お酒を飲むとよく眠れるは半分ウソ
寝つけない夜に、一杯やるとスッと眠りに落ちる。あの感覚は、気のせいではありません。お酒には確かに、寝つきを良くする働きがあります。
でも、「寝つきが良くなる」と「よく眠れている」は、同じではありませんでした。
きょうは「寝酒」——つまり、寝る直前に、眠るために飲む一杯——が、睡眠に何をしているのかを見ていきます。先に言っておくと、これは「お酒をやめましょう」という話ではありません。やめなくていい落とし所は、次回あらためて書きます。今回はまず、夜のあいだに体の中で何が起きているのかを、正確に知るところから。
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先に結論:寝酒について知っておきたいこと
急いでいる人は、ここだけで大丈夫です。
寝酒で「寝つき」が良くなるのは本当。 ここは事実です。
でも、睡眠の「後半」が壊れます。 夜中に目が覚めやすくなり、眠りが浅くなる。
やめなくていい。鍵は「いつ飲むか」と「どれだけ飲むか」。 お酒そのものより、寝るときに体内にアルコールが残っていることが問題です。飲むなら、就寝の3時間前までに切り上げる。
今夜の一歩: 「眠るために飲む」を、一度だけ手放してみる。
「なぜそうなるのか」を、ここから順番にほどいていきます。
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「効く」のは本当。そこは譲りません
まず、寝酒を擁護しておきます。
正直に書くと、僕自身、あの一杯でストンと眠りに落ちる心地よさはよく知っています。そして、その実感そのものは間違っていません。研究でも、量の大小にかかわらず、アルコールは眠りに落ちるまでの時間を短くすることが一貫して確認されています。さらに飲んだ直後、つまり睡眠の前半では、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)がいったん増えます。だから「ぐっすり寝た」という手応えそのものは、嘘ではありません。
問題は、その手応えが夜の前半だけの話だ、ということです。
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でも、夜の後半で帳尻が来る
アルコールは、体の中でずっと留まっているわけではありません。時間をかけて分解されていきます。
そして、アルコールが抜けていく過程で、体は逆に少し興奮した状態に傾きます。前半で眠りを助けていた成分が消えると、こんどは交感神経が立ち上がり、眠りが浅くなる。夜中に何度も目が覚めたり、明け方にぱっちりしてしまったり。トイレが近くなるのも、これに重なります。しかもこの乱れは、たっぷり飲んだときだけでなく、軽い量でも起こります。
タイミングがやっかいです。ほどよい量のお酒でも、抜けきるまでに数時間——量が多いほど長く、おおよそ3〜5時間——かかります。夜0時に寝酒で眠ったとして、ちょうど睡眠の後半——本来いちばん深く眠っていたい時間帯——に、この「抜けていく乱れ」が重なってくる。
つまり寝酒は、前半の眠りを買って、後半の眠りを売っているようなものです。トータルで見ると、得をしているとは言いにくい。
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いちばん削られるのは「REM睡眠」
もうひとつ、見落とされがちな代償があります。レム(REM)睡眠です。
アルコールは、このREM睡眠を抑えてしまうことが、多くの研究で示されています。最初のREMが現れるタイミングが遅れ、一晩のREMの総量も減りやすい。
REM睡眠は、日中に得た記憶を整理したり、感情の高ぶりを処理したりする時間だと考えられています。ここが削られると、睡眠時間そのものは足りていても、「寝たのに頭が重い」「気分がすっきりしない」という状態になりやすい。
前回、寝不足の日に気分が乱れやすくなる話を書きましたが、根っこは似ています。眠った"長さ"だけでなく、眠りの"中身"が、翌日のコンディションを左右している。寝酒は、その中身のほうを静かに削っていきます。
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そして、だんだん「効かなくなる」
寝酒には、もうひとつ厄介な性質があります。慣れです。
同じ量では、だんだん寝つきへの効きめが薄れていきます。すると、効かせるために量が増えていきやすい。「眠るための一杯」が「眠るための二杯、三杯」になっていく——この方向に進むと、睡眠への悪影響はさらに大きくなります。
これは脅すための話ではありません。ただ、「眠るための道具」として見たとき、寝酒は使い続けるほど分が悪くなる道具だ、ということです。
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じゃあ、禁酒しかないのか
ここまで読むと「お酒をやめるしかないのか」と思うかもしれません。でも、結論はそうではありません。
ポイントを、もう一度確かめておきます。睡眠を乱していたのは、寝るときに体の中にアルコールが残っていることでした。裏を返せば、眠る頃にアルコールがあらかた抜けていれば、この乱れの多くは避けられる、ということになります。
だとすれば、分かれ目は「お酒を飲むかどうか」ではなく、「いつ飲むか」です。寝る直前に眠るために飲む一杯(寝酒)と、早い時間に楽しむ一杯(晩酌)は、睡眠にとってはまったくの別物。前者が睡眠を削る一方で、後者は工夫しだいで眠りと両立できます。
「害はわかった。でも、飲みたい」——それでいいんです。次回は、お酒をやめずに、睡眠への代償だけを小さくする現実的な落とし所を書きます。鍵は二つ。"いつ飲むか"と、"どれだけ飲むか"。しかもどちらも、意志で我慢するのではなく、ちょっとした仕組みで実現する方法です。やめる必要はありません。付き合い方を、少しだけ変えるだけです。
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今夜の一歩
今夜ためすなら、ひとつだけ。
「眠るために飲む」を、一度だけ手放してみる。 寝つきが心配なら、お酒の代わりになる入眠の合図——ぬるめの入浴、軽いストレッチ、照明を落とすなど——をひとつ用意しておくと、置き換えやすくなります。
お酒を飲みたい日は、飲んでかまいません。ただ、その一杯を「寝る直前」から「もう少し早い時間」へずらしておく。それだけで、夜の後半の眠りはずいぶん守られます。
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おわりに
寝酒は、寝つきを良くするのは本当です。でも、その代わりに夜の後半の眠りとREM睡眠を差し出している。「眠るための道具」としては、思っているより不利な取引でした。
とはいえ、これはお酒をやめる話ではありません。問題は酒そのものではなく、飲むタイミングと量のほう。次回は、お酒を楽しみながら害を減らす——気合いではなく、仕組みで減らす——具体的なやり方を書きます。
今夜のところは、もし眠るために飲んでいた一杯があるなら——それを少しだけ早い時間にずらす。そこから始めてみてください。
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朝を変えたい人へ
お酒を飲んだ翌朝を、少しでも軽く始めたい。その気持ちは、よくわかります。
僕自身、夜とうまく付き合えた日ばかりではありません。だからこそ、気合いではなく、仕組みと知識で少しずつ整えていきたいと思っています。
このnoteでは、睡眠・夜の過ごし方・朝の始め方を、研究をもとに、日常で試せる形にして書いています。
よければ、また読みに来てください。
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参考文献
Ebrahim IO, Shapiro CM, Williams AJ, Fenwick PB. (2013). Alcohol and sleep I: effects on normal sleep. Alcoholism: Clinical and Experimental Research, 37(4), 539–549.
Roehrs T, Roth T. (2001). Sleep, sleepiness, and alcohol use. Alcohol Research & Health, 25(2), 101–109.
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※本記事はAIを用いて構成・編集し、筆者(現役医師)が内容を確認しています。研究知見と個人的な解釈は区別して記載しています。お酒の影響には個人差があり、飲酒や睡眠について気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
