《大学教員がひも解く総合型選抜》基礎編 #2 年内入試、何を評価するの?
こんにちは。
大学教員が指導する総合型選抜専門塾「リタック・ユース・アカデミー」(通称:リタアカ)の塾長です。
これまで国内外の大学で教育・研究に携わりながら、高校生向けに総合型選抜・学校推薦型選抜の指導も続けてきました。
これらの経験に基づき、このブログでは大学教員の視点から年内入試を読み解いていきます。
さて、前回は「大学はどのような場所であるか?」について解説しました。
今回はその内容を踏まえて、年内入試は受験生の何を評価するのか?について書きたいと思います。
前回の記事はこちらです↓
1. 年内入試をめぐるイメージ
年内入試は学科試験がない場合が多く、あっても一般選抜よりも少ない科目であることから、しばしば一般選抜に比べて楽な入試と言われます。
実際に、これまでに指導してきた生徒からも、
「楽そうだから、総合型で受験したい」
と言われることがありました。
こうしたことからメディアやSNSでも「一般選抜で入学した方が偉い」という意見が見られます。
では実際に、年内入試は「楽な入試」なのでしょうか?
これについては、「そもそも年内入試は受験生の何を評価するのか」について考えると、答えが見えてきます。
2. 年内入試、受験生の何を評価するの?
前回の記事で書いたように、大学は教育研究機関です。
大学教員は教育者であると同時に、研究者でもあります。
多くの大学では、卒業要件として卒業研究や卒業論文の提出が求められます。
つまり大学では、最終的に研究を行う力が必要になります。
研究とは、あらかじめ用意された問題に答えるものではありません。
自分で問題を見つけ、調査や実験などを通して解明していくものです。
そうだとすれば大学入試でも、単に知識の量だけではなく、入学後に研究を進めていくための力を評価することが必要です。
そして年内入試は、まさにその研究を行う力をみるための入試なのです。
その点に、次の章でついて詳しく見ていきます。

3. 年内入試はどのような試験か
年内入試は、大きく分けて総合型選抜と学校推薦型選抜があります。
そして学校推薦型選抜には、指定校推薦と公募推薦があります。

試験内容は大学によって内容は異なりますが、
・出願書類(志望理由書/入学後の計画/将来の希望など)
・面接
・プレゼンテーション
・小論文
・調査書
などが一般的です。
これらを通して大学が評価しているのは、受験生がどんな課題を見つけ、それを解明するために、どのように計画を立ててるかという研究の素養です。
たとえば志望理由書では、入学後にどのような課題に取り組みたいのか、そのためにどのような計画を立てているのかが問われます。
小論文では、文章によって考えを説明する力や、論理的に組み立てる力が問われます。
これらはどれも、実際に研究において必要な能力です。
4. 一般選抜はどのような試験か
続いて、一般選抜がどのような試験かを見ていきます。
一般選抜は、いわゆる学科試験による入試です。
一斉に試験問題を解き、その得点によって合格者を決める仕組みです。
もちろん、建築系・美術系・体育系などでは実技試験が行われる場合もありますが、多くの学部では筆記試験が中心です。
試験問題は、高校の学習範囲から出題されます。
そこで評価されるのは、誰かが発見した法則や構築した理論について、
・正しく理解しているか
・頭に入っているか
・応用できるか
という力です。
試験形式には、マークシート、記述式、論述問題、小論文などがあります。
形式は異なっても、用意された問題に解答する試験であることは共通しています。
5. 二つの入試、何が違うの?
ここまで見てきたように、年内入試と一般選抜では、問われている力に違いがあります。
大まかに言うと、
・一般選抜は、高校までの学習能力を主に評価する入試
・年内入試は、大学入学後に必要になる能力を主に評価する入試
と捉えることができます。
しかし実際には、一般選抜でも研究に必要な能力を一部で評価しています。
研究では、関連論文を読むこと、既存の知識を理解することなどが欠かせません。
また多くの分野では、英語の論文を読む力も必要です。
こうした力は、一般選抜の学科試験でもある程度評価できます。
逆に、年内入試でも調査書によって高校での成績は確認されます。

6. 年内入試は、「楽な入試」?
冒頭に書いたように、年内入試は「楽な入試」と言われることがあります。
しかし自分で問題に気付き、それを基に入学後の研究計画を作り、面接で伝えることは、決して簡単ではありません。
実際にこれらの入試内容は、日本の大学院の入試とよく似ています。
一般選抜の学科試験とは別の難しさがあり、単純に「楽な試験」とまとめられるものではありません。
7. まとめ
ここまで述べたように、一般選抜と年内入試は異なる能力を評価する入試制度です。
どちらが偉いという単純なものではありません。
では、自分はどの入試で受験するべきなのでしょうか。
次回は、一般選抜と年内入試をどう考えて選ぶかについて書きます。
次の記事はこちらから読めます↓
