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【企業小説・國定長三郎】改訂4話・羽川と相克する男【無料】

皆さん、お疲れ様です!
長三郎です!
企業小説・國定長三郎4話
内容を大幅改訂し、全編無料にしました!
是非最後まで読んでいただけたらと思います。


【企業小説・國定長三郎】
改訂4話・羽川と相克する男

「君、私に対して失礼だよ!」
「お前なんか無礼講に決まってんだろ!」
「それで三課の仕事は務まるのかね!」
「二課の課長止まりが随分な物言いだな」

朝、コントロール室へ入ると
羽川課長と1人の男の怒号が飛び交う。

大道寺伸也。35歳。製造三課リーダー。
元製造二課。羽川と犬猿の仲。
5年前に製造三課へ異動通告。Dr.ペッパー好き。

大道寺は一方的に吐き捨てて退室した。
「皆さん、上司に対してあんな失礼な態度はいけませんよ!仕事以前の問題ですからね!」
羽川は顔を真っ赤にして全員に言い放った。
上司との真っ向対立。
果たしてそんな日が来るのだろうか。
今の自分からは考えられない。

「皆さん、改めましておはようございます!新人さん達が、入社してから1週間になりました。今日から充填作業を1人で行い、分からない事があれば聞いて下さい。3人の教育担当を谷さんお願いします」
「はいっ!!」
谷・大城・堀・國定が返事をした。

國定は充填場へ到着し準備を始めた。
「今日から全て1人でやっていくのか。習った通りに進めていければ問題無いだろう。」
谷が國定へ近づく。
「國定君。製品を濾過器を通して配管内で循環させて、充填前サンプルをガラス瓶100ccに取ってね。塗料の外観をリーダーへ確認して大丈夫なら充填開始だよ」
「分かりました!」

國定は思い出しながら取り掛かる。
「1人だと中々思うように進まないな・・・」「まだまだ慣れるのに時間がかかりそうだね」
「ん?あっ、片浦さん大丈夫なんですか?」
「うん。まだ痛むけど、仕事は出来るから。あんまり休んでると、山ちゃん困らせちゃうから」
「そ、そうですね。たしか15針縫ったと聞きました」
「うん。頑張らなくちゃ」
片浦が去っていく。
「まさか1週間で復帰するとは。片浦さんが軽傷だったみたいで何よりだ」

國定が充填前サンプルを持ってコントロール室へ向かう。
「今日はC班が1直でリーダーは桃川さんだ」
コントロール室へ入ると会話が聞こえてきた。
「お前が寝坊したから全然釣れなかったな」
「あはは、すんません、次から気いつけます」
「日の出前に霞ヶ浦に着かないと遅いんだわ」
「そうっすよね」
「リールとルアー磨きてえな」

桃川大河。36歳。製造二課C班リーダー。
釣り、スケボー好き。

「桃川さん、サンプル確認お願いします」
「國定か、どれどれ・・・外観は大丈夫だけど、軍手の毛糸は入ってるし、ガラス瓶がベトベトだぞ」
「す、すいません」
「良いか、國定。確認をお願いするって事は相手に観てもらう訳だ。だから自分で問題ないか確認したり、ガラス瓶が綺麗か配慮する必要がある」
「はい、分かりました。気を付けます」
「國定は釣りやる?」
「いえ、自分はやった事無いです」
「そうか。仕事も釣りと同じで、対人配慮はもちろん、計画性、忍耐力、情熱といろいろ身に付く。気が向いたらやってみると良い」
「はい、ありがとうございます」
「桃川さん、なんで釣りの事を熱弁してるんですか?釣り仲間増やしたいだけでしょ?」

雉岡飛鳥。32歳。C班サブリーダー。関西出身。釣り、スケボー好き。歯に衣着せぬ人。

「國定が釣りした事ないっていうから教えてやらないとダメだろ。雉岡、仕事は遅刻しても、釣り行く日は寝坊すんなよ」
「あはは、桃川さん、言ってる事リーダーとしてまずいっすよ」

國定は会釈して充填場へ戻る。
「桃川さん、豊臣さんとは全く違うタイプの人だった。リーダーにもいろいろな人がいるんだな。サンプル取る時は毛糸が無い事、ガラス瓶を汚さない様にして持っていこう」

充填を始めようとすると谷が声を掛ける。
「國定君。まだ始業点検やってないね。装置を動かす時は必ず朝イチに確認してね」
「はい、すいません、今やります」

始業点検とは・・・作業を安全に行うため確認する点検。不具合が見つかった場合、事故・トラブルを防ぐ為に補修・修理が必要。

「問題なし。次からはちゃんと朝の時点でやらなければ。いろいろと抜けが多いな、本当に1人で出来るのだろうか。いや、やってやる!!!鮫島さんと約束したじゃないか。充填開始!」
「んっ?装置が動いてるのにポンプの圧力ゲージが0のままだ。いつも0.2kPaだったと思うけど・・・動作自体問題無いからそういう事もあるのだろう」

國定は順調に充填を進めていく。
「もうすぐ、充填が終わりだ。午前中の内にライン洗浄まで進められそうだ」

「キュキュキュキュキュキュキュキュッ
急遽、装置から大きな異音と共に白い煙が噴き出し始めた。
「な、何が起きてるんだ!?」
國定が立ち尽くす中、谷が走ってくる。
「國定君!ポンプ止めて!早く!」
「はい!」
國定がポンプを止めると異音と煙が収まった。
「ああ、ポンプがロックしてるな。國定君、
今の音が聞こえたら、すぐにポンプを止めて」
「分かりました」
「始業点検で何か異常は無かった?」
「いえ、特には・・・」

「あ、ごめ〜〜〜〜〜〜ん」
此方へ走ってくるあの人は・・・
猿谷道長。33歳。製造二課C班3番手。
部署一のお調子者。休憩中はとにかく寝る。

「昨日、ポンプ圧力計が壊れたまま報告しなかった。何か問題起きちゃった?」
谷が答える。
「ポンプがロックして壊れそうだったよ。昨日からなの?」
「そう、ごめんね。大丈夫そう?」
「止めたから何とか。猿谷さんそういうのはすぐ報告して。」
「分かった〜〜〜」
猿谷が去っていく。
「國定君。これ動かした時点でおかしかっただろ?すぐに報告して。異常を放置すると後々大事故になる気を付けて」
「谷さん・・・す、すみませんでした。」
國定は喉から絞り出すように答えた。

「少しでもおかしいと思った時点で報告する。誠実な行動をしなければ」
ふと、教習所で言われた事を思い出す。
(誠実か・・・)
ライン洗浄まで進めて、昼休憩とした。


國定は昼食を楽しみにしていた。
今朝、買っておいた吉野家の牛丼だ。
「狂牛病で営業休止になってから久々だ。うまい!美味すぎる!気持ちを切り替えていく!やってやる!!」

休憩スペースで大道寺を見つけ声を掛ける。
「だ、大道寺さんですよね?製造二課の新人國定です」
「よっ新人!頑張ってるか?」
「はい、今朝、羽川課長とのやり取り見ました」
「ああ、あんなのいつもの事だ。羽川に追い出されなければ國定と一緒に仕事してたな」
「羽川課長のせいで大道寺さんは異動になったんですか?」
「ああ、羽川が威張り腐ってて言い負かしてたら、異動になったよ。あの野郎、権力を乱用しやがって」
「そうだったんですね・・・」
「良いか、國定。二課に残りたければ羽川に逆らうな。ここだけの話だが、近々、羽川が製造部長になるって噂だ。あんな野郎がなるなんて世も末だよ」
「じ、自分が逆らうなんてあり得ないですよ」
「今はそうかもしれん。今後、対峙して國定が譲れないものがあった時に折れるか、それとも闘うかは國定次第だ」
「あいつは次期製造部長、その先、工場長の座を本気で狙っている。ご苦労な事だ」

大道寺の怪訝な大道寺の気持ちを変えようと國定は話題を変えた。
「そ、そうなんですね・・・情報ありがとうございます。ところで、製造三課とはどういう所なんですか?」
「製造三課は一斗缶への小詰専門だ。正味16〜20kgずつ一斗缶に充填していく。200Lドラムとはまた作業方法が異なる。腰を痛めやすく向き不向きがある。夜勤が無いのも特徴の1つだ。24時間稼働してるのは一課と二課だけだからな」
「ありがとうございます!二課と三課のどちらの方が良いとかってありますか?」
「そりゃ三課の方が良いよ。羽川の野郎と顔を合わせなくて済むからな。わっはっは」
國定も笑いながら戸惑う。
(どうしても羽川課長の話に戻ってしまう
「國定も羽川とやり合えば三課に異動かもな。その時はよろしくな。二課は癖が強い奴もいるが皆良い人だ、色々教えてもらうと良い。食後のDr.ペッパー最高だ!これさえあれば何もいらねえ!わっはっは!」
「ははっ、今日は辞めときます・・・」

充填場へ戻ると羽川課長が近付いてきた。
「國定君。充填ポンプ圧力計のがおかしかったのに報告しなかったみたいじゃないか。良くないですねえ。小さな異常に気付き対処する。分からなければ報告する。当然の事ですよ」
「はい、すいませんでした。」
「化学工場は小さな見落としが大事故になりますからくれぐれも気を付けて下さい」
「分かりました。」
「まあ、この会社は製造一課から四課までありますからねえ・・・いろいろ試して合わなければ他でも活躍もできますからね」
(入社してまだ1週間なのに厳しすぎないか、今は・・・耐えるしかない)
「はい、1つ1つ確実にやっていきます」
「私は期待してますから・・・」


「おいっ!!!」
振り返ると大道寺が立っていた。
「聞いてたぞ。入社して間もない國定にその言い方はないんじゃねえのか羽川!」
「大道寺さん、またあなたですか。今朝といい、なんなんですかその態度は!」
羽川が大道寺の胸ぐらを掴み、それに応える様に大道寺も羽川の胸ぐらを掴み返す。
「大道寺離しなさい!」
「お前が先にやってきたんだろが!」
國定は2人を前に立ち尽くす。
(この状況どうすれば・・・)

誰かが2人の間に割って入った。
「あっ、桃川さん」
「羽川さん、大道寺、2人とも落ち着いて。國定がびっくりしちゃってますから」
2人がお互いに睨み合ったまま胸ぐらを離す。
「私はあなたを相手にしてる程、暇じゃないんですよ」
羽川は乱れた襟元を整えて去っていく。
「気持ちは分かるが、良くないぞ大道寺」
「桃川さん、すいません。俺、あいつ見てると秒でカッと・・・ダメなんすよ」
「大道寺も國定も仕事再開、それじゃ」
桃川が去っていく。

「大道寺さん、さっきはありがとうございます」
「良いよ國定。ただちょっとやり過ぎた。それじゃ三課に戻るわ。頑張れよ」
「ありがとうございます!」
「目の前の仕事を頑張る!やってやる!!」

入社して1週間、羽川にマークされてしまう。
それでもやらなければならない。
次なる豊臣、桃川以外のシフトリーダーは
どんな人物なのか。
また二課ではある外部検査を間近に控えていた。
5話へ続く。

最後まで読んでいただきありがとうございます。













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