【企業小説・國定長三郎】改訂5話・消防隊員VS製造二課【無料】
皆さん、お疲れ様です!
長三郎です!
企業小説・國定長三郎5話
内容を大幅改訂し、全編無料にしました!
是非最後まで読んでいただけたらと思います。
感想をいただけると今後の参考になります。
ぜひお待ちしています。
【企業小説・國定長三郎】
改訂5話・消防隊員VS製造二課
「左を見れば純恋歌!」
「右を見れば青春アミーゴ!」
4月下旬、入社してもうすぐ1ヶ月が経つ。
最近の音楽と言えば湘南乃風、修二と彰、レミオロメン、絢香が席巻している。
世間の流行を否定する訳では無いが
自分は「FIELD OF VIEW」ばかり聴いていた。
心地よい。力が沸いてくる。
18歳の自分は既に流行に乗れない浦島太郎か。
それでも構わない。自分は自分だ。
休日、國定は音楽を聞きながら運転する。
「赤信号になってしまうが行ってしまおう」
「何とかギリギリセーフだ。バレなければ大丈夫。早く帰ろう」
「そこの車、止まりなさい!」
「え!?後ろからパトカーが追い掛けてくる・・・終わった。」
國定は警察官から青切符を受け取る。
「完全なアウトだ。交差点でちゃんと止まっていれば良かった・・・9000円あれば何でも買えたな・・・」
4月下旬、コントロール室にて朝礼。
羽川が口を開く。
「皆さん、おはようございます。明日は新設備設置に伴う消防検査があります。指摘の無いよう準備して臨むようにお願いします。伊座奈リーダーお願いしますね」
消防検査とは・・・消防用設備等設置完了検査。新設備等の設置が完了した後、消防機関が現地で確認する検査。新設備が法令通りに機能するか、避難経路は適切か、防火管理体制は整っているかなどを確認する。時折、従来の箇所もチェック、指摘される事がある。
今日のリーダーは・・・
伊座奈 義堂(いざな ぎどう)。46歳。
製造二課B班リーダー。放任主義。
「はい」
伊座奈リーダーは気迫の無い返事をする。
「須佐野。明日、消防検査だからな」
「はい・・・分かりました」
伊座奈から指示を受けるこの人は・・・
須佐野 治(すさの おさむ)。29歳。
製造二課B班サブリーダー。
無駄が嫌い。効率至上主義。ビール好き。
須佐野もまた気迫の無い返事をする。
朝礼後、大城が國定へ話し掛ける。
「國定君。相変わらず伊座奈さんと須佐野さん険悪な仲だね」
「そうだね。指示だけで非協力な伊座奈さんと、効率重視で進めたい須佐野さんの溝は深まるばかりだ。空気が重くて同じ場所にいるだけで疲弊するよ」
「伊座奈さん、殆んど仕事してないから須佐野さんが実質リーダーみたいな感じだよね」
「そうだね。班によって人、仕事の進め方が全然違う事に驚きを隠せない」
充填場へ向かうと、山辺が日勤者を集めた。「朝礼で言っていたように明日は消防検査。主に新しく導入したドラム計量器の確認だ。現場を見回る事がある。現場では道具や機器の定位置管理、検査員に会ったら挨拶する。何か質問されたらしっかり受け答えする。以上、解散」
堀が話し掛けてくる。
「國定君、消防の人に何か聞かれたらどうしよう。僕、緊張しちゃってちゃんと答えられそうにない・・・考えただけで嫌になる」
「確かにそうだな。質問の内容にもよるが、そういうのは上の人たちで解決して欲しい。分からなければ、「入社して間もないので分かりません」で良いんじゃないか?」
「でしっ」
堀は返事と言えないような返事をした。
大城が割って入る。
「まっ!なんとか大丈夫しょ!」
「大城は一体何処からそんな自信が出てくるんだ?」
「自信というか気にならないんだよな〜」
「俺も大城流の気構えで検査だか知らんがやってやる!!」
昼休憩、國定は休憩スペースで須佐野を見つけ声を掛ける。
「す、須佐野さんですよね?」
「新人の國定です」
「國定か、仕事は順調そうだな。このペースなら、2年以内にはシフト勤務に入れるよ」
「そ、そうなんですか?」
「ああ、お前たちが力を付ければ、戦力外の老兵達をシフト勤務から追い出せる」
「老兵というのは・・・」
「伊座奈みたいなクズの事だよ。見れば分かるだろ。あいつ何にもやらなくて邪魔なんだよ」
「そうなんですね・・・」
「良いか國定。豊臣さんみたいな良い人もいれば、伊座奈みたいな奴もいる。良い上司を見極めなければ目指す方向を見失う」
「はい、分かりました」
「あいつは必ず追い出す!というか潰す!」
(須佐野さんかなり熱くなっているな・・・)
「あいつ消防検査準備もほぼ丸投げだぜ、ふざけやがって」
(いつの日かシフト勤務で活躍!やってやる!)
シフト班、日勤班共に準備を終え消防検査に臨む。翌日、消防検査を迎える。
朝礼、羽川が口を開く。
「皆さん、今日は消防検査です。検査官の方々が帰るまで不手際の無い様よろしくお願いします。伊座奈リーダーお願いします」
「はい」
伊座奈は力の無い返事をした。
朝礼終了と同時に
コントロール室へ3名の消防士が入ってきた
「本日、予定通り消防検査を決行します。予防課の代表菊池です。よろしくお願いします。同じく検査官として2名、坂爪、前原です。」
菊池氏の背後に立つ2名が会釈した。
検査官の菊池が新設したドラム計量器前に向かう。羽川、伊座奈、山辺が立ち会う。
充填場で準備をしていると谷が新人3人へ話し掛ける。
「みんな、検査官1人が説明を受ける中、一緒に来ていた2人が別行動で現場内を見廻りしているから注意して。いつも通り保護具を着用して安全作業をしよう」
「分かりました」
(あの2人から指摘される事が無い様に・・・)
「んっ?なんだこれ?ノズルがおかしいぞ」
「何でこんな日に。谷さんへ報告しよう」
「谷さん。このノズルなんですが・・・」
充填ノズルとは・・・容器に液体や粉体などの内容物を詰め込む為に使用する道具。
装置に取り付け、ドラムの口栓部の穴へノズルを伸ばして塗料を充填する。
「ダメだびくともしない、前回の製品が固まっちゃって使えないや。國定君、第2備品庫にある予備のノズルを使おう」
「第2備品庫?そんな部屋ありましたか?」
「元々はコンプレッサー室なんだけど、物が置ききれないから備品庫に改造したらしい。そこに予備のノズルが置いてあるから。消防官に知られるとまずいからそっと取ってきて」
「分かりました(その部屋、大丈夫なのか)」
國定がコンプレッサー室へ向かう。
備品庫とは・・・工場に必要な消耗品や部品の予備、使用頻度の低い道具等を一時的に保管する場所。これにより、現場を整理して効率的な環境を保つ。
國定がコンプレッサー室でノズルを探す。
「物が無秩序に散乱してる。何処に何があるか全く分からない。こんな部屋が消防官に見つかったら何を言われるか分からない。あ、予備のノズルあった。早く戻らなければ」
部屋を出ようとした時、目の前に誰かがいた。
「國定、何やってる。そこをどけ」
須佐野が慌ててコンプレッサー室のドアに鍵を掛けて施錠した。
「須佐野さん、どうしたんですか?」
「いつも消防検査の時は、この部屋を見られないように施錠しておくんだよ。こんなゴミ倉庫を見られたらまずいからな、忘れてて今来たんだ、國定は予備ノズルを取りに来たのか?」
「はい、いつものが使えなくて取りに来ました」
「分かった、早いところ戻った方が良い」
「はい、分かりました」
「あれ?こんな所に部屋なんてありましたか?」振り返ると消防検査官・前原が立っていた。
須佐野が答える。
「検査お疲れ様です。ここはコンプレッサー室で危険ですので入室出来ません」
「そうでしたか。今回不死鳥ペイントさんの検査が初めてなもので。ですが、その道具を部屋から持ち出されたようですが中に何かありますか?」
「あ、これ誰かが間違って置いていってしまったようで困っちゃいますよ、あはは」
國定が咄嗟に答えた。
「そうでしたか。今回初めての現場でして参考までに見学させてもらってよろしいでしょうか?」「ここは禁止ですので関係者以外立ち入り禁止です。上長の許可が必要ですのでどうかご容赦を」「・・・そうですか、分かりました」
前原は2人の前から去っていった。
「國定、何とか耐えたな」
「九死に一生を得ましたね」
現場へ戻ると羽川、伊座奈、山辺、菊池が談話していた。検査が終わったようだ。
國定が谷へ事の経緯を伝える。
「國定君、危なかったな」
「はい、何とかギリギリセーフです」
菊池が口を開く。
「今日は検査完了です。お疲れ様でした。特に問題ありません」
羽川が答える。
「いえいえ、今日は御足労いただきありがとうございました。またよろしくお願いします」
「羽川課長、1つお願いなのですが、前原よりコンプレッサー室が気になるとの事で一度確認させて頂きたいのですがよろしいですか?」
羽川が血相を変え頭を掻きむしりながら答える。「あ、あそこには特に何もありませんが・・・」「羽川課長。何も無いとは思いますが、念の為チェックさせて下さい」
「・・・はい、分かりました」
近くで聞いていた谷、國定が動揺した。
「あんなの見られたらまずいぞ」
羽川、伊座奈、山辺、菊池、坂爪、前原がコンプレッサー室前に到着した。
「丁寧に施錠まで・・・羽川課長。ドアを開けて下さい。」
菊池が羽川に伝える。
「わ、分かりました・・・」
羽川がドアの施錠が解除した。
菊池がドアノブに手をかける。
一同が諦めたその時、菊池が持つ携帯電話の着信が鳴る。
「失礼、少しお待ち下さい」
「はい、菊池です。」
「・・・今からですか?・・・分かりました」
菊池が電話を切る。
「羽川課長、急遽別件で要請が入りましてこれにて失礼します。コンプレッサー室はまた日を改めて確認させていただきます」
「そ、そうでしたか、それは大変ですね。またの機会によろしくお願いします」
羽川は安堵しつつ菊池へ言葉を返す。
「前原、太陽セメントで完成検査を前倒しで行うので私と一緒に。坂爪は市営住宅・是正指導の報告書作成を今日中に」
「は、はい」
坂爪、前原が会釈し足早に去っていく。
前原が國定に気付き近づいてくる。
「あなたは先ほど部屋の前にいた方ですね」
「はい、もう帰られますか?」
「はい、急用が入りましたので」
「あの、お名前は?」
「製造二課、國定です」
「名前、覚えておきます。あの部屋、國定さんのおかげで気付けたのですが惜しかったです」
「な、何もありませんよ・・・」
「本当にそうでしょうか・・・失礼します」
3人が消防車に乗り出発したのを確認した。
羽川が大声で叫ぶ。
「今すぐ、コンプレッサー室にある物を全部片付けて!!!今すぐにですよ!!!」
コンプレッサー室の不正使用発覚を免れた。
上司同士が険悪でもやらなければならない。
國定は進んでいく。
新人達は結託して1人の上司攻略を決意する。
6話へ続く。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
