幼稚園嫌いだった私が、幼稚園の先生を目指す事になるまでの実話 全3話
【第2話】差し伸べられた手が教えてくれた事
転園してすぐのあの日から、
私の中で幼稚園や先生のイメージが少しずつ変わり始めた。
もちろん、全部が楽しくなったわけじゃない。
知らない子どもたち、知らない教室、知らない遊び。
緊張は毎日あった。
でも、あの先生がそばにいるだけで、
「大丈夫かもしれない」と思える自分に気づいた。
朝、保育室に入ると笑って迎えてくれる。
遊んでいるときも、先生を見るとよく目が合って、微笑みかけてくれた。
何かあれば「どうしたの?」とすぐに気づいて声をかけてくれる。
私の小さな不安を、ちゃんと見てくれる人だった。
ある日、みんなで外遊びをしていたとき、
私は同じクラスの子にうまく声をかけられなくて、少し離れたところから、じっと見ていた。
その時、先生がそっと近くに来てくれて、
「一緒にいってみよう!」と手を差し出してくれた。
その手に触れた瞬間、胸の奥がじんわりあたたかくなった。
前の園では、
“できない私”は置いていかれるばかりだったけれど、
ここでは“不器用な私”もちゃんと見てもらえる。
“怒られる場所”だった幼稚園が、
少しずつ“安心できる場所”に変わっていくのを感じた。
気づけば朝、幼稚園に行くのが怖くなくなっていた。
むしろ、楽しみにさえなっていた。
あの優しい先生が近くにいてくれたから、
いつも見ていてくれたから、
5歳の私の世界はこんなにも変わることができたのだと思う。
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