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k_jack_norio
幻想小説|尊き君へ─第5話:緑心と君と─
そうして、
僕たちが歩いて行った先にあったのは──
“夢喰(ゆめくい)の森”と書かれた
割と大きめな木製の立て看板だった。
「
ここから先、夢喰の森。
己を見失う者は立ち入るべからず……。
これは、なかなか──
興味深い場所に来てしまったようだね。
」
「
……ん〜。
だけど、空気は澄んでいて美味しいし、
そんな不気味な感じしないけどなぁ…。
」
僕の隣にいた君は──
意外にも、落ち着いているように見えた。
ただ──この森を抜けると、
僕たちが向かっている場所への
近道になるらしい。
先日、訪れた町で聞いたことを
──僕は、思い出していた。
「
……どうしようか。
森を抜けると、近道らしいけど。
」
「
それなら──決まりね!
私、遠回りも好きだけど……
早くあなたを連れて行きたいの。
」
「
君がそういうなら──
僕は、その“意思”を尊重するよ。
僕が先行するから、
君は、僕の後ろからついておいで。
」
そうして、僕たちは──
この“不確かな森”の中へと、
静かに、足を踏み入れていった。
そして……。
この時の僕の右手には──
君の“愛らしい手”が繋がれていたんだ。
