#352 「ラジオ体操第二」が本気だった話
朝6時25分。
2杯目のコーヒーを淹れようとリビングに行ってみると、テレビの前で母が体操をしていた。
NHKで放送されている「テレビ体操」だ。
テレビからは、「ラジオ体操第一」が流れていた。
僕も、朝にラジオ体操をすることを習慣としている。誰もが知っているラジオ体操であるけれど、僕はこの運動こそ最強だと思っている。
なぜならたった3分で全身を温めることができるのだから!
実際、朝にラジオ体操をやるようになってから、確実にQOLが上がった。これについては以前エッセイとしてしたためたので、そちらを読んでいただけると嬉しい。
だがここでいきなり前言撤回をさせていただきたい。
4月から職場が変わってからというもの、朝のラジオ体操を若干サボってしまっている。
これはまずいと思っているのだが、どうしても体操をする心身の余裕がなかったのだ。言い訳であることは重々承知しているのだが、ある程度の余裕がないと運動を続けるというのは難しい。
しかし、ラジオ体操第一のあの前奏を聞くと、思わず体操をしたくなってしまう……!
僕はドリップコーヒーを差し置いて、母の隣に立ち、気づけば両腕を上へと伸ばしていた。
ああ、気持ちいい。なんて爽やかな朝だ。
体を伸ばしていると、体中の筋肉たちが「伸ばしてくれてありがとう!」と感謝しているかのようだ。やっぱりラジオ体操って素晴らしい。深呼吸で終わるところもまた美しい。
ラジオ体操第一が終わり、コーヒーのもとへ行こうとすると、母はこう言った。
「次は第二だよ」
だ、第二だと……。
もちろんラジオ体操第二の存在は知っていた。小学生の頃にポツポツとやったことがある気がする。だが、覚えているのは男子たちが無邪気に爆笑しながら「マッスルポーズ」みたいなことをやっていたことだけ。それ以外の体操がどのような内容かまでは全く覚えていなかった。
指導の方が高らかに「ラジオ体操だいにぃー!」と声を上げる。
やってやろうじゃないか、ラジオ体操第二。
開いてみせようじゃないか、新しい世界。
軽く体をゆする運動から始まり、次に登場するのは、早くもあのマッスルポーズの運動だ。
ラジオ体操の生みの親であるかんぽ生命の解説によると、これは「腕と脚を曲げ伸ばす運動」といい、全身の血行を促進する効果があるという。お手本通りに体を動かしてみると、確かに1回やっただけでも、体中に血が巡っている感覚を覚える。確かに一見すると滑稽な動きに感じるけど……いやいや、ふざけてやるようなもんじゃなかったぞ、立竹少年。

決してマッスルポーズではありません。
「腕を前から開き回す運動」「胸を逸らす運動」「体を横に曲げる運動」とどこかラジオ体操第一と通ずる動きをしていると、どんどん体が熱くなっていくのがわかる。ラジオ体操といえど、そこそこの運動量なのだ。
そして、次の「体を前後に曲げる運動」が凄い。
ものすごく勢いよく腕を前後に振っている!
こんなにダイナミックな動きがラジオ体操にはあったのかと驚愕を覚える。腕の勢いのまま背中を逸らすと、背骨がぼきぼき言っている。これが気持ちいい。そしていかに自分の体が凝り固まっているかがわかる。

次の「体をねじる運動」もなかなかに激しい。腕で空気を切り裂くように体をねじる。
「片脚跳びとかけ足・足踏み運動」でリズムがわからなくなり、「体をねじり反らせて斜め下に曲げる運動」で腕・肩・背中をゴリゴリ鳴らし(固まりすぎ)、「体を倒す運動」で再びお手本の方の動きの激しさに驚愕する。
思った。
ラジオ体操第一がウォーミングアップだとするならば、ラジオ体操第二は本気の体操である、と。
間違っても、子どもの頃の僕のようにふざけてやるものではない。これは本気の世界なのだ。
「両脚で跳ぶ運動」の三拍子に頭が混乱するも、「腕を振って脚を曲げ伸ばす運動」で乱れていた息が徐々に整っていく。
そして最後はお決まりの深呼吸。腕を横に伸ばしながら呼吸をすると、こんなにも心地よいのか。
今日も1日、お元気で。
その言葉と共に、朝の体操の時間は幕を閉じた。
横を見ると、爽やかな表情で「お疲れ」と言う母の姿。後ろを見ると、なぜかわからないがゴロゴロと喉を鳴らす愛猫の姿があった。
これから仕事へ行くというのに、若干体に疲労を覚えている自分がいる。
でも、やっぱり心地よい。最近サボり気味だったラジオ体操の習慣を再び戻そうと決意した朝だった。
台所のコーヒーは、やっぱりすっかり冷めていた。
参考・引用サイト
・【図解】ラジオ体操第二・立位の順番とコツを解説|かんぽ生命保険
いいなと思ったら応援しよう!
サポートをしていただけるととてもとても嬉しいです! 読書と勉強の糧にさせていただきます!