〜第86夜〜「帰り道が足りない」
🕯️ はじめに
ゴールデンウィークってね……
楽しいはずの時間なんですよ……。
遠くへ行ったり、久しぶりに会ったり……
“いつもと違う場所”に行くことが多いでしょう……?
でもね……
“行き”があるなら、“帰り”もあるはずなんです。
当たり前の話ですよねぇ……。
えぇ……
その“帰り”がね……
ひとつ、足りなくなることがあるんですよ……。
これはね……GWに、家族で出かけたときの話なんですが……。
車で、山の方へ向かったそうなんです。
渋滞を避けてね……
ナビに出てきた“抜け道”を通った。
細い道で、車もほとんど通らない……
でも景色はきれいでね……。
子どもも喜んでいたそうです。
で、しばらく走っていると……
小さなトンネルがあった。
古くてね……
ライトも暗い。
でもまぁ、よくある感じの……。
そのまま入って、抜けた。
えぇ……それだけのことです。
その日は何も起きなかった。
観光して、ご飯食べて……
普通に楽しい一日だったそうです。
でね……帰りですよ。
同じ道を戻ろうとした。
ナビも、来た道を示している。
でもね……
あのトンネルが、見つからないんです。
えぇ……。
「あれ?こんな道だったっけ?」って……
何度も同じところを通る。
でも……
トンネルがない。
おかしいなと思ってね……
近くの店で道を聞いたそうなんです。
するとね……
店の人が、こう言った。
「この辺にトンネルなんて、ありませんよ」
……えぇ?
ってなりますよねぇ……。
でもね……
家族全員、覚えている。
確かに通った。
狭くて、暗いトンネル……。
でね……
その時、子どもが言ったんです。
「もう一回、通らないとダメなんだよ」
……えぇ。
何を言ってるのか分からない。
でもね……
その子、ずっと後ろを見てるんです。
来た道じゃない……
“違う方向”を。
「まだ、帰ってきてないって」
……そう言ったそうです。
怖くなってね……
その日は別の道で帰った。
家に着いて……
ほっとした、その夜ですよ。
車のドライブレコーダーを確認したんです。
ちゃんと記録が残っているか……
えぇ……。
最初は普通の映像。
山道、景色……
そして……
あのトンネルが映っていた。
確かに、存在している。
でもね……
問題は、その“出口”なんです。
トンネルの中は、普通なんですよ。
暗くて、ライトで照らされて……
でも……
出口に近づくにつれて……
映像が、少しずつ暗くなっていく。
そして……
出口の直前で――
“車がもう一台、前にいる”のが映る。
えぇ……。
そんな車、いなかったはずなんです。
でもね……
その車……
出口の“向こう側”に、止まっている。
で……
こちらが出ようとすると……
その車のドアが、開いた。
中から誰かが出てくる。
顔は見えない……
でも……
はっきりと、こちらを見ている。
そしてね……
その人が、こう口を動かしたそうなんです。
「まだ、来てないよ」
……えぇ。
その瞬間、映像は終わる。
でね……
その後の映像が、ないんですよ。
トンネルを抜けた記録が……
どこにも残っていない。
📝 あとがき
帰るっていうのはね……
“元の場所に戻ること”ですよねぇ……。
でもね……
その“元の場所”って……
本当に、同じ場所なんでしょうか……。
道っていうのは……
つながっているようで……
実は、分かれているのかもしれません……。
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この話の核心――
なぜトンネルが“存在しなかった”のか
なぜ出口に“別の車”がいたのか
そして「帰りが足りない」とはどういう意味か……
ここでしか読めない解釈をお話しします……。
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