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わたしいきてる〜第5話 ぴーちゃんの脳カテ。さらに続く検査。

 大学病院に到着してからどれだけの時間が過ぎただろう。外は陽が沈み始めている。
検査をするためにぴーちゃんの体重を聞かれてからは、医師も看護師もERの待合室には姿を見せることはない。

 私は翌日以降の仕事をすべてキャンセルするための電話やメールのやりとりを一通り終えると、急に暇になった。
 冷房の効いた何の変哲もない救急外来の待合室。白くて、静かすぎる。手持ち無沙汰な時間は苦手だ。

 私はネガティブな感情が湧いてこないようにスマホを手に取り、ネットサーフィンをし始めた。



     「三階へお願いします。」

ネットサーフィンをしてからどれくらいの時間が経っただろうか。看護師が私に声をかけた。

『やっと移動できる!』

私は目に見えて何も変わらない状況がようやくちょっと動いたことで、少し呼吸が楽になった。
看護師に案内されたのは、3階手術室の近くの相談室だった。
そこには、一人の眼鏡をかけた医師が座っていた。ドクターヘリを降りたときにいた医師ではなかった。
その医師に促され、私は椅子に座った。

『頭の中の出血部位を詳しく確認したいので、カテーテル検査をしたい。』

ということだった。

脳のカテーテル検査というのは脳血管造影検査のことで、太ももの付け根の動脈から細い管(カテーテル)を血管の中に入れ、脳の血管に造影剤を注入し、ⅹ線で撮影する。血管の詳しい様子がわかる検査だそうだ。

そして、その検査をするにあたって母である私のサインが必要とのことだ。
説明を聞いて、私の頭の中は3つの疑問で満たされた。

1. こんなに時間が経っているのにまた検査?
 ぴーちゃんは何か処置されているのか。
2. 脳内の出血はまだ続いているのか。
3. 手術はいったいいつになったらするのか。


私は何かにつけて『知りたい!』に駆られ、疑問を抱き、調べ、解決することが趣味のような、好奇心旺盛な人間で、時に人を困らせてしまうこともある。

「手術はまだできないんですか?」

知りたがりの私は、医師の話を一通り聞いてから、質問した。

「出血部位をしっかりと特定できないと逆に危険なので、検査が先になります。」

と、その医師は丁寧に教えてくれた。

そこで私は、二つ目の疑問をぶつけた。
「まだ出血してるんですか?」
「いえ、今はもう止まっています。」
ここまで聞くと、私が全てを理解するよりも、
手術に一刻も早く入ってほしいと判断した私は、

「そうなんですね。わかりました。」
と答え、サインをするためにペンをとった。

『滞りなく早く手術してほしいから、手術を終えるまでは質問を最低限にしよう。』

とサインをしながら私は思った。

 最後に、このカテーテル検査は、全身麻酔下で行われるので、この時点でぴーちゃんはもう人工呼吸器を装着していると説明を受けた。


         6話へ続く

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