母がヤバイ!(その11)「犬を飼っているシニアは認知症になりにくいという話」
最近、「犬を飼っているシニアは認知症になりにくい、あるいは進行を遅らせる力がある」という話を耳にした。
その言葉を聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのは母の姿だった。
母はいつも、我が家の3匹が今どこにいるのかを気にかけている。
キッチンに立ちながらも耳を澄ませ、廊下を歩くときは足元を注意深く確認し、ふとした瞬間に「あの子は今どこ?」と呟く。
まるで家の中に小さなレーダーを張り巡らせているようだ。
犬たちのモフモフした手触りは、母の心を優しく緩めている。
加えて、元気に走り回る姿は、日常に小さな活力を運び、 無防備な寝顔は安心を、そして、ひょうきんな仕草は笑いを引き出して母の表情をやわらかく変えていく。
人は年齢を重ねると、どうしても「刺激」が減っていく。
けれど犬たちは、毎日少しずつ違う動きを見せ、違う表情を見せ、違う気配を運んでくる。
その小さな変化が、母の心と頭のどこかを動かし続けているのかもしれない。
医学的な因果関係は専門家に任せるとしても、少なくとも私の目には、犬たちが母の世界を明るく、柔らかく、そして少し賑やかにしてくれているように映るのだ。
