていないけれど、それを3000人の「読みたい」と思ってくれる人に届けるのが目標だ。
できれば1冊たりとも、無駄にしたくない。
そして10年後、20年後も、多くの人の書棚に残っていてほしい。
いつも手元にあって、ページをめくれば心に“何か”が響く。
そんな一冊でありたい。
そしていつか、「ずっと持っています」と、誰かが大事にしてくれていた、その本に再会することができたら、本当に嬉しいだろうな。


