⑦『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第8章〜
前回の振り返り
街で広がる妬みの影。
アスラは赤牙の挑発を受け、街外れの塔で新たな仲間──無詠唱の魔女ソフィアと出会った。
極度の人見知りながら、その魔力は規格外。
アスラのパーティーはさらに強さを増し、次なる戦いへと進み出す。
第8章 双剣の嵐
森の奥、古びた石橋の上でアスラたちは立ち止まっていた。
依頼は「山賊討伐」。
最近、街道を荒らす盗賊団が増えており、商人たちがギルドに泣きついていた。
「ゴブリンじゃなく人間相手か……油断できないな」
アスラは短剣を握り直す。
リュカは低く唸り、フィルは肩で小さく炎を揺らす。
ミリアが冷静に状況を見渡し、ソフィアはフードを深くかぶりながら震えるように隠れている。
その時だった。
「おーい! お前らか? この依頼に来たのは!」
明るい声と共に、橋の向こうから一人の青年が現れた。
赤茶の髪を後ろで束ね、腰には二振りの剣。
その目は熱く、何よりも自信に満ちていた。
「俺はカイン! 双剣を使う冒険者だ。今回の依頼、同行させてもらうぜ!」
勝手に名乗り、勝手に加わる勢いにアスラは思わず目を瞬いた。
「……勝手だな」
「ははっ! でも心配すんな、前衛は得意だ。兄貴──いや、リーダーに任せてもらう!」
勢いのまま「兄貴」と呼ばれ、アスラは苦笑した。
やがて盗賊団のアジトに辿り着くと、待ち伏せしていた山賊たちが一斉に飛び出した。
「かかれぇっ!」
十数人が武器を振りかざし、襲いかかってくる。
「リュカ!」
子狼が先頭の一人に飛びかかる。
「フィル!」
炎が渦を巻き、敵を弾き飛ばす。
ソフィアは震えながらも小さな呪文を呟き、無詠唱の光弾が敵を貫いた。
「へへっ、こりゃあ熱いな!」
カインは双剣を抜き放ち、風のような速さで敵陣へ飛び込む。
右の刃で敵の剣を受け流し、左の刃で一閃。
目にも止まらぬ連撃が敵を切り伏せる。
「兄貴、後ろは任せろ!」
背中合わせで戦う構図に、アスラは短く答えた。
「ああ、頼んだ」

だが敵は数が多い。
盗賊団の頭目が現れ、大きな斧を振りかざして突っ込んできた。
「てめぇらまとめて叩き斬ってやる!」
アスラは盾を構えたが、重い一撃に押し込まれる。
その瞬間、カインが横から飛び込み、双剣で斧を弾き返した。
「兄貴、下がれ! ここは俺がやる!」
炎のように舞う双剣の乱舞。
次々と繰り出される斬撃に頭目は防戦一方となり、最後はアスラが突き込んだ短剣で決着をつけた。
「……ふぅ、終わったな」
「ははっ! いい連携だったろ? 兄貴!」
リュカが尻尾を振り、フィルが炎で小さな輪を描く。
ソフィアは少し顔を赤らめながらも、静かに頷いた。
ミリアが柔らかく告げる。
「主君……また新しい仲間が加わりましたね」
アスラは短剣を収め、カインに視線を向けた。
「……勝手に兄貴呼ばわりはやめろ」
「え? ダメか? じゃあ“相棒”で!」
「……もっとやめろ」
しかし、その笑顔に嘘はなかった。
双剣剣士カインが加わり、パーティーはさらに力を増していった。
あとがき(第8章)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第8章では新たな仲間── 双剣剣士カイン が登場しました。
勢いと熱血さが持ち味で、アスラを「兄貴」と慕い、戦闘では俊敏かつ頼れる前衛として活躍します。
最弱と呼ばれたアスラの周りに、少しずつ仲間が集まり「パーティーらしさ」が強まってきました。
次回、第9章「言葉の支配者」。
戦術を操る新たな仲間との出会い、そしてリュカ進化の兆しが訪れます。
どうぞご期待ください!
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