Photo by
pasteltime
幻想小説|尊き君へ─第6話:幻想と君と─
──この感じは、
いったい、なんだろうか。
──この、温度は。
「
……ねぇ。
ちゃんと私の話、聞いてる?
」
「
………あぁ、すまない。
ぼーっとしていたみたいだ。
」
目の前で、君が楽しそうに笑っている。
どうやら、僕たちは──
一緒にケーキを食べていたようだった。
「
ここのケーキね、
絶妙な甘さで有名なんだよ。
ロイくん──
甘過ぎるの苦手って聞いたから
ここのだったら大丈夫かなって
そう思ったんだけど……。
」
紡さんは、そう言って──
少し不安そうな顔をして、僕を見ていた。
……まったく。
本当に分かってないなぁ、紡さんは。
「
ふふふ…これは、紡さんが──
僕のために見つけてくれたケーキなんだ。
それも相まって、とっても美味しいよ。
……ありがとう、紡さん。
」
紡さんは、僕のその言葉を聞くと──
少し照れたようにした後、
僕を見て、嬉しそうに笑っていた。
「
ロイくん、ねぇねぇ。
こっちもすごく美味しいよ。
……はい、あーんってして?
」
僕の目の前には──
幸せそうな笑みを浮かべながら。
フォークで掬ったケーキを、
優しく差し出してくれている。
──紡さんがいた。
