⑮『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第16章〜
前回の振り返り
森に踏み込んだアスラたちは、絶世の美女エルフ弓使いセレーネと遭遇した。
冷徹な矢先を突きつけられ、和解を訴える言葉は届かないかに見えた。
しかしその瞬間、森全体を揺るがす存在──森の精霊神ドルイドが顕現したのだった。
〜第16章〜 森の精霊神ドルイド
矢が放たれようとした刹那、森に光が満ちた。
枝葉から零れる無数の光粒が舞い上がり、やがて人の形を成す。
現れたのは──樹木と花々に包まれた、神秘的な美女。
長い翠の髪が風に流れ、瞳は深緑に輝いている。その身体には小さなピクシー精霊たちが寄り添い、歌うように舞っていた。
「……ドルイド……!」
セレーネが目を見開き、長弓を下ろす。
「森の精霊神……なぜここに」
ドルイドは穏やかに微笑み、アスラを見つめた。
「我が森に人間が踏み込む理由を、確かめねばならぬと思った」

共鳴する力
フェンリルが吠え、イフリートの炎が大きく揺れる。
不思議なことに、ドルイドの周囲でその二体の力が響き合い、調和していった。
「……神獣フェンリル。炎帝イフリート。お前たちが、この人間を認めるのか」
フェンリルは頭を垂れ、イフリートは炎を収める。
それは「彼は信じるに足る者」という無言の証だった。
ドルイドはアスラへ歩み寄り、緑の光を纏った指先で彼の胸の《追加ボーナス》に触れる。
「……絆の力を持つ人間か。ならば、見極める価値はある」
闇討ちの襲撃
だがその時、影の中から鋭い殺気が走った。
「今だ──精霊神を仕留めろ!」
木陰から飛び出したのは、黒装束の兵たち。王国の紋章が刻まれた装備を身に着け、目は狂気に染まっている。
「やはり……王国の闇部隊……!」レオンが声を上げる。
兵の一人が刃を振りかざし、ドルイドへと迫る。
その瞬間、アスラは迷わず飛び出した。
「させるかッ!」
黒銀の短剣が閃き、兵の武器を弾き飛ばす。
オルドの盾が突撃を受け止め、ソフィアの光矢が敵の目を射抜く。
カインとジークが影を駆け、フェンリルとイフリートが咆哮で兵を圧倒した。
短いが激烈な戦いの末、闇兵たちは倒れ伏した。

揺らぐ心
「お前たち……森を守った?」
セレーネの瞳に迷いが浮かぶ。
これまで信じていた常識──人間は森を脅かす存在という確信が揺らぎ始めていた。
ドルイドは静かに告げる。
「セレーネ。お前が矢を向けた彼らは、人の裏切りを斬り捨て、森を守った。
だから私は提案する──共に旅をし、人間というものを見極めよ」
「……私が、人間と?」セレーネの声は震えていた。
「人間を知り、信じるか否かはその先で決めればよい。だが、この者たちなら……夜明けをもたらすかもしれぬ」
アスラは短剣を収め、真っ直ぐにセレーネを見た。
「俺たちの旅は、最弱と呼ばれた俺が仲間と共に強さを証明する旅だ。……その目で確かめてほしい」
セレーネは弓を下ろし、深く息を吐いた。
「……分かった。人間を信じるなんて、まだ到底できない。けれど……見極める旅なら、悪くない」
その瞳に宿る光は、敵意ではなく揺らぎ。
氷のような冷たさに、初めて人間への興味が灯った瞬間だった。
あとがき(第16章)
森の精霊神ドルイドは、絶世の美女として顕現し、ピクシーに慕われる姿でアスラたちを試した。
王国の闇兵を退けたことで、彼らは「森を守った者」として認められる。
ドルイドの提案により、セレーネは旅に加わり、人間を見極める決意をする。
次章──エルフの里で待つのは、さらなる試練か、それとも新たな絆か。
読者の皆さまへ
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セレーネが揺らぎ始めた心、皆さんならどう受け止めますか?
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