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【企業小説・國定長三郎】改訂2話・労働の開闢【無料】

皆さん、お疲れ様です!
長三郎です!

企業小説・國定長三郎2話
内容を大幅改訂し、全編無料にしました!
是非最後まで読んでいただけたらと思います。


【企業小説・國定長三郎】
2話・労働の開闢


「大丈夫だ。先輩達がいる」
國定は落ち着かない自分に言い聞かせる。

休憩スペースへ移動し、映っているテレビのニュースを眺める。
「ツーカーが6月で新規受付終了か。今話題のmixi・モバゲー・GREE?・・・興味無いな」

國定はテレビから視線を逸らすと、同じく休憩していた谷と目が合った。
「あっ、谷さん!お疲れ様です。さっきはありがとうございました。」

谷竜司。41歳。頭に血が上りやすい。
製造二課。3年目。リーゼントパーマ。

「國定、大丈夫か?現場初日から大変だったな。鮫島さん問題無ければ良いな」
「はい、そうですね。それと、昨日は不注意でぶつかってしまいすいません」
「ん?そんな事あったか?まあ気持ち切り替えて頑張れな。何かあればすぐ言ってくれ。」
「ありがとうございます。頼りになります(谷さん、ぶつかった事覚えて無いんかい)」
谷と和解?出来た長三郎は胸を撫で下ろす。

「そろそろ昼休憩が終わる、今のうちにトイレに入っておこう」
國定はトイレのドアを開けると1人の男と目が合う。

脇田次郎。41歳。製造二課。リフター。
三ツ矢サイダー好き。漏らしやすい。

リフターとは・・・フォークリフトを扱う担当業務、主に充填されたドラムや一斗缶を工場から倉庫へフォークリフトで搬送。

(うっ、トイレ中がすごい臭い、この人からだ。間違いなく漏らしてる)
「あ、あの・・・」
「どいてくれ、風呂場へ行ってくる」
脇田は國定を避けて去っていく。  

「床が汚れてしまっている・・・」
國定が困惑していると、1人の大男が入ってきた。
「臭い、また脇田の奴だな」

山辺秀康。41歳。180cm。130kg。
製造二課。日勤不動のリーダー。冷静沈着。
工場内の装置、道具について完全に熟知。
米、肉、PS2、AVが生活の中心。

「日勤リーダーの山辺だ、これからよろしく。國定君、脇田を見なかった?」
「風呂場へ行くと言っていました。床を汚してしまったみたいですが、掃除しておきますか?」
「やらなくてよい、あいつにやらせるから。いつもそうしてるから気にしなくていい。それと國定、午後からは犬山が教育担当になったから指示を受けて」
「はい、分かりました」

國定は現場へ戻ろうした矢先、大城と遭遇する。
「國定、大丈夫か?探してたんだよ」
「大城、どうしたんだ?」
「シフトリーダーの豊臣さんから話があるらしくて、新人3人コントロール室集合だって」
「豊臣さん?」
「今日はシフトA班でA班のリーダーが豊臣さんだよ」
「分かった、行こう」
堀も合流し、3人でコントロール室へ向かう。
シフトリーダーから一体、どんな話をするのだろうか。


「大城君、堀君、國定君、改めましてA班シフトリーダーの豊臣です」

豊臣宗一郎。42歳。製造二課A班リーダー。
生産を完璧に進捗する。部下の面倒見が良い。
人に仕事を頼むのが苦手。

「2つ話しておきたい事があって呼びました。働き方とシフト制についてです」

「先ず、分からない事があれば必ず聞いて下さい。曖昧なまま進めると危険です。遅くなっても大丈夫です。確実に進めていきましょう。良いですね?」

3人は揃えて返事する。
「はいっ!!!」

「そして、化学工場は危険が多く、決められた手順を守らないと何が起きるか分かりません。正しい手順を1つ1つ覚えて守りましょう」
「はいっ!!!」

「もう1つのシフトについてですが、1日12時間の二交替、24時間フル稼働の3勤3休です。先ず朝から12時間を3日、そして3連休、今度は夜から12時間3日、3連休で繰り返します」

堀が口を開く。
「1年の半分が休みって事ですか?」
「そうだね。ただ1日が12時間勤務で長い、朝と夜の仕事を繰り返すので体調を崩しやすい。それと日勤より仕事の難易度が上がるよ」

國定は話を聞きながら奮い立つ。
(休みが多い。難しい仕事に携わる。活躍して自由になる。これだ!)
「説明ありがとうございます!決めました!豊臣さんや鮫島さんのようなシフトリーダーになります!」
「うん、國定君。まだまだ先だと思うが、良い心意気だよ。3人共シフト勤務に入れるように仕事をしっかり覚えていこう。君たちは未来のホープだ」
「はいっ!!!」
話が終わり3人は現場へ戻る。

「気持ち悪い・・・」
移動中、堀がその場でしゃがみ込んでしまう。
國定が声を掛ける。
「堀、大丈夫?何かあったか?」
「寝不足かもしれない、昨日ほとんど寝れてないんだ・・・」
「間違いなく寝不足だな。あと数時間で終業だし、何とか一緒に頑張れないか。深呼吸するとか、楽しい事を考えるとか」
「無理・・・」

大城も口を開く。
「ファンタオレンジでも飲めば大丈夫っしょ。俺はいつもそうしてるよ」
「ファンタいらない・・・」

國定と大城は困惑し、山辺に堀の経緯を話す。
「堀君、初日からどうした?仕事を見てるだけでも辛いのか。」
「はい・・・」
「休憩スペースで休むか、早退するか自分で判断してくれ。ここは学校じゃないんだ」
「すいません、帰ります」
「分かった」
堀は現場を去り更衣室へ向かう。
「堀・・・」

「大城君、國定君、この際だから言っておくが体調管理も仕事の内だからな。常に就業時間にしっかり働けるようにしておいて」

「はいっ!!!」
2人は揃えて返事をした。
(学生時代のように保健室で休むなんて甘い考えは通用しないな。気を付けなければ)

國定が充填場に戻ると声を掛けられる。
「来たか國定。覚えてるか、犬山だ」

犬山泰平。20歳。製造二課。高校の先輩。
機転が利く、毒舌。
少年ジャンプを毎週欠かさず読む。
近々、シフト勤務へ異動予定。

「もちろんですよ、犬山さん。お久しぶりです」
「お前もこの会社に来るとはな。これも何かの縁だ、よろしくな。ライン洗浄やっていくぞ」
既に充填という作業は終わっていた。

充填を終えたライン内に、「トルエン」という
有機溶剤の液体を循環させて洗っていた。

有機溶剤とは・・・他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称。塗装、洗浄、印刷などの作業で幅広く使用される。

揮発性が高く蒸気となりやすい為、呼吸器、皮膚からも体内に侵入し、健康障害を引き起こす危険性があり。例「トルエン」「キシレン」


「20分位、配管内にトルエンを循環させると綺麗になるんだ」
「製品のベタツキがこんなすぐ取れて綺麗になるなんて、有機溶剤の溶かす力は凄まじいですね」
「そうだな、有害だから直接、手で触わるなよ」

犬山が説明しながら作業を続ける。
「20分経ったからドラムに抜くぞ」

トルエンをドラムに抜き始める。
「犬山さん、すごい臭いですね。スプレー缶のシンナーの10倍以上に感じます」
國定は少し意識が遠退いた。

「あっ!ごめんごめん局排付けてなかった」
犬山が何かを操作すると、トルエンの蒸気が空気孔へみるみる吸われていく。
「有機溶剤は有害だから必ず取り扱い時に局所排気装置を使って蒸気を吸わないようにするから」
「はい、わかりました」


「あっ!!やべっ!!」
犬山が慌てふためく。
よく見るとドラム缶からトルエンが
入り切らず溢れ出していた。
同時に工場内に警報が鳴り響く。

「うわっやっちまった!何でドラムに入り切らないんだ!」
「い、犬山さん、ドラムからトルエンが溢れて止まりません。どうしたら装置が止まりますか?」

山辺が向こうから歩いてきた。
状況に気付いているが慌てる様子はない。
「犬山、何をやってる。今日はトルエン200kgでライン洗浄してただろ。ドラム缶1本じゃ入り切らないよ」

「山辺さん、すみません忘れてました。掃除します」
「皮膚に触れたり、吸引する事がないように」
山辺は手伝う事なく去って行った。

「國定、悪いな。マスクとポリエステルのグローブしてウエスという布で床のトルエンを拭き取っていくから」
「犬山さん、大丈夫ですよ。みんなでやればすぐじゃないですか。それほど・・・」
「國定!」
「犬山さん、どうしたんですか?」
「その考えは捨てろ」
「どういう事ですか?」
「今はまだ新人だが、誰かに頼って解決しようと思うな。自分で解決するんだ。今回の場合、担当は俺と國定の2人。誰にも頼らない」
「これ、結構な範囲で床にトルエンが流れてますけど・・・」
「それでもやるんだ。今回は俺のミスでお前を巻き込んで申し訳ない。さあやるぞ」

(甘かった。困ったら助け合うものではないのか。仕事を受け持つってこういう事か。)
「國定、あと半分だ。またウエス持ってきてくれ。」
「はいっ!!」

掃除を終えるのに1時間が経過した。
最後まで誰も手伝いに来る事は無かった。
定時間際になり作業を終えた。

コントロール室にて羽川課長が口を開く。
「大城君、國定君、お疲れ様でした。初日で疲れてしまっただろう!わっはっは!明日もしっかりお願いします!犬山君もお疲れさん!」

「お疲れ様でした」
犬山、大城、國定はコントロール室を出る。

「今日は散々だった。大城、國定お疲れ、また明日な」
犬山は早々と去って行った。

「聞いたよ國定、大変だったみたいだな」
「ああ、仕事をするって改めて大変だな。体調管理、ミス、全てにおいて自分がしっかりやれるか試されてる感じだよ」
「まっ、そんな気にしなくても大丈夫っしょ!國定もファンタオレンジ飲む?」
「いや・・・やっぱり俺も飲むか、たまには悪くない」
「いや、毎日飲むでしょ」
「大城、それはない」
言葉を交わしてると心が落ち着くよ大城。

一方、山辺はまだ現場に残っていた。
「犬山、シフト異動の話が出てからたるんでる。どう思う?片ちゃん?」
「そうだね、山ちゃん。一度全員で会議をした方が良いんじゃないかな」
「会議か、久々にやるか」

山辺と結託して
良からぬ計画を立てる者とは一体。
後日、國定を待ち受けるのは・・・
3話へ続く。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
3話はこちらです。







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