〜第93夜〜「誰も話していない内容」
🕯️ 百物語 完結まで
残り──7話。
……ここまで来ましたねぇ。
最初はね……
ひとつひとつ、別の怪談だったんです。
でも……
90話を超えた頃から、
どこか繋がり始めている。
同じ声。
同じ席。
同じ違和感。
そして……
誰も覚えていないはずの話。
えぇ……。
百物語にはね……
「語られていない一話が混ざる」
そんな言い伝えがあるんですよ……。
誰も話していない。
誰も聞いた覚えがない。
なのに……
なぜか全員が、その内容だけは覚えている。
……では、第93夜。
お話ししましょうか……🕯️
📌 視えてしまう世界の話
〜第93夜〜
「誰も話していない内容」
🕯️ はじめに
人の記憶ってね……
曖昧なんですよ……。
何を食べたか。
誰と話したか。
意外と、忘れてしまう。
でもね……
なぜか忘れられない話って、ありませんか……?
しかも……
それが、いつ聞いたのか思い出せない。
えぇ……。
百物語ではね……
そんな“出所のない記憶”が、混ざることがあるんですよ……。
これはね……
ある高校の卒業生たちが、同窓会で集まった夜の話なんですが……。
久しぶりに集まってね……
昔話をしているうちに、
「百物語やってみよう」
そんな話になった。
場所は、昔の部活で使っていた部室。
もう取り壊しが決まっていた古い建物です。
参加者は9人。
スマホのライトだけを頼りに、
順番に怪談を語り始めた。
最初はね……
学生時代の思い出話ですよ。
学校の怪談や、肝試しの話。
でも……
93話目を数えた頃。
ひとりの女性が、ふと聞いた。
「……さっきの話、誰がしたの?」
みんな、きょとんとする。
「どの話?」
すると彼女が言った。
「赤い傘の子の話……」
……えぇ?
誰も、そんな話はしていない。
でもね……
不思議なんです。
全員、その話の内容を知っている。
雨の日。
学校の渡り廊下。
赤い傘を持った女の子。
そして……
絶対に後ろを振り返ってはいけない。
みんな、覚えている。
細かいところまで。
でも……
誰が話したのかだけ、分からない。
空気が変わった。
ひとりが言った。
「……今、誰か話してたよな?」
別のひとりが答える。
「うん……聞いた……気がする。」
その時ですよ……
部室の隅から、
ページをめくる音がした。
パラ……。
パラ……。
誰も動いていない。
なのに……
音だけがする。
見るとね……
卒業アルバムが、一冊だけ開いていた。
誰も触っていない。
恐る恐る近づく。
すると……
あるページで止まっていた。
集合写真。
その写真の下に、
手書きで、こう書かれていた。
『この話は、まだ終わっていない。』
……えぇ。
そんな文字、誰も書いた覚えがない。
その時です。
女性のひとりが、小さく叫んだ。
「……いた。」
みんなが振り向く。
彼女は、写真の一点を指さしていた。
そこには……
赤い傘を持った女の子が、写っていたそうなんですよ……。
📝 あとがき
人ってね……
記憶を共有することがあるんですよ。
同じ時間。
同じ場所。
でも……
存在しない記憶まで共有してしまったら……
それは、誰の記憶なんでしょうね……。
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この話の核心――
なぜ誰も話していない怪談を全員が覚えていたのか。
なぜ卒業アルバムに文字が現れたのか。
そして……
赤い傘の少女は、本当に“写真の中だけ”にいたのか……。
ここでしか読めない解釈をお話しします……。
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