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時間がないのは意志が弱いせいじゃない!あなたのIQを一時的に下げる「欠乏」の恐るべき正体!『いつも「時間がない」あなたに』

いつも時間に追われている…
タスクが終わらない…

スマホ時代って、たぶん慢性的な時間の足りなさがあると思うんです。

そしてつい「自己管理ができていない」「意志が弱い」と、自分自身を責めてしまいがちです。

しかし、もしその問題の原因が、あなたの能力不足ではないとしたら?

センディル・ムッライナタン教授とエルダー・シャフィール教授(天才教授のコンビ)による本、その名も『いつも時間がないあなたに!欠乏の行動経済学』は、この「常識」をひっくり返す、衝撃的なことを教えてくれます。

この本の本当のテーマは、時間、お金、人とのつながりなど、あらゆるものが「足りない」と感じる状態、すなわち「欠乏」そのものです。

著者たちは、ハーバード大学の経済学者(「天才賞」受賞者)とプリンストン大学の心理学者という、超一流の専門家です。

行動経済学と心理学の視点から「足りない」状態に陥った人間が、なぜ自らをもっと不利な状況に追い込むような「おかしな行動」をとってしまうのか、その脳のメカニズムを解き明かします。


脳はこうして乗っ取られる

この本が明らかにするのは、「足りない!」という状態が、単にモノが不足しているという物理的な問題ではなく、人間の考え方や判断力を根本から変えてしまう特殊な心理状態「マインドセット」であるという事実です。

驚異の集中力と、トンネリングという落とし穴

足りない状態は、一つの強力な力を生み出します。

それは、目の前の問題に対する集中ボーナスです。

締め切り直前の仕事、支払日が迫った請求書、強烈な空腹。

これらはすべて、私たちの意識を「足りないもの」に強制的に集中させます。

しかし、本書はこの集中の正体を「トンネリング」と呼び、その恐ろしい代償を暴きます。

トンネリングとは、まるでトンネルに入った時のように視野が極端に狭くなり、目の前のことしか見えなくなる状態のことです。

このトンネルの外側にあるものは、文字通り頭から吹っ飛んでしまいます。

この代償は計り知れません。

トンネル状態の脳は、目の前の「緊急の火消し作業」には役立つかもしれません。

しかし、そのせいで緊急ではないが重要なこと(例えば将来の計画、健康管理、家族との時間、同僚への気配り) が、すべて意識の外に放り出されてしまうのです。

NASAのスペースシャトル事故(多忙さによる安全確認の無視が原因の一つ)のような組織の大失敗から、個人の「先延ばし癖」に至るまで、根本にはこのトンネリングが潜んでいます。

脳のキャパシティへの致命的なダメージ

この本の最も重要な考え方が「処理能力」という概念です。

これは、私たちが物事を論理的に考え、計画を立て、誘惑に耐え、新しいことを学ぶために使う「メンタルのCPU」のようなものです。

そして欠乏は、この貴重なキャパシティに、重い「税金」や「負荷」をかけます。

「足りない」状態にある脳は、お金が足りないどうしよう!時間がないヤバい!という心配事を、常にバックグラウンドで処理し続けなければなりません。

この持続的な負荷が、他の課題に使えるはずのCPUを食い潰してしまうのです。

その結果が、一時的なIQの低下 や、日常での凡ミスの多発です。

なぜ、時間に追われていると、普段ならしないミスをしたり、同僚に冷たくあたってしまうのでしょう?

なぜ、ダイエット中だと、仕事の効率が落ちたり、我慢がきかなくなって無関係な衝動買いをしてしまうのでしょう? 

それは、あなたの意志が弱いからでもバカだからでもありません。

あなたの頭のキャパシティが「欠乏」という名の税金によってすでに使い果たされ、まともな行動をとるためのCPUが、その瞬間、残っていなかっただけなのです。

これまで「個人の性格」や「やる気」の問題とされてきた多くの失敗を、状況によって引き起こされる一時的な脳機能の低下として捉え直します。

この視点こそが、自分を責めるのをやめるための第一歩となります。

なぜ「足りない」は、さらなる「足りない」を生むのか

欠乏の最も恐ろしい性質は、一度それに陥ると、さらなる欠乏を生み出すという「アリ地獄」のような性質です。

人々がいかにしてこの抜け出し難い「欠乏のワナ」にハマるか、その負のループをこの本では解き明かします。

「荷づくり」の比喩

この本は「荷づくり(パッキング)」という、分かりやすい例えを使います。

想像してください。

スーツケースの容量に十分な余裕がある時、予期せず荷物が一つ増えても、簡単に対処できます。

しかし、スーツケースがすでにパンパンに詰まっている状態では、たった一つの追加の荷物が、すべての計画を台無しにし、荷物を全部詰め直すという膨大な手間を発生させます。

これがゆとりであり、予期せぬ事態や失敗をカバーできるために絶対に必要なバッファー機能です。

スラックを失った状態(=欠乏状態)では、人々は「目先のことしか考えられなく」なります。

長期的な計画(毎月の積み立て投資や将来への備え)は、考えるための頭のゆとりを必要とします。

しかし、目の前の火消しに追われる人々には、そのゆとり自体がありません。

その結果「事故や病気」「会社の倒産」といったまさかの事態は、スラックを持つ人にとっては対処できる問題ですが、スラックを持たない人にとっては、即座に生活破綻につながる致命的な一撃となるのです。

抜け出せないループの構造

貧困、慢性的な忙しさ、そして失敗続きのダイエット。

これらは一見違う問題に見えますが、すべて同じ「欠乏のワナ」の構造を持っています。

  1. 欠乏状態(お金が足りない)

  2. 頭のキャパシティが圧迫される(足りないという心配事でCPUがパンク)& トンネリング(目先の支払いしか見えなくなる)

  3. マズい意思決定(CPUが低下し、高利の借金に手を出す、長期的な貯蓄をしないなど、将来の自分をさらに苦しめる選択をする)

  4.  さらなる欠乏状態(借金が増え、リソースがもっと減る)

  5. (1に戻り、ループが強化される)

忙しい人が、スケジュールを詰め込みすぎ、目の前のタスク処理に追われるあまり、長期的なことを考えるキャパを失い、結果としてさらに非効率な仕事に追われ続けるのも、全く同じ構造です。

「ゆとり」を作る方法

解決策のひとつは「スラック」を生活の中に意図的に確保することです。

具体的には、スケジュールをパンパンに詰め込みすぎない、アラームを活用して行動を自動化する、毎回、意志力を使わなくて済むよう、仕組みを作るなど。

しかし、ここで最大の問題が立ちはだかります。

これらの対策は至ってシンプルで、誰でも知っていることなのに、実際の行動に移すのが難しいこと。

なぜ、簡単なことが実行できないのか?

答えはパラドックス。

それは「スラック」を生み出すための行動(計画、仕組み化、自己制御)自体が、十分な頭のキャパシティ(処理能力)というスラックを必要とするからです。

「足りない」状態にある人は、皮肉なことに、欠乏から抜け出すための精神的エネルギーを、欠乏そのものによってすでに奪われているのです。

したがって、必要なのは「意志力で頑張る」ことではありません。

それは「足りない」脳にとって最も効率の悪い戦略です。

なので、

  1. 自覚する

    • まず、「自分はいま欠乏している」と自覚する

    • 自分が「トンネル」に入っていないか、頭のCPUに「負荷」がかかりすぎていないか、客観的にチェック

  2. 仕組みを設計する

    • 比較的、頭がスッキリしている瞬間に、将来の自分が意志力を使わなくて済む仕組みをつくる

  3. 強制的にスラックを確保する

    •  スケジュール帳に意図的に「空白の時間」を書き込むなど、物理的・強制的にスラックを確保

社会と組織も欠乏!

組織や政府は、しばしば従業員や市民が「欠乏状態」にあることを忘れ、複雑な手続き、面倒な申請書類、過度な要求を課します。

これらは、人々の「頭のキャパシティ」を不必要に奪い、彼らを「凡ミス」や失敗へと誘導しているのです。

「貧困者向けの補助金」の支給方法は、この理論の完璧な応用例。

  • 悪い設計

1回にまとめてドカンと払う。

これは、受け手に一時的な豊かさを与えますが、同時に豊かさの無駄遣い(計画性のない浪費)や、高額な一つの買い物への「トンネリング」を引き起こしやすくなります。

  • 良い設計

 支給のタイミングを分散して、こまめに払う。

これは、受け手の頭に負荷をかけることなく(=複雑な金銭管理を要求せず)、システム側が自動的にスラックを管理する仕組みとして機能します。

これにより、受け手が「欠乏のワナ」に陥るのを防ぐことができます。

この考えは、会社組織にもそのまま当てはまります。

ゆとりのない(=スラックのない)組織は、イノベーションや長期的な戦略を生み出す頭のキャパシティを失い、目先のトラブル対応に追われ、やがては破綻します。

あなたの「頭のキャパシティ」を解放するために

私たちが日常的に経験する「時間がない」「お金がない」「我慢できない」といった問題を「個人のやる気や能力が足りないから」という自己責任論の呪いから解放し『欠乏』という状況が、脳の働きをジャマしている」という、すっごく重要なことを見つけた彼らは天才だと思うし、必読書だと思います。

何度も言いますが、私たちは、意志が弱いからではなく、頭のキャパシティに「税金」がかかりすぎているから、マズい選択をしてしまうのです。

まず自分自身がなぜ失敗するのかを、根性論ではなく、脳のCPUの問題として考える。

あなたの頭のキャパシティは、有限で貴重なリソースです。

そのリソースを食い潰すトンネルを自覚し、意図的にゆとりを確保し、そして他人のキャパシティを不必要に奪わないこと。

それがしたい人は今すぐ読んでみてください!

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おすすめの本を紹介しまくる人 これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。

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