SE7EN×ファイト・クラブ 架空YouTube動画:【検証】元刑事が「箱の中身は何だろな」に挑戦したら放送事故寸前になったwww【ゲスト:タイラー・ダーデン】
【オープニング】
軽快だがどこか不安を煽る著作権フリーのウクレレBGM。
画面中央に、ひどく不機嫌そうなデビッド・ミルズ。背景には「チャンネル登録お願いします!」という安っぽいバナーが躍っている。
ミルズ:
「……あー、デビッド・ミルズだ。今日は……クソ、何て言えばいい。あー……。今日も、このくだらないチャンネルを見に来てくれた物好きどもに……敬礼、だ。登録しろ。さもないと、お前の家の前にパトカーを回すぞ。」
※画面左から赤いレザージャケットを着たタイラー・ダーデンが、石鹸を弄びながらニヤついてフレームインする。
タイラー:
「おいおい、そんな死気臭い顔をするなよ、デビッド。お前の視聴者はお前のその『正義の味方』が崩壊する瞬間を指をくわえて待ってるんだぜ。もっとこう……文明の利器を楽しもうっていう姿勢を見せろよ。お前は今や法執行機関の犬じゃない。コンテンツの奴隷なんだからな。」
ミルズ:
「タイラー……お前を呼んだのは間違いだった。サマセットに言われたよ、『あんな男と組むのは、図書館にガソリンを撒くようなものだ』ってな。で、今日の企画は何だ? 早く終わらせて酒を飲みに行きたいんだ。」
タイラー:(カメラを指差し、不敵に笑う)
「いいか、現代の家畜ども。今日お届けするのは人類史上最も残酷で、最も内省的なゲームだ。題して――『クイズ!箱の中身は何だろな? 3本勝負』だ。」
画面いっぱいにカラフルなテロップ:クイズ!箱の中身は何だろな?(※爆発エフェクト付き)
ミルズ:(『箱』という言葉を聞いた瞬間、瞳孔が開き、激しく呼吸が乱れる)
「……箱? ……おい、今、箱って言ったか? タイラー、冗談だろ。よりによって、それを企画にするのか? ジョン・ドゥがあの砂漠で何をしたかお前も知ってるはずだ!」
タイラー:
「知ってるとも。だがデビッド、痛みから逃げるな。痛みを受け入れろ。お前はあの時、箱を開けなかった。だからお前は今も、あの砂漠に置き去りにされた赤ん坊のままだ。今日はそのトラウマを、この安っぽいYouTubeの木箱の中にぶち込んで、自己破壊といこうじゃないか。失うものをすべて失って、初めて真の自由が得られるんだ。」
ミルズ:(頭を抱えて)
「クソ……クソッ! ……わかったよ。やればいいんだろ。だがな、もし中身が『トレイシーの何か』だったら、俺はこのスタジオごと、お前を射殺してやるからな。覚悟しておけ。」
タイラー:
「その意気だ。さあ、第一回戦といこうぜ。」
第1戦 お題:鶏肉
画面が切り替わり、テーブルの上には大きな穴が空いた木箱。中身は視聴者には見えるが、解答者には見えない。中には生々しい、血の気が引いた生の鶏もも肉がデロリと置かれている。
タイラー:
「ルールは簡単だ。この穴に手を突っ込み、感触だけで正体を突き止める。中身は俺が用意した。文明社会が忘れ去った、『死』そのものの感触だ。さあ、手を入れろ、デビッド。お前がいつも触れている、あの冷たい真実に触れるんだ。」
ミルズ:(深く重い吐息をつく。手は目に見えて震えている)
「……黙れ。喋るな。…………行くぞ。主よ、俺に力を……」
(※ミルズはゆっくりと、地雷を踏むような慎重さで箱の穴に手を差し込む。)
ミルズ:
「……ッ!?(指先が触れた瞬間、体がビクンと跳ねる)」
タイラー:
「どうした? 何かあったか? 何が入ってるんだ? What's in the box?」
ミルズ:(必死に自分を保とうとして)
「……冷たい。ヌルヌルしてやがる。おい、タイラー、これは何だ。脂か? 皮膚の脂なのか? ……指が、沈み込む。……待て、この感触、覚えがあるぞ。あいつ……ジョン・ドゥが、あのモーテルのベッドに縛り付けていた男の、あの腐りかけた皮膚の感触だ……!」
タイラー:(楽しそうに)
「ほう、遺体の感触か。捜査官らしい、素晴らしい推察だ。もっと奥まで探れよ。骨はあるか? 血管は? 魂の抜け殻を弄ぶ気分はどうだ?」
ミルズ:(パニックが加速し、箱を叩きつけるように弄る)
「クソッ! 柔らかすぎる! なんだ、これは……人間の耳か? それとも、鼻か!? おい、答えろ! ジョン・ドゥはどこだ! 奴はまだどこかで、このカメラを見て笑ってるんだろ! 答えろよ!」
タイラー:
「タイムアップだ、デビッド。答えを言え。お前は何に触れている?」
ミルズ:(絶叫)
「『怠惰』の被害者の、切り取られた部位だ!! 間違いない、ジョン・ドゥがまた何かを始めたんだ!!」
タイラー:(大爆笑)
「残念! 答えは『スーパーの特売で1ポンド2ドルだった鶏肉』だ! 見ろよ、お前のその血走った目! 鶏肉相手に正義を振りかざして、滑稽だと思わないか?」
タイラーが箱から生の鶏肉を掴み出し、カメラに押し付ける。ミルズは呆然と自分の手のぬめりを見つめ、嗚咽を漏らしそうになっている。
ミルズ:
「……鶏肉……だと……? ……お前、俺を、俺を馬鹿にしているのか? ……これは聖書に基づいた……」
タイラー:
「いいや、これはお前の思い込みという名の監獄だ。お前は鶏肉にすら、世界の終焉を見出す。最高だよ、デビッド。お前こそが、このチャンネルの真のスターだ。」
第2戦 お題:スパゲッティ
※画面が暗転し、タイラーが箱の中身を入れ替える様子が意図的に荒い編集で挿入される。箱の中には大量の茹で上がったスパゲッティに、ベタベタとしたミートソースと油が過剰に絡みつき、さらに数時間放置されて冷え固まったものが山盛りになっている。見た目はもはや食材というより腐乱した有機物の塊だ。
タイラー:
「……第一ラウンドは、ただのウォーミングアップだ。お前の思い込みという名の監獄は暴かれた。だが次はどうかな。文明社会における『幸福』の象徴……すなわち、過剰な摂取と消費について、お前の指先に教育を施してやる。」
ミルズ:(タオルで手を拭きながら、怒りで顔を赤くしている)
「……説教はいい。お前の選ぶものは、結局のところ石鹸か、その材料のゴミだろ。さっさとさせろ。俺の鼻と指先はお前のくだらない嘘に騙されはしない。」
タイラー:(ミルズの顔にカメラを近づけながら)
「いいか、デビッド。五感を研ぎ澄ませ。お前がその薄汚れた街で12時間以上も向き合った、人間の限界を思い出せ。これはクイズじゃない。お前の記憶の検体だ。さあ、手を入れろ。中身を愛してやれ。」
(※ミルズ、意を決して両手を箱の中に深く突っ込む。ぐちゃり、ズルリ……という、粘り気のある不快極まりない音がマイクに生々しく響く。ミルズの表情が一瞬で凍りつく)
ミルズ:
「…………!!(言葉を失い、喉が鳴る)」
タイラー:
「どうだ? 指の間をすり抜けていく、その官能的な重みは。お前はその感触を知っている。雨の降る夜、あの閉ざされた部屋で、お前のブーツが踏みしめたのは何だった?」
ミルズ:(呼吸が浅くなり、箱の中で手を動かすたびに嫌悪感で顔を歪める)
「……なんだ、これ……。……重い。絡みついてくる。細い糸のようなものが、何千、何万と……。油まみれで……ヌルヌルしてやがる……。おい、タイラー。これに命はない。だが、死体でもない。……これは、何かの……結果か?」
タイラー:(ニヤリと笑い、ミルズの耳元で囁く)
「そうだ。それは、止まらない欲望の結果だ。お前はあの時、何を見た? 椅子に縛り付けられ、バケツ一杯の屈辱を胃袋に詰め込まれた男の、最後の一口は何だった?」
ミルズ:(手が震え出し、箱の中をかき回す音が激しくなる)
「……匂いが……してきた。……トマト。……肉の脂。……そして、胃液の混ざったような、酸っぱい臭気だ。……待て。……この指に絡みつく不快な感触……。……思い出させやがったな。あの部屋の、床一面に散らばっていたレシート。そして、テーブルに顔を埋めて、自らの重さで死んでいった、あの『巨大な肉の塊』を……!!」
ダーデン:
「ほう、記憶の扉が開いたようだな。さあ、名前を呼んでやれ。その箱の中に詰まっている、文明の腐敗した残飯の名前を!」
ミルズ:(吐き気をこらえ、絞り出すように絶叫する)
「……スパゲッティだ!! ジョン・ドゥがあの男に無理やり食わせ続けた、あの忌まわしい『暴食』の凶器だ!! そうだろ!!」
タイラー:(カメラに向かって親指を立て、冷たく言い放つ)
「正解だ。だが残念ながら、これはジョン・ドゥが用意した刑罰じゃない。近所の安イタリアンから俺が解放してきた、ただのランチの残りだ。」
【テロップ:大正解! 元刑事が本気を出しました!】
(※ミルズが手を箱から引き抜くと、袖口までオレンジ色のソースと油で汚れている。その姿は、かつての凄惨な現場に立ち尽くしていた時と重なり、ひどく惨めに見える)
ミルズ:
「……ハァ……ハァ……。……当たった。……そうだ、俺はこの感触を忘れない。……あいつは、あいつは俺たちの弱さを、こういう形で突きつけてきたんだ……」
タイラー:
「そして今、俺がお前のYouTubeへの適応力という弱さを突きつけてるわけだ。見ろよ、お前のその手。スパゲッティまみれの正義なんて、石鹸で洗い流せば終わりだぜ。お前が守ろうとしている文明なんて、このソースと同じくらい脆く、吐き気がするものなんだ。」
ミルズ:
「……もうたくさんだ。……2問やったぞ。もう終わらせろ。……胃が、ひっくり返りそうだ。」
タイラー:
「いや、まだだ。まだメインディッシュが残ってる。最後の一箱だ。……これは、俺も中身を知らない。俺の友人が、どうしてもデビッド・ミルズに触らせたいと言って、特別に用意したものだ。」
ミルズ:
「……お前も中身を知らない? ……嘘をつけ。……タイラー、おい! その箱の裏に書いてある名前は何だ!? ジョン・ドゥか!? それとも……」
(※カメラが急激にズームアップし、ミルズの絶望に満ちた表情を捉える)
タイラー:(ナレーション)
「次回、デビッド・ミルズ、精神の崩壊点へ。箱の中にいたのは純粋な悪か、それとも絶望か。お楽しみに。」
ミルズ:
「……なんだ……? この、白い耳みたいなのは……。柔らかい。……震えてるのか……? おい、なんだこの声は……!? 『ワァッ』って何だ!? 答えろ、タイラー!!」
【後半へ続く。チャンネル登録しないと、お前の人生に石鹸を投げ込むぞ。】
