泥だらけのキーホルダー #117
散歩道。
普段は大抵同じ道ばかりだけど、
その日はいつもと違う道に行きたくなって、
普段は行かない道に行った。
今思うと、導かれていたのかもしれない。
畑の脇を通る道で、
何かと目があった気がした。
立ち止まってみても、土しかない。
でもやっぱり何かあるような気がした。
今度は注意深く見てみたら、
道路側、足元のすぐそばに、
泥だらけになってほとんど土と同化した、
ぬいぐるみキーホルダーが落ちていた。
あまりにも色が変わっていて
最初は気が付かなかったけれど、
知っているキャラクターのキーホルダーだった。
ちょうど顔がこちらを向いていて、
つぶらな瞳で見つめているように見えた。
汚れ具合からして、
落としてから相当日が経っていると思われる。
それなのに、その目は、
まだ生気を失っていないかのような、
そんな目に見えた。
だから、
その場を離れることは心苦しかった。
この子も、誰かに買ってもらって、
大切にされていた過去があるんだろうな。
でも、私だって、
ただ通り過ぎることしかできない。
ごめん。
心の中で小さくつぶやいて、
その場を通り過ぎた。
次の日も、気づけばまた、
私はその道を選んでいた。
私は探した。
また、目が合った。
ほんの少しの間だけ、足を止める。
今日も優しい目をしてるね。
またね。
心の中でそう呟いた。
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