🌸経営未来手帳・第34号「平成7年(1995年)世代とどう向き合うか」
🌸経営未来手帳・第34号
「平成7年(1995年)世代とどう向き合うか」
――“孤独の自動再生”の時代に必要な、経営者の「心理的土台」
■はじめに
最近、経営者の方々から同じ相談を受けるようになりました。
「若い社員(20代後半〜30代前半)がすぐ不安になる」
「必要以上に周囲の目を気にする」
「安心できる環境でないと動けない」という声です。
平成7年(1995年)以降に生まれた彼らは、現在30歳前後。世の中がドラッカーのマネジメントブームで、共通言語が語られた時代に高校、大学、就職を経験しました。
実はこの世代は、昭和・平成初期とは根本的に違う青春時代に育ちました。
彼らは2008年のリーマンショックの影響による第2次就職氷河期をもろに浴びる先輩に、希望の見えない未来を徹底的に焼き付けられます。
さらに2009年、世間を席巻していたドラッカーは採用について
「本人の能力のみを見るべきで、性格には触れてはならない」
と述べ、徹底して“成果”に向き合いました。
2000年ごろから成果主義は批判されましたが、リーマンショックとドラッカーのあおりでまたもや成果主義が復活。個人的には「自己実現の追求」のわだちの中で走ることが決定している若者たちでした。
またさらにドラッカーは組織の使命と個人の貢献が重なるよう強く導き、彼らの行動や反応に“甘さ”や“弱さ”を許さない厳しい空気が醸成されました。
■現象の分析:平成7年以降世代の「空気」を理解する
1、氷河期の“傷跡”の上に育った世代
就職氷河期そのものは彼らの世代ではありませんが、
氷河期が残した “社会の不安” “雇用の不確実性” は、
平成7年以降世代の幼少期〜青年期の空気になりました。
彼らは「会社は守ってくれない」という、強い不安な“空気”を吸って育った最初の世代です。
2、共同体の崩壊
・家庭の会話が減り
・地域社会が弱まり
・学校も余裕を失い
・職場も流動化した
昭和にあった“精神の着地場所-「居ても良い環境」”がありません。
だから、会社が 唯一の安心の場所 になりやすいはずでしたが、当時、企業の安全性など、考えられる人はいなかったほど社会は混乱していました。。
3、SNS承認社会の直撃
平成7年以降世代の思春期は、LINE・Twitter・Instagramの急拡大と重なります。
・比較
・可視化された承認
・既読・未読問題
・競争と孤独の往復
この環境は、人の心に “孤独の自動再生” をつくります。「読後スルー」という寂しさの言語がそれを象徴しています。
■構造化:なぜ心理的安全性が重要なのか
彼らのニーズは「優しくしてほしい」ではありません。
必要なのは “存在の安心感-「ここに居ても良い」”と言われる環境です。
その理由は以下の“3つの構造”にあります。
1、 「頑張れば報われる」が崩れた時代に育った
ドラッカーや自己啓発が流行した時代に青春を過ごしながら、
社会構造は不安定で、第2次就職氷河期から何とか潜り込む非正規雇用。
成功モデルはありません。
「努力が結果につながる世界」を体験できない。
これは人間の自己効力感を深く揺らします。
2、心の「安全基地」が少ない
昭和は学校・地域・家庭・職場と“複数の安全基地”がありました。
平成7年以降の世代にはその多くが存在しません。さらにSNSやIT、ゲームの普及がヒトを分断していきます。
安全基地がなければ、人は “外向きの主体性” を育てられません。
3、 誤解されやすい時代に生きている
SNS・チャット文化は行間・温度・空気 を削ぎ落とします。うすい関係の方が受け入れられやすく、熱量が高いと「暑苦しい」と言われます。
「自分はそんな人間ではない」と誤解される前提で動くため、心を閉じるのはむしろ自然です。
■エニアグラムで分析すると
平成7年世代以降の若手は、エニアグラム的に言えば
「タイプ6の不安」「タイプ9の迷い」「タイプ4の自己不信」
を複合的に持ちやすい。
これは性格の問題ではなく
時代が生み出した特別な集合パターン と捉えると理解が深まります。
■経営者がやってはいけないNG行動(5つ)
1、 「自分の若い頃は…」で比較する
構造が違うため、比較は意味がありません。
2、 「本音を言え」
安全がなければ、本音は出ません。「あなたを本当に信じられるのですか?」と彼らはこちらに問うています。
3、 「主体性を持て」
主体性は“安心”から自然に育つもの。やって失敗したら、自分の身がどうなるのか?
不安から恐怖にかわり、辞めたくなります。
4、 「努力が足りない」
努力以前に、“存在の安心”の土台が必要。私の努力を受け止めてくれるのか?そう訴えています。
5、「若者は打たれ弱い」
弱いのではなく、不安定さの中で育っただけ です。
■経営者が取るべきアプローチ(5つ)。ここが最重要パートです。
1、「存在承認」を最初に渡す
成果よりも先に、「あなたはここにいて大丈夫」という安心と安全を伝える。
2、人間関係の“地図”を明確にする
・相談先を作る
・上司の価値観を伝える
・評価の仕組みを共有する
・暗黙ルールを可視化する
透明性”が安心を生みます。
3、小さな成功体験を積ませる
主体性とは「自分にもできる」の積み重ね。小さな成功で心が起動する。
いわゆるスモールウィンを意識的に発生させることです。
4、見えないストレスを代弁する
「比較がつらい時あるよね」
「SNSの圧、しんどくない?」
と代弁すると、一気に心が開く。
5、未来の物語を共有する
・この会社でどんな成長ができるか
・3年後どんな役割になるか
・経営者自身の未来観
これが“心理的安全性”の実感に直結します。
■編集後記
貧しかったけれど、スマホは無かったけれど、充実して、前向きに日本の未来を信じることが出来た昭和のおじさん、おばさんたちには、平成7年世代以降の若者の不安感、喪失感は分かりづらいものがあります。
しかし、もし、太平洋戦争に負けた当時の日本人の敗北感を想像できれば理解できます。焼け野原で、食料もなく、明日の望みが何もなかった時代。規模は違えど、彼らは大きな不安を抱えて社会に出てきた子供たち、そう捉えてはどうでしょうか?
平成7年世代以降の若者を見ていると、彼らは“弱い”のではなく、
時代が奪った安心を取り戻そうとしているだけ なのだと想像が出来ます。
■今日の問いかけ
あなたの会社では、
“存在承認-あなたはここに居ても良い”を最初に渡せていますか?
■ネコのつぶやき
「安心の上に乗ると、人間って勝手に元気になるんだにゃ」
■おわりに
平成7年世代の若者に必要なのは、“優しさ”ではなく、精神的な支え、社会的土台です。
心理的安全性とは弱い人を守るためのものではありません。
⭐「不安定な時代を生きる、すべての人間のための基盤」です。
この基盤を渡す会社は、必ず強くなります。
第5弾🌸「初めての方へ|目的別に読む3選」
https://note.com/quiet_gnu5848/n/ned3665205314
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■安村 明史
🌸経営未来手帳「疲れた経営者が、少し言葉を預けられる場所として」
#経営者の深夜食堂
■付録

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