〜第87夜〜「次の案内は、ありません」
🕯️ はじめに
ナビって便利ですよねぇ……。
目的地を入れれば、
迷わずに連れて行ってくれる……。
「次を右です」
「この先、左です」ってね……。
でもね……
その“案内”がね……
本当に、あなたのためのものだと……
言い切れますかねぇ……。
えぇ……
たまにね……
“誰も設定していない目的地へ向かう案内”が
流れることがあるんですよ……。
これはね……ある男性が、夜に車を走らせていたときの話なんですが……。
特に目的もなく、ドライブしていたそうなんです。
ナビはつけていない。
ただ、音楽だけ流して……。
でね……
静かな道を走っていると……
突然、ナビの音声が流れたんです。
「この先、右方向です」
……えぇ?
ナビなんて使っていないのに……。
最初はね……
誤作動か何かだと思ったそうです。
でもね……
その道、ちょうど右に曲がる分かれ道があった。
なんとなく……
そのまま、右に曲がってしまった。
えぇ……。
その瞬間ですよ。
「そのまま、進んでください」
……はっきりと、聞こえた。
ナビの声なんですけどね……
どこか、違う。
抑揚がないというか……
感情が、ない。
でもね……
なぜか、逆らえない。
そのまま進んでしまう。
しばらく走ると……
また、音声が流れる。
「次を、左です」
言われた通りに曲がる。
だんだんとね……
道が細くなっていくんです。
街灯もなくて……
車も通らない。
でも……
ナビは止まらない。
「そのままです」
「この先、直進です」
……えぇ。
途中でね……
気づいたそうなんです。
これ……
“どこにも向かっていない”って。
目的地も設定していないのに……
ただ、進ませているだけ。
怖くなってね……
車を止めようとした。
その瞬間……
ナビが、初めて“違うこと”を言ったんです。
「止まらないでください」
……えぇ。
明らかにおかしい。
無視して、ブレーキを踏んだ。
車は止まる。
その瞬間……
音声が、途切れた。
……静かになった。
でもね……
バックミラーを見たとき……
“後ろの席に、誰かが座っていた”そうなんです。
えぇ……。
誰も乗せていないはずなのに……。
その人……
ゆっくりと、顔を上げて……
こう言ったそうです。
「まだ、案内の途中です」
……えぇ。
気づいたときには……
また車が、動き出していたそうなんですよ……。
📝 あとがき
ナビっていうのはね……
“導くもの”ですよねぇ……。
でもね……
その“導き”が、どこに向かっているのか……
それを知らないまま、従ってしまうと……
どうなるんでしょうねぇ……。
案内っていうのは……
終わるから、安心できるんです。
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この話の核心――
なぜナビが“勝手に起動したのか”
なぜ“止まることを拒否したのか”
そして「案内の途中」とは何を意味するのか……
ここでしか読めない解釈をお話しします……。
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