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【企業小説・國定長三郎】改訂3話・充填王、散る【無料】

皆さん、お疲れ様です!
長三郎です!
企業小説・國定長三郎3話
内容を大幅改訂し、全編無料にしました!
是非最後まで読んでいただけたらと思います。


【企業小説・國定長三郎】
改訂3話・充填王、散る

男が血まみれの腕を抑えて悶え苦しむ。
「うあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
床には血が垂れて赤く染まっていく。
時は5時間前まで遡る。

2日目朝、國定が起床。
「よく眠れた。時間は・・・8時33分!?遅刻だ、先ず電話しなければ」
「製造二課の電話番号は・・・これだ。・・・もしもしお早うございます、國定です。」
「もしもし不死鳥ペイントの羽川です。國定君、どうしたの?何、遅刻?・・・慌てずに気を付けて来て下さい。それでは、ガチャン」
「入社して早々にまずい、急がねば」

國定は始業時間より30分遅れて到着した。
「羽川課長すいません、遅れました」
「國定君ねえ。入社して早々良くないですね。
次から気を付けて下さいね」
「この会社には遅刻ばかりして信用を失ってる人が何人もいますからね・・・」
「信用を積み上げるのは大変ですが、失うのは一瞬ですよ」
「はい、気を付けます!」
(中学、高校と寝坊した事ないのに、2日目にしてこのザマか。自分を過信しないでアラーム機能を使う事をここに誓います)

「國定君、今日は日勤者会議をするみたいなので会議室へ向かって下さい。」
「はい、分かりました」

國定は会議室へ到着。
製造二課の日勤者が全員座っていた。
「お早うございます、遅れてすいません」
山辺が國定を睨見つける。
「國定、遅いぞ。遅刻するなんて仕事が出来る出来ない以前の問題だからな」

「や、山ちゃんそんな言い方しなくても言いじゃないか。國定君まだ新人なんだしさ」

この人は・・・
北原鉄二。50歳。製造二課。
過去、製造ニ課シフト勤務で活躍、
飲む、打つ、買う三昧で金銭トラブル多発。
仕事のミスが目立ち日勤へ降格。

「北原、お前は黙ってろ。お前は後輩にも自分にも甘いんだよ。未だに借金なんかしてだらしない」
「そんなに責められてる新人を黙って見過ごせない。山ちゃん、早く会議を終わらせないと仕事を進められないよ」
「そんな事、言われなくても分かってる。本題だ。昨日のトルエン流出事件について再発防止の会議をする。片ちゃん、司会して」
「了解!」

この人は・・・
片浦大介。41歳。製造二課日勤サブリーダー。充填作業が誰よりも速い通称「充填王」
山辺リーダーへ絶対服従。オネエ言葉。
「リサ」「パトリシア」「スーザン」という名の人形がタンスに待機してるらしい。
(18歳の自分にはよく分からない・・・)

山辺、片浦、北原、脇田、谷、犬山、大城、堀、國定の9人が揃った。
「改めてこれで全員ですね。鮫島さんの復帰は未定ですから、新人3人は頑張って1人立ちを目指して下さい。」
(鮫島さん、一緒に仕事をしたいです・・・)
國定は鮫島との会話を思い出した。

「それでは本題ですが、犬山君、なぜトルエンはドラムから流出してしまったのでしょうか?」
犬山が答える。
「はい、いつもはトルエン140kgでライン洗浄していましたが、今回は200kgに増やしていた事を忘れていた為、ドラムから溢れてしまいました」

「そうですね。トルエンもウエスも勿体ないですね。原料、消耗品どちらも会社の大切な資産ですからね。ねえ、山ちゃん!」
山辺が答える。
「そうだな、時間も無駄にした。教育担当が聞いて呆れるよ」
(何だか嫌味な言い方だな、会議ってこんな一方的に言われ続けるものか・・・)

「では、犬山君。どうすればトルエンの流出を防げましたか?」
「はい、ライン洗浄後も製品充填と同様に重さを設定して自動で止まるようにして抜くべきでした」
「そうですね。めんどくさがらず少し頭を使えばこんな事にはなりませんでしたね。ねえ、山ちゃん!」
「そうだな、シフト勤務の奴らなら容易に出来たはずだからな。危険予知がなっとらん」

その時、パイプ椅子が勢いよく床に叩きつけられ物凄い音が響き渡る。
次の瞬間、谷が右手で片浦の胸ぐらを掴み身体を持ち上げた。
「てめえ、さっきからおとなしく聞いてれば分かりきった事をベラベラ言いやがって胸糞悪いんだよ、片浦!!」
「く、くるしい、は、離して」
犬山が谷をなだめる。
「谷さん、ミスした俺が悪いんです。暴力はまずいんで手を離して下さい」
「だからって、こんなの会議でも何でもねえよ」
谷が片浦を離して椅子に座る。
(谷さん、すごい怪力だ。片手で片浦さんを持ち上げってしまった。パイプ椅子があんなに曲がってしまっている・・・)

「ええ、再発防止策は毎回重さを設定して溶剤を抜くという事で羽川課長、豊臣リーダーへ報告します。終わりにするので各自仕事を始めて下さい」
山辺は全員へ一方的に言って去って行った。

「あの野郎、同じようなつまんねえ事したらただじゃおかねえからな」
谷は怒りが収まらず山辺を睨み続けた
(谷さん、最高です)
國定は思わず笑みがこぼれた。
大城を見たら何やらニヤニヤしていた。
(あいつ、この状況を楽しんでるな)

各自が現場へ向かった。
「今日は私が國定君の教育担当なのでよろしく」
「よろしくお願いします」
(今日は片浦さんか、さっきの1件があってなんだか気まずいな)
「私がいつも通りやっていくので、國定君は見て覚えて下さい」
「分かりました」

(鮫島さん、犬山さんに比べて段違いに速い。かなり効率良くて学ぶポイントがたくさんある)
「片浦さん、だいぶテンポが良くて常に走ってるんですね」
「そう、時間は有限だから少しでも早く進めて時短で進めていく。『塵も積もればマウンテン』って言うでしょ」
「そ、そうですね、参考になります」
「新人の3人もこれぐらいのペースで進めてくれないと、周りが困っちゃうから」
「はい」
(プレッシャー大です)

片浦は次々と製品をドラムに充填して
進めていった。
「今日はドラム本数多いので、一旦止めてここでお昼休憩にします。山ちゃん待って〜」
片浦は山辺の元へ走って向かう。
「あの人、本当に山辺さんの事が好きだな」

國定は昼休憩に大城と話していた。
「國定君、片浦さんはどう?」
「充填がめちゃくちゃ早いよ、参考になる」
「谷さんから聞いたんだけど、あの人『充填王』って呼ばれてるみたいだよ」
「本当に!?遊戯王みたいだな」
「それカードじゃん」
「それは冗談として、あの人と同じスピードで出来ればほぼトップクラスの早さになったも同然だな。見様見真似で俺もやってやる!!!」
「まあ大丈夫っしょ!すぐ出来るようになるよ。」

國定は北原を見つけ声を掛ける。
「北原さん、朝は自分の事を庇ってくれてありがとうございます。救われました」
「ああ、國定君。山ちゃんも片ちゃんも意地悪で困っちゃうよな。遅刻なんて次から気を付ければ大丈夫だよ。俺なんて何回遅刻したか数え切れないよ、うへへっ」
「そ、そうなんですね」
「2人とも意地悪だけど仕事が出来るんだよね。片ちゃんは充填王だから見てると早いでしょ」
「はい、とても参考になります」
「ミスすることも無いし、たくさん教えてもらいな」
「はい、ありがとうございます」

昼休憩が終わり、國定は現場で再び片浦の作業を見て学ぶ。
「このドラム缶、コツを掴めば運ぶの簡単。空だと約22kg、実入りだと約200kgあるんだ。ドラムを斜めにして転がすんだけど、角度さえ覚えれば簡単に転がせるよ」
説明していた片浦が一瞬バランスを崩す。
「え?」
ドラムと一緒に片浦も倒れてしまった。
工場内に大きな衝撃音が響き渡る。
「か、片浦さん!」

見るとドラムと床の間に腕が挟まれていた。
片浦が血まみれの腕を抑えて悶え苦しむ。
「うあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
床には血が垂れて赤く染まっていく。


(まずい、誰か呼ばないと・・・)
片浦さん、助けを呼んできます!」 
國定が現場内を走る。
「誰でもいい、誰か、片浦さんを助けて」
片浦は山辺を見つける。
「や、山辺さん!片浦さんがドラムと一緒に倒れて怪我しました」
「え?片ちゃんが?・・・行こう」

國定と山辺が片浦の元へ向かう。
「片ちゃん、怪我したの?」
「山ちゃん、腕がドラムに挟まってぱっくり切れちゃった、羽川課長に報告して病院行ってくる」
「行くのは労働指定の下野総合病院。間違えないで」 
「了解!」
片浦は腕を抑えながら去って行った。
(山辺さん、あまり心配してないな。仲良いのに意外と淡泊な会話だった)
「國定、ここの充填は北原と進めてもらうから来るまで待ってて」 
「はい、分かりました」
山辺は伝え終わると去って行った。

しばらくすると、北原が近付いてきた。
「國定君、大変だったね。まさか、片ちゃんが怪我するなんて。身入りのドラムは重くて危ないから取り扱いに十分気を付けてね。挟まれそうになったらとにかく手を離して離れて」
「分かりました!」
國定は北原と床の血を拭き取り、ライン洗浄まで終えて2日目をやり終えた。

帰り際、國定は堀と合流。
「お疲れ!体調は大丈夫?」
「でしっ、昨日よく寝たら全回復した!」
「そうか、良かった」
「片浦さん、怪我しちゃったみたいだね」
「そうなんだよ。如何にベテランの充填王でも、一瞬のスキが生じると大事故になり得る。俺たちも細心の注意を払わないと」
「でしっ、気を付ける」

國定と堀に豊臣が近付いてきた。
「堀君、國定君、お疲れさん。今日は片浦さんが怪我して大変だったね。この前も言ったけど危険な作業があるからくれぐれも気を付けてね」
「はい、ありがとうございます」

入社してから2日、鮫島と片浦が離脱した。
それでもやらなければならない。
大城、堀、國定は進んでいく。
そして豊臣リーダー以外のシフトリーダーは
どんな人物なのか。
4話へ続く。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
4話はこちらです。






























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