幼稚園嫌いだった私が、幼稚園の先生を目指す事になるまでの実話 全3話
【第3話】忘れられない泥団子と笑顔が教えてくれたこと
幼稚園が安心できる場所になっていった頃、
私は毎日のようにあの先生のそばにいた。
ある日、園の奥にある泥山で、みんなで水多めの緩い泥団子を作って、泥山の壁に投げて
ベチャっとくっつける遊びをしていた。
初めて見る遊びで楽しそうだな、と思ったけれど・・・
みんな泥だらけ・・・
「こんなの先生に見つかったら怒られるよ」
と思って参加はしていなかった。
そこへ先生がやってきて・・・
「あっ、見つかった。みんな怒られちゃう。」
と思った瞬間、先生は・・・
「えー、楽しそう!入れて入れて!」
と、にこにこした笑顔で一緒に遊び始めた。
・・・・・・???
驚きすぎて先生から目が離せなかった。
先生は子どもたちと同じように泥だらけに
そして、私にも「やってみる?」と笑顔で
泥団子を渡してくれた。
こんな事していいんだ・・・?
汚れても大丈夫なんだ・・・?
みんなと泥だらけになって
大騒ぎして遊んだ日。
胸の奥がずっとあたたかくて、最高に楽しかった。
その頃からクラスの友だちとも自然と遊べるようになっていった。
その後も先生は、私の“得意”をたくさん見つけてくれた。
みんなの前でお話するの上手だから代表に選んだよ!と運動会の代表の言葉に選んでもらい、上手に発表できたこと。
製作が得意で、作品展で活躍できたこと。
他にもたくさん。
私は少しずつ自信がついて、
色んな事に挑戦してみようと思えるようになった。
5歳の私は、まだそんな言葉は知らなかったけれど、心の中でひとつのことを感じていた。
「たった一人の大人との出会いで、子どもの世界ってこんなにも変わるんだ。」
怖い場所だと思っていた幼稚園が安心できる場所になって、できないと思っていた私が「やってみよう」と思えるようになった。先生が変えてくれたのは、私ではなく、私が見ていた世界だった。
先生はいつも笑顔で楽しそうで、
行事では感動して泣く姿もあった。
気づけば先生の事が大好きでたまらなかった。
その背中を見ているうちに、私は大きくなったら「こういう先生になりたい」と強く思った。
5歳のときに芽生えたその気持ちは、
その後、どんなに、時間がたっても揺らぐことはなかった。わたしもあの先生になる!
あの日の優しさと遊びの楽しさ、安心感
そして自分の得意を見つけてくれたこと。
私を私としていつも向かい合ってくれたこと。
すべてが、私の原点になっている。
幼稚園嫌いだった私が、幼稚園の先生を目指す事になるまでの実話 (完)
↓それから15年後・・・
