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Win〜彗星は南から 最終話 彗星は南から

最終話 彗星は南から

 翌朝、遠林病院は大混乱に見舞われた。
 生死の境を彷徨っていた仁美が、一夜にして回復し、検査の結果も異常がない。
 刺し傷、切りつけられた背中の傷すら、元からなかったように回復している。
 そして、別の病室で数ヶ月の間眠り続けていた万次郎が、息を引き取った。
 朝一番で駆け込んだ信吾も、仁美の元気な姿を見て腰を抜かし、万次郎の旅立ちに涙する。
 広美と仁美、信吾が万次郎の病室を訪ねると、父は安らかに眠っているようだった。

「……先生、目を覚まして、俺と広美さんの結婚式に、来て欲しかったです」

 姉妹は顔を見合わせて、微笑み合い、広美が信吾の背後から手を回した。

「そんなに泣かんで良いわえ」
「大丈夫……お父ちゃん、ちゃんと見てくれるき」
「家族やも、絶対に見てくれるきね」

 仁美もつられて涙が出るが、口元は穏やかだ。
 その後、寝台車に乗せられた遺体は、競馬場近くの葬祭会館へ。
 洋平と瀧越が、先回りしていた。
 二人は、最初に車から降りて来た仁美の姿を見て目を丸くした。

「仁美ちゃん!本当やったがやね、良かった」

 瀧越が、珍しく涙声で仁美に駆け寄る。
 照れたように笑い返すと、洋平に目を合わせた。

「先生、私、また乗れます」
「ジャパンカップ、走れます!」

 洋平は、目を真っ赤に腫らせて力強く頷いた。

「わかった!」
「ジャパンカップでも、有馬記念でも」
「ドバイでも、凱旋門賞でも」
「どこでも付き合うちゃる!」
「仁美ちゃんとボップに」
「とことん付き合うちゃる!」

 そして、寝台車から降りて来たストレッチャーの万次郎を向いた。

「おやっさん!」
「見よってくださいよ!」

 そして、万次郎の顔をまじまじと見ていると、感情を抑えることができなかった。
 遺体に駆け寄り、その場に突っ伏する洋平。

「……おやっさん、ありがとうございました」
「……おやっさん……おやっさん!」
「見よってくださいよ」
「俺も泣き事は言わん、勝ちまくりますき」
「あんたの、意地の悪い弟子と」

 瀧越がほくそ笑んで頬をかく。

「あんたの、娘婿夫婦と」
「……あんたの、不死身の娘と一緒に」
「勝ちまくりますき!」

 仁美は、決意を新たに力強く洋平の姿を見つめ、広美と信吾も肩を抱き合って、その場に立ち続けていた。

 テレビのニュースが一報を伝える。

『昨日、高知市内のショッピングモールで起こった刺傷事件の被害者、南海競馬所属の沖浜仁美騎手に関する続報です』

 竹が夫人と並んで、掌を結んだ。

『その後、病院に搬送されて治療を受けた結果、驚異的に回復し、先程退院したとの事です』

「……よかった」

 胸を撫で下ろした竹の肩に、夫人がそっと手を添える。

『また、意識不明の状態で入院していた、沖浜騎手の父の元騎手で、現在は南海競馬所属の沖浜万次郎調教師が、昨夜、亡くなりました、55歳でした』
※享年56歳は数え年

 竹夫妻は、顔を上げる。

「……まんじくん……そんな……」

「きっと、仁美ちゃんを、助けてあげたんですよ」

 竹は立ち上がり、リビングに飾られた写真に近寄り、手に取った。

「……そうだね、明美さんも、待ちくたびれただろうね」

 テレビの画面には、コメットハンターと共に制したダービーの画像が流れはじめる。

『沖浜調教師は、騎手時代は名手と呼ばれ、ダービーを始めとする大レースをいくつも勝利しました』
『しかし、落馬事故の影響で足が不自由になりながらも引退後、南海競馬で調教師として数多くの競走馬を育てました』
『ご冥福をお祈りします』

 藤村が、画面に向かって手を合わせた。
 目には涙が溢れている。

「本当に、ありがとうございました」

 そこに、電話が一本。
 発信先は、剣持からだった。

「先生、お世話になっております」

『こちらこそ、色々骨を折ってもらってすまなかったね』
『上崎の件、しっかり警察に話を通したから』
『あと、お陰でやつらもきっちり掃除できたよ』
『依頼を受けた手前、我々が動く訳にはいかなかったからね』

「当たり前のことをしたまでです」

 電話を切ると、深いため息をついた。

「……やっぱり、ちゃんと裁かれないとな」
「被害者に、しっかりとわかる結果じゃなきゃ」

 テレビは続ける。

『ここで続報です』
『先程報じた、沖浜仁美騎手の事件の犯人と見られる、上崎徳和容疑者が逮捕されました』
『上崎容疑者は、複数人と同乗した乗用車で逃亡中に、淡路島サービスエリアに立ち寄ったところを、車種やナンバーを通報を受けていた兵庫県警により逮捕されました』
『また、同乗していたのは、海外に拠点を置く国際詐欺グループのメンバーと見られており』
『上崎容疑者の関与も疑われています』

 恵美は身体中の力が抜けて、椅子の背もたれに深くもたれかかった。

「……今更だけど、良く一緒に暮らせていたもんだわ」

 万次郎の遺体が葬儀場に移されて、ひと段落がついた時、仁美は厩舎を訪れた。
 ヘールボップと目が合うと、いつものように優しく鼻面を撫でて微笑んだ。

「ただいま、ボップ」

 ブルルル、と嬉しそうに鼻を鳴らすヘールボップ。
 昨夜のように会話はできないが、人馬の意思はしっかり通じ合っている。
 仁美は、厩舎の中を見渡した。

「スポイル、クラーク、シンタロー、スミレ」
「みんな、ただいま!」
「これからも、よろしくね!」

 競走馬たちは、仁美の言葉に答えるように、首を上下させたり、蹄を鳴らしたりして返す。
 最後にヘールボップと視線を合わせて、もう一度微笑んだ。

 万次郎の葬儀は親族、厩舎関係者だけで執り行われたが、南海競馬、中央競馬共に彼の功績を讃えて、写真や賞状、コメットハンターのゼッケンなどが展示される記念ブースが開設された。
 ジャパンカップ当日の府中競馬場も例外ではない。
 多くの人が立ち寄り、その中にいた藤村は、22年前の写真を見上げて悲嘆に暮れた。
 そして、ゆっくり手を合わせて目を閉じる。

 パドックでは、信吾がヘールボップを引いて歩いていた。
 着慣れないスーツ姿で、緊張に顔をこわばらせながらも、何とか足を運んでいる。
 対してヘールボップは、しっかりとした歩調で、機嫌良く前に進んでいる。
 馬主席で、その様子が映るモニターを、北林オーナーと、洋平、広美が見つめていた。
 洋平もいつもと違って正装で席についていた。

「……ありゃあ、足がもつれたりせんろうか?」

 洋平の言葉に広美が苦笑いで答える。

「やっぱり、設備も人も違いますから、ただでさえ緊張しいやき」

 北林オーナーは、終始表情が穏やかだ。

「しかし、本当に一時はどうなるかと思いましたが……何事もなくこの日が迎えられて良かった」

 洋平と広美は、黙って北林オーナーと視線を交わした。
 騎手控え室では、仁美が落ち着かない様子で椅子に一人腰を下ろしている。
 地方の新人騎手。
 しかも、南海のプレハブと違って、近代的な設備である。
 その雰囲気に飲まれそうになっていた。
 そこに竹が近寄る。

「そう堅くなってちゃ、レースで体が動かなくなるよ」

 優しい口調に、引きつった笑顔で返すしかなかった。

「まんじくんは、残念だった」
「あんないい奴が、あんな苦労して」
「大変な人生だったと思う」

「……それは、違います」

「仁美ちゃん?」

「父は、体の自由がきかなくなって、母を失って、若くして亡くなりました」
「ですが、ヘールボップ達、武政先生、瀧越さん、松崎さん」
「馬も人もたくさん育ててきました」
「そして、姉と私をこの世に送り出してくれました」

 顔を上げて、胸をおさえる仁美。

「だから、父はここにあります」
「父の命は、私の中に生きています」

 その言葉に、竹の顔は満面の笑顔に変わる。

「そうだね、やっぱり幸せな男だよ、彼は」
「僕も、遠慮はいらないな」
「はなから、そんなつもりはないけど」

 そして、急に眼光鋭い厳しい表情に変わった。

「思う存分に……」
「……かかってこい」

 仁美も、負けじと意思の強い目で応じた。

「もちろんです」

 合図がかかり、騎手が揃って愛馬の元へ向かう。
 強張った信吾の表情を見た仁美は、わずかながら緊張がほぐれた。

「信吾さん、似合うてますよ」
「お姉ちゃんの見立て、バッチリですね」

「……からかわんとってくれますか?」
「こじゃんとようけ、人がおる」

「そりゃあ、南国市と香南市合わせたくらいの人が来るがやも」

「具体的な数を言われたら、ますます緊張するやいか」

 テレビ中継が始まる。
 矢野アナウンサーが実況で、レース展望をかたりはじめた。
 その中継を、高知の騎手控えで不貞腐れながら瀧越が見ていた。

「俺も、行きたかったねゃあ」

 傍の後輩騎手が声をかける。

「瀧越さんは、来週クトゥルフと行くでしょう?チャンピオンズカップ」

「見ると乗るとじゃ違わあや」

 本馬場へ続く通路を歩く、信吾に引かれたヘールボップ、そこに洋平と広美が立っていた。

(……お姉ちゃん、行ってくるきね)

(頑張りよ……仁美)

 もうそこに言葉はいらない。
 視線を合わすだけで、姉妹の意思はしっかりと通じ合った。

 通路を抜けると、光が一気に押し寄せた。
 芝生の青々とした香りが漂う、そして客席からの大歓声。

『さあ、まず最初に、中央の芝のコースに帰って来ました』
『一枠一番ヘールボップ』
『鞍上は往年の名騎手、沖浜万次郎の愛娘、沖浜仁美』
『中央GⅠ初挑戦になります』

「ほいたら、頑張ってよ!」

 信吾が金具を外すと、気合いを入れるかのように、前足を上げるヘールボップ。
 仁美は一旦目を閉じて、芝生の香りを吸い込んだ。

「……よし、行くよ、ボップ!」

 手綱を引いて、返し馬に駆け出して行く。
 何頭かの入場が続くと、ひときわ大きな歓声が沸き上がった。

『さあ、大本命の入場です』
『6枠11番、イギリス最高峰』
『キングジョージ六世&クイーンエリザベスステークスを制した、日本が誇る絶対王者』
『アマノガワと竹裕』

 堂々たる鹿毛の馬体。
 流れるような動きで、駆け出した。

「……芸術品やねゃあ、見惚れてしまうわ」

 洋平がポツリと呟くと、広美の視線はまっすぐゲートに向かっていた。

 ファンファーレが鳴り響く。
 全馬がゲート前に揃い、順番に収まり始める。
 仁美も最内の1番ゲートに入り、大きく息をついて、ゴーグルを下ろした。
 その時だった。

(……いよいよだね、仁美さん)

「……うん、絶対、勝つで」

(たっすいがは……)

「いかん!」

 ゲートが開いた、全馬が流れるようにゲートを飛び出して行く、大きな出遅れはない。
 各馬がスタンドの前を通過、それぞれが、得意な位置にポジションをとっていく。
 アマノガワは、中団。
 ヘールボップはやや後方寄りに位置を取る。
 そのままの流れで、コーナーを周り、向こう正面に。
 仁美は、すぐ後ろに付けながら、アマノガワの動向を観察していた。

「きっと竹さんは、3コーナー抜けた瞬間に位置を上げて行くはず」
「今は囲まれちゅうけど、コーナーで振られて隙間ができたら突っ込むろう」
「4コーナー抜ける時に4、5番手に付けて伸びて行く」
「ボップは内枠のおかげで、最短コース」
「じっくり、脚を貯めることができちゅう」
「……わかるよね、ボップ」

(もちろんだよ、仁美さん)

 3コーナーを抜けた瞬間、アマノガワのブロックが乱れ、前の壁に隙間が現れた瞬間、飛び込んだ。

「よし、これでパターンだ、直線入ったら一気に突き放すよ、アマノガワ」

 じわりじわりと、前に位置を上げるアマノガワ。
 対照的に、ヘールボップは動かない。
 後方の馬たちに交わされ、徐々に位置を下げる。
 4コーナー手前では、ほぼ最後方に下がってしまった。

「……仁美」

 顔をしかめる広美に対して、洋平は目を剥いて呟く。

「……あれは……おやっさんの……」

 スタンドの藤村は口元を押さえて体を震わせた。

「……コメットハンターのレースと、同じだ」

 検量室前で待機している信吾は、奥歯を噛み締めて、拳を握る。

「ここの直線は、南海の倍ある……」
「絶対、届く!」

 コーナーを抜けて、5番手だったアマノガワが加速して行く、4番手、3番手、2番手みるみるうちに先頭に並んだ。

 対して、ヘールボップはほぼ最後方の位置から、すすっと遠心力で大外に持ち出す。
 そしてヘールボップの首が地面に突き刺さらんばかりに力強く低く沈んだ。
 万次郎から引き継いだ鞭が、高々と掲げられる。

「行くで!ボップ!」
「本当のあんたを、みんなに見せちゃり!」

 鞭が振り下ろされた瞬間、ヘールボップの闘志が爆発する。

(僕は……)
(ヘールボップなんだ!)

 ギアが変わった。
 前へ飛び出して、ぐんぐんと加速を始める。
 広美の頬を涙が伝うが、口元は綻び、満面の微笑みに変わって行った。

「……仁美が……ボップが」

 視界の端で、他の馬たちが流れていく。
 抜く。
 抜く。
 抜く。
 そして前が近づく。

「走りゆう……」
「アマノガワを追いかけて……」
「……前へ前へ」

『さあ、アマノガワが抜け出します』
『このまま、他馬をねじ伏せるか?』
『しかし、大外からもう一頭』
『なんと、1枠1番、白い帽子』
『ヘールボップ、ヘールボップです!』

 自転車の記憶、運動会の記憶、レースの記憶。
 広美の脳裏に、幼い時から今まで姿を変えながら、仁美が走り続ける。

「……ずっと、ずっと」
「仁美は……走りゆう!」
「走り続けゆう!」

「残り二百……届いて!」

 もう一度、鞭を入れて懸命に手綱を握る仁美。

「来たね、抜かせはしないよ……」
「ヘールボップ!」

 竹もまた、鞭を入れて追う。

「お父ちゃん!」
「お母さん!」
「仁美に……力を貸しちゃって!」

 前との差、五十メートル。
 二十メートル。
 そして、ゴール前十数メートル。
 アマノガワとの差が縮まり、ゴールの先を見据える仁美が、目を見開いて驚いた。 

「……お父ちゃん、お母さん……」

(……お父さん)

 ゴール板の向こうに、万次郎と明美が手を振り、コメットハンターが静かに佇んでいた。

 洋平が、その声が枯れんばかりに叫ぶ。

「走れ!ボップ!仁美ちゃん!」

 信吾も体を震わせながら叫ぶ。

「ボップーー!仁美ちゃーーん!」
「交わせる、交わせるでーー!」

 瀧越もテレビに向かって叫ぶ。

「行ける!押して押して、押しきれ!」

 北林オーナーも馬主席で叫ぶ。

「もう少しだ!行けーーー!」

 藤村も、客席で叫んでいた。

「届く、届くぞー!走れー!ヘールボップ!」

 広美が最後に声を振り絞った。

「仁美!仁美ーーー!」

 ヘールボップの踏み込みに力が籠る。
 蹴り上げる脚の運びが、芝生をえぐり、歩幅がさらに広がった。
 再加速したヘールボップは、一気にアマノガワに並ぶと、首差交わして先頭でゴールを果たした。

「おめでとう、仁美ちゃん」
「まんじくん……約束は、君の勝ちだ!」

 客席から、音が消えた。
 広美と洋平は抱き合って飛び跳ねた。
 信吾は真っ赤な目で雄叫びを上げる。
 北林オーナーは、拍手をつづけ、藤村は目を腫らせて鼻をつまんだ。
 高知の瀧越は、テレビの前で握手や抱擁を繰り返す。

 秋風の舞う、府中競馬場で、場内実況がこだました。

『なんと、勝ったのはヘールボップ』
『2歳以来の中央GⅠ制覇!』
『高知への旅を経て、彗星が天の川を横切りました!』

 ウィニングランで、右手を高々と上げる仁美に向かって、千切れんばかりに手を振る広美。

(お父ちゃん、お母さん……見よった?)
(……仁美が、あの子、やったで)
(すごいこと、やってくれたで)

 場内は割れんばかりの声援。
 「ヘールボップ」
 「仁美」
 両コールが、鳴り止まない。

 着順掲示板の上に、万次郎と明美が立っていた。
 誰からも認識されることはない。
 しかし、確かに娘の姿をしっかりと目に焼き付かせている。

「……まんじさん、いきなりGⅠですよ」

「わしは……3年かかったねゃあ」

「私の息子も、やるものでしょう?」

 コメットハンターも、ゴール板の陰から見守っていた。

「……命いうがは、不思議なもんやねゃあ、巡り巡って受け継いで」

「新しい姿になっても、伝わる中身は同じまんま」

「そうやって、世界は続いて行くんでしょう」

 すると、万次郎が明美に耳打ちして、悪戯っぽく笑った。

「……それ、後で大騒ぎになってもしりませんよ?」
「面白そうやけど」

「やろ?」 

 二人は笑い合って頷き、手を取り合って、掲示板の上から姿を消していく。
 矢野アナウンサーの実況の声が、ヘールボップと仁美のコールと共に、秋晴れの府中の空に高らかに響き渡った。

『沖浜仁美とヘールボップ!』
『お互いの父が制した、この府中の2400m』
『クラシックディスタンスを制覇!』
『まさに!彗星が……いや彗星は……』
『彗星は南からやって来たー!!』

Win〜彗星は南から
           完 

エピローグ

 ジャパンカップの興奮から数日後、広美の自宅のチャイムがけたたましく鳴り響く。
 扉を開けると、慌てた様子の仁美が立っていた。

「仁美?どういたがで?こんな時間に、まあ上りや」

「……お姉ちゃん!口取り式の写真が届いたがやけど、ちょっと見て!」

 仁美の手に持った封筒の中身を確認した広美が、一瞬驚くも、姉妹は顔を見合わせて、微笑み合った。

「二人とも、来ちょったがやね」

「見よってくれたがやね」

 その写真は、ヘールボップにまたがる仁美を中心にして、両側に手綱を持つ関係者が並んだ口取り式の写真。
 端に、満面の笑みで写真に収まる。
 万次郎と、明美の姿が、しっかりと写っていたのだった。

おしまい

 最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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あとがきはこちら

マガジンに全話収録されています

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