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【理学療法士 × 公衆衛生学】健康を「行動の結果」と捉える視点

運動×栄養×データで健康を科学し、医療をアップデートする理学療法士のジローです。

大学院では、公衆衛生学について学び、理学療法士がどのように疾病予防や健康寿命延伸に関わることができるかを考えてきました。

まだ病気になっていない人の健康を評価したり、それに介入することはとても難しいです。そして、病院でない場面であれば余計です。

そのような時に、理学療法士はどのような視点で関わっていけば良いのでしょうか?私見を書きました。

私なりの結論は「行動で評価する」「行動で判断する」ということです。具体的に説明します。

✒️筆者紹介

理学療法士/修士(リハビリテーション学・公衆衛生学)

脳卒中後の機能回復および栄養管理に関する臨床実践と研究に従事。回復期リハビリテーション病院にて病棟主任・教育主任を務める。

リハビリテーション医学の科学的根拠を追求すべく、大学院にてリハビリテーション学の修士号を取得。さらに、臨床研究・疫学・統計解析の実力を体系的に習得するため、公衆衛生学修士(MPH)を取得し、医療データの分析にも軸足を置く。

現在は、 医療リアルワールドデータ活用人材プロジェクト 東京大学履修コースで、医療の現場から得られる大規模データを用いた実証研究に取り組む。臨床と疫学をつなぐ視点から、介入効果の可視化と医療政策への応用を目指している。




🔹 健康の定義は時代とともに変化する

健康とは単に「病気でない」ことではありません。

1947年のWHO憲章に示されているように、肉体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態を指します。

しかし、皆さんもご存知の通り、このような人は、なかなか存在するものではありません。

定義が“静止した理想像”ではなく、社会や時代の文脈に応じて変化する相対的な概念であることは繰り返し示されてきました。

厚生労働省 平成26年 健康意識に関する調査



🔹障害や慢性疾患を持ちながらの健康

近年では「健康寿命」という考え方が広く用いられています。

これは単に生存年数を伸ばすのではなく、自立した生活をできるだけ長く続けることを目的にしています。

慢性疾患や障害を持ちながらも、自分らしい生活を送る人は少なくありません。したがって、「障害や慢性疾患がある=不健康」という短絡的な見方は誤りです。重要なのは、病や障害とどう向き合い、場合によっては受け入れながら、どのように生活していくかという点にあります。



🔹 理学療法士の強み:健康を「行動の結果」とみる

ここで理学療法士の専門性が活きます。
それは、健康を「行動の結果」として捉えることです。

「健康は自然に備わるものではなく、日々の具体的な行動によって形づくられる」

という視点です。

例としては、

  • 運動を3日に1回継続する

  • タバコは吸わない(実際に吸っていない)

  • 2日に1回は体重を計測する

  • 間食を半分にする

  • 料理する回数を増やす

などの、実際の行動・生活をみる視点と、健康という見えにくいものをつなぎ合わせることが重要と考えています。

これらは小さな積み重ねですが、生活習慣病や心血管疾患リスクを低減させることが期待できます。



🔹 「分かっているのに続けられない」行動を支える仕組み

運動や栄養といった行動は、理解していても継続が難しいものです。ここにこそ、行動科学や健康心理学の知見が必要となります。

リハビリテーション医学はもともと不動(immobility)の改善から発展し、「行動変容」に焦点を当ててきた医学です。理学療法士は行動を観察・評価・数値化し、生活全体の改善を支援する力を持っています。



🔹公衆衛生学の視点:社会的決定要因と健康

さらに、公衆衛生学の視点を重ねると、健康は個人の努力だけでは完結しません。職業・教育・所得・居住環境といった社会的決定要因が、健康状態を大きく左右します。

近年の研究でも、社会的つながりを持つことが死亡率の低下と強く関連することが示されています。

ここで理学療法士の役割は明確です。私たちは、生活範囲を広げ、活動量を増やすプロです。歩行や外出の支援を通して、人と人との接点を増やし、社会的なつながりを築くことにも貢献できます。

健康は行動だけでなく社会関係資本や環境によって形づくられるものだからこそ、病院内にとどまらない広い視野でアプローチしていくことが求められます。



まとめ

健康は「状態」ではなく「行動」と「関係性」の産物です。

そして、その行動変容や社会環境へのアプローチを支援できるのが、理学療法士や公衆衛生学の専門家です。

誰もが主体的に健康をデザインできる社会をつくるために、リハビリテーション医学と公衆衛生学の知恵の融合はこれからますます重要になります。

私は、その足掛かりが欲しくて、そちらの方向に切り替えて大学院に進学しました。そこで体系的に学ぶのもひとつの道です。

もし進学が難しければ、まずはmJOHNSNOWのような学びのコミュニティに参加してみるのも良いでしょう。仲間とともに知識を深め、視野を広げる経験は、臨床だけでは得られない大きな財産になります。
(私も、今年度からお世話になっており、知識の補完や、公衆衛生人材との交流を楽しんでいます)


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理学療法士が公衆衛生を学ぶことは、単にキャリアの拡張ではなく、リハビリテーションの知見を社会全体に広げる挑戦です。私は、若い頃に「公衆衛生学」というキーワードを抜かしていたので、図らずも人生の途中で出会えてラッキーでした。

もし、この記事が誰かに届いて、一人でも公衆衛生学に興味を持っていただけたら嬉しいです。


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