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野生生物の宝庫マダガスカルを巡る旅 ③

2025/Aug./6 WED.


マダガスカル国内の移動事情(特に国内線)

さて、昨晩着いたばかりのマダガスカルの国内の移動事情に触れておこう。マダガスカルはアフリカ大陸の横に浮かぶ小さな島というイメージなのだが、実は日本の約1.6倍もある世界で4番目に大きな島がまるまるその国土。今回、この国を2週間も掛けて巡る訳だが、この大きな国土に見所が分散しているため、そのプランを立てようとすると頭を悩ませる事になる。
交通インフラが発達していないこの国では、移動の手段の選択肢が限られているのである。まず、思いつくのが鉄道だが、旅行者が使えるような路線はほぼない。となると、陸路は道路を使った移動になるが、世界の最貧困国の1つであるマダガスカルの道路事情はすこぶる酷く、距離÷時間は考えられない程の水準。しかも都市間を結ぶ手段は、タクシー・ブルースという乗り合いバンが主流らしい。(ちなみにタクシーは普通のタクシー、タクシー・ベという乗り物は近距離路線のみ乗合小型バス。)

そのタクシー・ブルースだが、名前的には優雅でエレガントな乗り物を想像してしまうのだが、日本では絶対に車検に通らなそうなボロボロの車体で、時には座席以上の人を乗せ、ぎゅうぎゅう詰めになり、しかも乗り心地が悪く、数時間はともかく一昼夜かかる移動となる事もザラという大変な乗り物であるらしい。若い時ならともかくさすがにもう無理だと思う年齢だ。となると、車のチャーターという手もあるが一人旅はさすがに非効率なので、もう一つの手は、お金に物を言わせ飛行機という手がある。
で、その国内線だが、2019年版の地球の歩き方にはマダガシカリ・エアウェイズという新興航空会社も書いてあったのだが、どうやら潰れてしまったようで、今国内線を運航しているのはマダガスカル航空のみ。ただ、ナショナルフラッグキャリアにありがちな様にあまり評判はよろしくない。
しかも、それを調べ始めると、これがまた予約が大変。まずは、(行先にもよるが)便数が限られており、しかもそれがプロペラ機だったりするから、極めて座席数が少ない。このため、搭乗の2か月以上前から調べ始めたのに、もう希望日に空席がないフライトが多い。また、金額も驚き。一応、航空会社独自の正規割引運賃も設定されているが、前述どおりもう空きがほとんどない状態なのだから、それの入手は期待できない。しかも、国内線はマダガスカル航空しかないから独占市場でかなり強気の価格設定になっていて、1時間程のフライトでも片道€200近くする。

で、その予約方法は、今時、いくらマダガスカル航空とは言え自社Webサイトからオンラインで行える。ただ、念のため時々使うSkyscannerでも調べてみると、Expediaからも予約ができるみたいなので、その料金を比較してみる。すると、Expediaの方がちょっとだけ安い路線もあれば、かなり安い路線もある。自社Webサイトの(今空いている)高めのチケットは、日付や便の変更を無料でできるのがメリットだが、ルール上できても、前述通り、便数が限られているし、空席も少ないので、実際にはほとんど変更できない。このため、一度決めた航空便に予定を縛られ、自由にマダガスカルを旅行することはできない。
ということで、結局、運賃がExpedia≒自社Webサイトの場合は保険の意味も込めて自社Webサイトで、Expedia<<自社Webサイトの場合はExpediaで予約した。ちなみ予約したのは2往復(計4区間)分だが、それでも合計120,000円を越す出費。それぞれ1時間強の国内線でこの金額。イタい。この飛行機代なら、日本からアジアの行きたい場所どこにでも行けてしまうくらいの金額である。

イヴァト空港の国内線ターミナルへ

快適なベッドの上で寝たはずだが5:00には目が覚めてしまった。眠いのだが、二度寝ができない。完全なる時差ボケだ。そこでベッドの中でグダグダ過ごす。そして、ようやく7:30になった所でベッドから起き上がる。まずは、一応、シャワーを確かめて見るがやはり冷水しか出ない。ダメだ。

このホテルに朝食は付いていないので、身支度を整え、一旦、外に出て、朝食が摂れそうな場所を探す。が、昨晩歩いたとおり、この辺りには何も無さそう。そこで、予定より早いがこの快適だったホテルをチェックアウト。結局、この快適なホテルにはたった9時間程の滞在だった。
昨晩、マダガスカルの首都アンタナナリボに降り立ったばかりだが、早速、今日はこの大きなマダガスカル島の西岸にあるモロンダバはという街に空路移動する。直線距離にして400km弱なので陸路で向かう事もできるのだが、前述のタクシー・ブルースという乗り合いバンに乗るとかなり安く抑えれるらしいのだが、その所要時間は順調にいっても14時間、更にそれ以上かかる事も多いらしい。しかも、それはぎゅうぎゅう詰めの車内に長時間乗る必要があり、かなりハードな移動らしいので、ここはお金に物を言わせての飛行機での移動なのである。

昨晩降り立った国際線ターミナルとこれから飛行機を乗る国内線のターミナルは別で離れているが、もちろんこのホテルからは徒歩圏内なので歩いて向かう。昨晩とは違い明るく交通量もあるから安心感がある。ホテルからは国際線ターミナルまでの半分くらいの距離で、無事に国内線ターミナルに辿り着いた。伝統的な三角屋根が特徴の建物だが、国際線ターミナルに比べてかなりこじんまりとしており、近代的な空港とは言い難い。
これから目指すモロンダバは人口10万人足らずの小さな街であり、フライト数は少なく毎日飛んでいない。ただ、今日はなぜだか、私が予約した後に、もう一便追加になっていて、しかも、どちらも午前出発である。
2カ月前に私が予約した時は8:00発のフライトだったが、今日は2フライト体制になったからか3週間程前に連絡が来て11:05発に時間が変更になっている。こうしてよく時間の変更があるだけでなく、予告も無しにフライトが早まり飛んでしまうという事もあるというマダガスカル航空なので、念の為、国内線のチェックインが始まる出発2時間前に空港にやって来たのだが、もうカウンターは開いていた。私の番になり、カウンターでパスポートを見せる。荷物はキャリーオン、チェックイン共に計量されたが少し規定量をオーバーしていたものの、問題なく搭乗券を発行してくれた。
そして、細い通路の先にある保安検査場へ。今回、履いてきているパンツに金具が付いているためか、ベルトや腕時計を外しても、靴を脱いでも金属検査で何度も引っかかってしまい、結局、個別接触検査になってしまい、これまでになく体を触られまくった。更には、X線検査機を通した手荷物も開けられ、ほぼ全部の物を出された。この手荷物の中には自分でもビックリするくらいガラクタのような物も入っていたが、検査官も"Too many things!"と驚いていた。

怪しい物を所持していない私は無罪放免となり、ようやく薄暗い出発待合室に入る。ここにあるのはちっちゃなスナック・バーとたくさん並ぶ木製のベンチのみ。まだ、ボーディングまで1時間以上あるが、このベンチに座って待つしかない。少し眠くなってきたが、ここは我慢我慢。

マダガスカル航空の国内線でモロンダバへ移動

そして、出発の25分前にやっと私の便の搭乗が開始された。この国内線ターミナルにはゲートは2ヵ所しかなく、ボーディングブリッジなどはないので、改札を受けたらみんなで歩いて飛行機へと向かう。

後方のタラップから乗り込んだのは、双発のプロペラ機であるATR72という約60座席の小型機。機体はかなり古めで、シート配列は2-2であり、この飛行機もほぼ満席。観光シーズンでもあるからかこの週はずっと満席の様子。私は前方左側の窓際4Aの席に座る。
そして、11:05、MD2700便は予定時間どおりモロンダバに向けて出発。少し雲が多めのアンタナナリボを離れ、西へと向かう。1時間10分と短いフライトだが、機内食が配られた。かわいい紙袋に入ったそれはハンバーグとトマトが挟んである小さなサンドイッチ。朝から何も食べていなく、お腹が減っていたため普通に美味しく感じた。

昨晩、マダガスカルに着陸した際はもう外は真っ暗で景色は楽しめなかったが、今朝は窓際の席から外の様子を楽しめる。プロペラ機の良い所は高度が低いので眺望が良い。昼間、空から見る景色は、アンタナナリボ近辺は多少なりとも緑もある大地だったのだが、西に向かうにつれ赤褐色一色の起伏のみがある何もない大地に変り、それが果てしなく広がっている。
そして、また緑が増えてきたらこのフライトも終盤。高度を下げていき、わずか1時間程のフライトは終わりを迎え、モロンダバの飛行場に着陸した。

モロンダバの街とホテル

当然の様にタラップから地面に降りて、小さなターミナルビルへ歩いて向かう。このマダガスカル西部はアンタナナリボ辺りとは気候がだいぶ違うようで、乾燥しており、太陽が照りつけると暑いと思う程。いよいよ南の島にやって来た感じがし、少しテンションが上がる。羽織っている長袖シャツはもう不要だ。

ターミナルの建物に入るとそこがバゲージクレーム、ここで預け荷物を待つ。すると、初めて見る細長い一直線の短いレーンに乗っかって出て来た。そこから私の荷物を回収して外へと出る。
空港ロビーには名前を書いたボードを持った人が大勢待ち受けている。こうしたお迎え付きの人は良いが、私みたいな個人旅行者は街へ向かうにはどうすればいいんだろう、と思って屋外に出るとすぐにタクシードライバーが声を掛けてきた。早速、"ダウンタウンエリアまでいくら?"と聞くと"30,000アリアリ(約1000円)"と答え、掲示されている貼り紙を指さす。どうやら固定料金制のようである。ただ、明らかに高い。
そこで、そのタクシードライバーにバイバイし、少し歩き出すとトゥクトゥクドライバーが話し掛けてきた。あのタイでよく見るトゥクトゥクそのものだ。そのドライバーも最初"30,000アリアリ"と言ってきたが"20,000アリアリ(約666円)は?"と言うと即OK。どうやら、もっと値切れたようだ。

トゥクトゥクドライバーの名はAndry。彼の黄色いトゥクトゥクに乗り込み、空港からダウンタウンへ向かう途中、モロンダバの中心となる道を通り抜ける。小さな海辺の田舎街と聞いていたが、通りには車やバイク、トゥクトゥクに加え、プスプスと呼ばれるリキシャ(客を乗せる三輪自転車)が多く、通りの両側には色々な物が売っている商店が並んでおり非常に活気がある。ただ、その建物はトタン屋根を葺いた粗末な造りの小屋がほとんど。
思ったよりも距離があり、飛行場から20分程で、予約してあるHotel Menabeに着き、チェックインを試みる。すると、まだ昼過ぎの13:00だが、すぐに鍵をくれ、部屋を使わせてくれた。
鍵を開けて入った102号室には、広々とした部屋にダブルベッドが1つあり、それに加えて、かなり広いテラスまである。1人で使うには広過ぎる程。また、シャワー、トイレ、洗面台もしっかりとある。そして、かなり蒸し暑いのだが、天井には大きなファンが設置されているので、夜も大丈夫であろう。ただ、これで1泊€14なのでとてもお得に感じる。
このホテルのロケーションは市内中心部にあるので、まずはこのモロンダバ市民の生活を伺うべく、この辺りをちょっとブラブラする事にした。通りには普通のお店もあれば、歩道に品物を並べている露店もたくさんあり、売っているものは衣料品や日用品、おもちゃそして何かわからないが中古の部品など、本当にいろんな物が並べられている。エネルギッシュだが、正直、小汚く、どれも完全にローカル向けの物ばかりなので、観光客は一切いない。ただ、印象としてはアフリカというよりなんだかアジアと似ている。

続いて、1つ先の通りにある地元に根づいたトタン屋根の下のマーケットを覗く。お米などの穀物、青果物、香辛料、干し魚など食料品を扱うお店が密集しており、こちらも多くの地元民で賑わっており活気がある。食堂的なコーナーもあるので、ここらでお昼ご飯でも食べようと思っていたのだが、ハエがウジャウジャ飛んでいる。マダガスカルで食べる初めてのご飯としては、さすがに衛生面で不安なので止めておく。
モロンダバでは自転車でけん引するプスプスがトゥクトゥクと共に多く走り回っている。この街はこぢんまりとしていると聞いていたが、思ったよりは小さくなく、このプスプスという乗り物ぐらいがピッタリで、どれものんびりと走っていて、なんだか非常に緩い感じ。
また、ビーチにも出てみる。真っ白いサラサラの砂で、所々にビーチパラソルが立っていてリゾート感たっぷり。また、何かのイベントも開催されていて賑やかだ。このビーチでココナッツを売っていたので、一番小さいのを2000アリアリ(約66円)で買い求め、喉を潤す。少し緑臭く温いがココナッツジュースはウマイ。

ベマラハ・ツィンギーへはいくらで行ける?

さて、こうして、街歩きをしながらも探しているのがツアーなどを扱っている旅行会社。が、意外とこの街に無いのである。
旅程的には明日から"ツィンギー・デ・ベマラ厳正自然保護区"への2泊3日のツアーに出たい。目指す保護区は距離にして200km程だから日帰りでも行けそうだと思えるが、ここはマダガスカル。そんなに甘くはない。かなりの悪路を行く必要があるらしく、片道8時間近くかかり、このモロンダバからだと往復の移動を含め3日は必要との事。
で、どうやって行くかだが、残念ながら、公共交通機関は無いらしく、パッケージツアーも無いらしい。そして、凸凹道を進まねばならないため4WDの車が必須で、それをチャーターするのが一般的。それができる場所を探しているのである。
まず、先程チェックインする際に、Hotel Menabeの受付でマネージャーらしき人に話を聞いた。特にパンフレットとかあるわけでもないが、紙に次々、必要な情報を書き込んでくれた。
・車とドライバー代:450,000アリアリ/1日
・道中のフェリー代:200,000アリアリ/1台
・国立公園入場料:55,000アリアリ/1人
・国立公園ガイド料:165,000アリアリ/グループ
・国立公園コミュニティ費:10,000アリアリ/1人
・(取られないかもしれないが)ロード代:5000アリアリ/1台
これの合計料金は1,750,000アリアリ。逆に必要となるがここに含まれてないのは現地での自分のホテル代と食事代。かなりの高額となるが、事前にネットで調べておいた金額とほぼ変わらないか、少し高くなっている程度である。

コレだけで判断できないので、更に他の情報を得たいと思ってフラフラ街中を歩きまわっているのだが、全然旅行代理店というのがない。そこでグーグルマップを利用して検索をし、そこに行っても、らしき旅行会社は見付からない。
どうやらウチのホテルと同様、車やガイドの手配はモロンダバにあるホテルが行ってくれる事が多いみたいなので、日本人観光客もよく訪れるというホテルLes Bougainvilliersという所に行って聞いてみることにした。ここのスタッフも親切だが、彼自身情報を持っていないようで、何処か(たぶん4WD車のオーナー)に電話して、その情報を伝えてくれる。
・車とドライバー代:450,000アリアリ /1日
・道中のフェリー代:200,000アリアリ/1台
トータル1,550,000アリアリ。それしか言わないので国立公園でかかる費用は別なんだろう。となれば、さっきと一緒だ。"高いなー"と言って少し交渉をすると車とドライバー代の450,000アリアリが 440,000アリアリまで下がったが、それでも高いのには変わらない。というか、一人でチャーターすると高いのは分かっていたので、他の客とシェアすべく、ツアーメートを探したいのだが、そんなオプションは無い様である。その後、他に安くアレンジしてくれるホテルとかもないのかと、歩き回るがなかなかそんな場所がない。
そんな間に16:00になってしまった。実は、16:00に空港からホテルまで連れてってくれたトゥクトゥクドライバーのAndryを呼び出してある。ただ、このままだと明日から予定通り進まなくヤバい。そこで、呼び出した目的の件は置いといて、藁をも掴むつもりで、英語ができるこのAndryに相談してみる。"明日からツインギーに行きたいんだけど。"
今までの話を総合すると、国立公園でかかる費用やフェリー代は下がる余地はなさそうだから、唯一可能性がある車とドライバー代をいかに下げるかというだけである。そこで、こちらも妥協して"3日間で車とドライバー代を1,000,000アリアリで考えている。"と伝えると、Andryは何処かに電話をしだした。

すると"Go"と言って、トゥクトゥクの後部座席に私を乗せ、街の東に行ったり北に行ったりして、私を連れ回す。ただ、彼は進捗を何も説明してくれないので、今何をやっていて、どういう状態なのかが良くわからない。
何本かの電話後、再び、私を乗せて、街の外れの東の方まで行く。そこで、ようやく4WDドライバーらしき人と出会う事ができた。この人は英語はダメなので、Andry に通訳してもらう。こちらは総額で1,000,000アリアリと言っているのに、絶対に向こうは1日単位でしか話をして来ない。向こうの提示は1日360,000アリアリ。そこでこちらは少しだけ妥協して1日340,000アリアリを主張。こんな会話を道端でしているのは2人+通訳をしてくれるAndryだが、なぜか多くの野次馬に取り囲まれている。この状態になるとなんだか私が1日350,000アリアリに妥協しなければならない状況となり、遂に握手。
つまりは3日間で車・ドライバー費が1,050,000アリアリ(約35,000円)って事だ。間違いなくここにはフェリー代は入っていないので、都度私が払うことになるし、国立公園代も別。むろん宿代、食事代は別に掛かる訳で、最終的に"ツィンギー・デ・ベマラ厳正自然保護区"に行くのに総額いくらかかるかはまだわからない。ただ、ここまで来て行かない手はない。ちなみに、この交渉のお膳立てをした上、通訳までしてくれたAndryにはチップを手渡す。

バオバブの並木道に行くには

さて、この交渉に思いの他、時間を使ってしまったが、本来、トゥクトゥクドライバーのAndryに16:00にホテルに来てもらった話に戻そう。このマダガスカル西岸の小さな街にやって来た目的はズバリ、バオバブ。フランス人作家のサン・テグジュペリの"星の王子さま"にも登場する、それは簡単に言えば木なのだが、アフリカ、オーストラリアの一部、マダガスカルのみに生息する希少な植物なのである。その写真を見るだけでもインパクトがあり、この不思議で個性的な巨木を見るために、遥かこのマダガスカルまでやって来たと言っても良い。
このモロンダバの近くには、バオバブの並木道(Alle de Baobab)と呼ばれるバオバブの群生地があり、モロンダバのいやこのマダガスカルの観光の目玉となっている。ただ、そこはこのモロンダバから約15kmも離れており、車で約30分の距離にある。そこへの行き方は車をチャーターして行くのが普通らしい。ホテルで手配するといくらか聞いてみると一声120,000アリアリと言われ、いくら値切っても、車で行こうとする限り100,000アリアリを下る事は無さそう。ただ、トゥクトゥクで行くのなら、間違いなく安くつくはず。これはもうトゥクトゥクで決まりという事で、彼を呼んだのだ。
だが、世の中、そんなに甘くはない。なんか車派の人達からの政治的な動きがあったのか、今はトゥクトゥクはある地点から東側には行けなくなっており、バオバブの並木道までは行けないのだと。で、最も安く行く方法は、トゥクトゥクで行ける一番東まで行き、そこからプスプスという三輪自転車に乗り換えて向かう方法。で、今いるのがモロンダバの街の東郊だというのはわかっていたのだが、Andry曰く"ここがトゥクトゥクで行ける限界"との事。つまりはさっき渡したチップは別として、ここまでタダで連れてってくれたのと一緒。
では、ここからはプスプスをチャーターしなければいけないが、さっきの一連の交渉を見守っていた野次馬連中のほとんどがプスプスの運転手。そこで、バオバブ並木道まで往復で30,000アリアリ(約1000円)で受けてくれる人を探したところ、多くは尻込みしていたが、まだ少年の臭いを残した若い青年が受けてくれた。
早速、彼のプスプスの後部座席に乗って、いざバオバブの並木道に向けて出発。少年が漕ぎ出すと、意外にも速い。もちろん電動補助付きな訳はなく、動力は彼の足のみである。その漕いでいる足は細いが鍛えてある。しかし、足元を見ると裸足である。そして、時折見せる横顔には汗が輝いているのが見える。こりゃ大変な仕事だ。申し訳なくなってくる。太っててごめん、痩せなきゃ。ただ、後部座席に座って乗ってる分には気持ちのイイ乗り物である。

プスプスが(トゥクトゥクを排除している)検問所を通過すると、人家は少なくなり、辺りは田園風景になる。そして、その中に第一バオバブを発見。他の草木が低いので、にょきっと立つバオバブがより際立っており、思い描いていたバオバブの形をしている。そして、次々、左右にバオバオが現れる。
更に東へと進む舗装路は順調に進んだが、バオバブ並木道へと向かう道に折れると、砂埃舞うオフロードの道がスタート。一気に乗り心地が悪くなる。ガタガタだ。そんな道を、傾いてきた太陽の日差しを浴びながら、プスプスは大きく車体を揺らして進んでいく。当然、進みも悪くなる。

夕暮れ時のバオバブのシルエット

この時期のここの日没時間は17:40頃で、それまでもう30分を切っており、西の空は夕日がキレイ。また、バオバブは次第にその数を増やしており、どんどんテンションが上る。こりゃ凄い。
一方、スマホで今の位置を確認すると、まだまだバオバブ並木道までは距離がある。が、もう夕陽のベストタイミング。そこで、数本のバオバブが良く見える場所で止まってもらい、ここで夕日を見守ろう。バオバブ並木道はまた後日でいいじゃないか。

ちょうどこの場所には水が張られた水田があり、真っ赤な夕日がそれに反射している。そして、その先にはポツポツではあるがバオバブが生えている。バオバブはぶっとい幹が一番上までほとんど枝分かれせず真っ直ぐに伸びて、上部でようやく枝別れが始まりどんどん細かくなっているのが特徴で、悪魔が木を引っこ抜いて逆さまに植え付けたと言われるのも納得の不思議な形をしている。
沈みゆく太陽のオレンジ色の光がそのバオバブを優しく照らし出す。このためかバオバブは圧倒的な存在感を示す。特に夕日が沈む頃にはバオバブのシルエットが神秘的に浮かび上がり、息を飲むような美しさになった。
そして、日は沈んだが、まだ明るいので大きめのバオバブを下まで行ってみる。天に向かって真っ直ぐに伸びる幹に、急に細かく枝分かれした上部。堂々たるその姿は、確かな存在感がある。コレを見に遥かマダガスカルまでやってきたのだ。絶対に神が宿るパワーがあるに違いないと、その幹に触れてみる。ここはバオバブ並木道でもないので、観光客は誰もおらず、完全に私一人のお気に入りのマイ・バオバブだ。

もう薄暗くなってきたので、このマイ・バオバブに別れを告げ、しばらく路上で待ってもらっていたプスプスに戻り、帰路に就く。暗くなると少し涼しく、風を切って進むプスプスは肌寒いくらいで、昼間の暑さは嘘みたいだ。
ほぼ満月に近い月明かりの中、真っ暗な道を戻る。その途中でプスプスドライバーに急に"スマホを貸してくれ"と言われて、半ば強引に奪われた…すると彼はスマホのライトを点ける。ちょうどここが行きにも通過した検問所で、どうやらここを通過する時に無灯火だとダメなんだ。
結局、往復2時間半、もう真っ暗になっているのでよくわからないが、このプスプスに乗った所まで戻ってきた。降りて約束通り30,000アリアリ(約1000円)渡すと共に、あの玉のような汗を見ちゃったものだから、追加でチップを渡す。そして、グータッチして別れる。結果論だが、バオバブ並木道へは車で行った方が間違いなくタイパが良い。
で、この場所に19:00とAndryと約束していたのだが、19:00を過ぎてしまったからか、彼の姿はない。そこで声を掛けてくる他のトゥクトゥクに乗って街へと向かう。乗る前に料金交渉をして、破格の5,000アリアリ(約167円)になったので、安過ぎやしないかと思ったのだが、途中で何故だか私が乗っている狭い後部座席に2人乗ってきて相席になり、しばらくしてお金払って降りていった。更にはもう1回。今度は3人が乗ってきたので運転席の横にも乗る事になり5人乗りでしばらく進み、また彼らはお金を払って降りて行く。つまりは、同じ方向の人とシェアするから、安かったみたいだ。

マダガスカル最初のディナーはシーフード

さあ、今日は機内食の小さなサンドイッチを食べたのみなので、お腹が減った。そこで、ホテルに戻るのではなく、シーフードが安くておいしいと評判のレストラン"Le Corail "までこのトゥクトゥクで行ってもらう。
そのお店はオープンな造りでそこそこ広いのだが、非常に混んでいる。このためか、なんとか席に座れたものの、いくら待ってもテーブルにオーダーも取りに来ない。そこでカウンターまで赴き、ここのおすすめのシーフードのプレートをオーダー。周りのテーブルを見渡すと日本人の若者のグループもおり、席は一杯だが、料理が出てくるのをみんな待っている。どうやらサーブが遅いらしい。
しかも頼んだドリンクすら催促しないと出てこない。頼んだのはこの国独自の謎のドリンクであるワールド・コーラ。デザインも味もコカ・コーラに似ている。喉が乾いていたので大サイズを頼んだのだが、さすがに1Lもあるこれは飲み切れなかった。

結局、1時間くらい待ったが、出てきた料理はサフランライスの上にトマト煮した小エビ、いか、白身魚などのシーフードがたっぷり載っかった物。更には大き目の有頭エビも一匹載っている。これは間違いなく美味い。ただ、量が多過ぎで、ゆうに3人前はあり、お腹が減っていたのに結局、半分も食べれなかった。これで37,000アリアリ(約1233円)。内容を考えれば、安いと言えるだろう。
ここからはプスプスを使ってホテルへ戻ろうとしたのだが、こう遅い時間になるとほとんど走っていない。そこで暗い夜道をトボトボ歩いてホテルへと帰る。海辺の街だからか、夜風が思いのほか冷たい。
ホテルの部屋に入るともう22:00。まず、荷物の整理をしたらすぐシャワーを浴びる。しかし、残念、水シャワー。今日のサーモスタットは赤青表示があるので間違えようがない。ただ、昨日よりましなので、耐えられる手足や顔のみ浴びる。
そして、ベッドに横になりスマホを弄っていると、あまりにも眠くなってきたので、23:00に消灯。眠る。


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