Photo by
rdt
500万円を失った話(6)没頭
桜花賞。
牝馬三冠レースの第1戦となるG1レースだ。
その歴史や詳細は省く。
出走30分前。
すでに投票を終えた私は、テレビの前でその時を待っていた。
前日。
有馬記念の時より、本気で予想をしていた。
YouTubeで「競馬 桜花賞」と検索する。
予想動画がずらりと並んだ。
「一強に待ったをかける一頭とは!?」
「ポイントは馬体重」
「特選穴馬情報!」
まるで答えを知っているかのようなサムネイルが、次々と目に飛び込んでくる。
私はそれらを片っ端から見て、予想系YouTuberの見解を頭に詰め込んでいった。
血統。前走レース。馬体重。馬場状態。
様々な角度から勝ち馬を見つけ出すその過程は、単なる丁半博打ではなく、答えを導き出す思考ゲームのように感じられた。
その面白さに、時間を忘れて没頭していた。
仕事のことを忘れられる。
それだけで、十分だった。
そして今。
レースはすでに終盤に差し掛かっていた。
直線。
ほぼ最後方から、ひときわ伸びる一頭。
その瞬間、私は確信していた。
これだ。
断然1番人気。
リバティアイランド。
すべてを抜き去り、1着で突き抜けた。
すごいレースだった。
心臓が、まだドキドキしている。
馬券は当たった。
ただ、買い目が多かった。
3万円投資の、3万円回収。
トントンだった。
それでも。
高揚感と、充実感があった。
翌日の仕事の不安は、消えていた。
