⑰『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第18章〜
前回の振り返り
ドルイドの顕現、王国闇兵の襲撃、そしてアスラがドルイドを庇った一幕。
セレーネは心に迷いを抱きつつも「人間を見極める」ために旅へ加わる決意を固めた。
だが、エルフの里ではなお人間への疑念と憎悪が渦巻いていた。
〜第18章〜 エルフの里の試練
大森林を抜けると、そこには人智を超えた光景が広がっていた。
巨木の枝を編んで築かれた楼閣、宙を渡る木の橋、葉に宿る光が夜空の星のように瞬いている。
それが、エルフの里──「リュミエール」。
だが幻想的な景観とは裏腹に、彼らを迎えた空気は冷たい。
エルフたちは剣と弓を携え、アスラ一行を監視するような目で睨みつけていた。
長老の間
里の中心にある円形の会議場。
古木を削り出した椅子に座る長老たちの視線は重く、敵意と猜疑心を隠そうともしない。
「セレーネよ。なぜ人間を伴った」
「森を護ったのは彼らです。ドルイド様が認めました」
だがその言葉に、議場はどよめいた。
「ドルイドが? まさか人間などを……」
「そやつらが王国と通じている可能性は?」
「国境の兵の動きを知らぬとでも言うのか!」
矢継ぎ早に浴びせられる疑念。
アスラは沈黙を守る。反論しても意味がないと悟っていた。
そんな中、杖をついた長老が告げる。
「ならば試せばよい。我らの敵でないのなら、証を示せ。──黒牙狼を討伐せよ」
黒牙狼の名
その名を聞いた瞬間、議場の空気がさらに張り詰めた。
「黒牙狼……?」アスラが呟く。
エルフの戦士が説明する。
「かつては森に生きるただの狼だった。だが、闇に蝕まれ、今では人も獣も見境なく襲う怪物だ。牙は鋼をも砕き、群れを率いる力を持つ。討伐に向かった我らの仲間も……二度と戻らなかった」
ざわめく声。
「人間には務まらぬ」
「むしろ奴らを送り出して、黒牙狼に葬らせればいい」
憎悪と嘲笑が飛び交う中、アスラはゆっくりと立ち上がった。
「……受けます。その試練を」
仲間たちが顔を上げる。
オルドが拳を握り、ソフィアが不安げに祈る。カインとジークは剣を構え、リュカとフィルも獣と炎の気配を強めた。
セレーネの決断
その時、セレーネが一歩前に出た。
「待ってください。──私も同行します」
議場が揺れる。
「セレーネ様、何を仰るのです!」
「人間と共に行動など……!」
セレーネの碧眼は揺るがなかった。
「彼らが敵か味方か、私がこの目で見極めます。
もし彼らが森を裏切れば……私がその矢で貫きましょう」
静寂。
長老たちは互いに視線を交わし、やがて重々しく頷いた。
「よかろう。セレーネ、お前が監視役となれ。……ただし裏切れば、その命で償わせる」
「承知しました」
その声には覚悟があった。だが心の奥底では、すでに揺らぎが生まれていた。

森の奥へ
翌日。アスラたちはセレーネを伴い、森のさらに奥へと進んでいた。
木々の影は濃く、空気は冷たく湿っている。鳥の声もなく、不自然な静寂が支配していた。
「……嫌な気配だ」ジークが低く呟く。
フェンリルが毛を逆立て、低く唸る。
イフリートの炎が揺らめき、森の空気を照らした。
「これが……黒牙狼の巣域」セレーネの声は硬い。だがその瞳には揺らぎがあった。
人間と肩を並べて歩く自分を、まだ信じきれない。けれど──アスラの背を見つめるたびに、心に何かが刺さる。
黒い影
突如、風が止んだ。
次の瞬間、漆黒の影が音もなく木々の間を駆け抜ける。
「っ……来る!」
アスラが叫んだ瞬間、血のように赤い眼光が闇に浮かんだ。
唸り声が森を震わせ、無数の黒い影が姿を現す。
──黒牙狼。
鋭い牙を持つ狼たちの群れ。その中心に、一際大きな影がいた。
全身を黒い瘴気に包み、鋼のような牙を剥き出しにした巨狼。
「……あれが……」
セレーネの声が震えた。
アスラは短剣を構え、仲間たちに叫ぶ。
「全員、構えろ! ──試練はここからだ!」
黒牙狼の咆哮が森を震わせ、死闘の幕が上がった。

あとがき(第18章)
エルフの里の議会で下された試練は「黒牙狼討伐」。
セレーネは人間を見極めるため、自ら同行を申し出てパーティーに加わる。
そしてついに、黒牙狼の群れと遭遇。仲間たちの力と絆が試される死闘が始まろうとしている。
読者の皆さまへ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
セレーネが「同行」を選んだ場面、どう感じましたか?
「もし自分が彼女なら、人間を信じるために何を見る?」ぜひコメントで教えてください
いいなと思ったら応援しよう!
🌟ぜひ応援お願いします🌟
もっとがんばります(ง •̀_•́)ง