人生にもブレストを
社内でのアイディア出し会議ではブレインストーミング(ブレスト)が行われています。この手法はビジネスにおいて、良い結果を導くために有効です。
ブレストは、仕事だけでなく、自分の人生においても使っているので、その手法について、今日は書いてみます。
会議室でのブレストに学ぶ
社内会議での一場面、テーマに沿って自由に意見を出し合うブレインストーミング(ブレスト)が行われています。ファシリテーターが「自由闊達にアイデアを出してくれ」と声をかけ、メンバーたちは次々とポストイットに書き込んだアイデアをホワイトボードに貼っていきます。
ブレストの基本ルールは同僚のアイディアを否定しないこと。
「それ面白いね」
「やってみたい」
「いい発想だね」と、
ポジティブな言葉が飛び交うのが理想的な場です。
逆に、
「そんなの無理だよ」
「常識で考えようよ」
「無理言わないでよ」
といった言葉はご法度。否定の言葉は、発想の芽を簡単に摘んでしまいます。
もちろん、アイデアを収束する段階に入れば、実現可能性を考慮する必要があります。しかし、アイデア出しのフェーズでは、フィージビリティの難易度にかかわらず、自由に意見を出し合うことが極めて重要なのです。
昭和的なガンコ上司や同僚が多い会社では、このルールが守られず、否定語が連発されます。その結果、当たり障りのない「安全策」ばかりが残り、チャレンジングなアイデアは消えていきます。
一人でもできる「ひとりブレスト」
会議室でのブレストと同じ手法を、個人の人生に応用したものが「ひとりワークショップ」です。私はこの手法が好きです。アウトプット手法としては、マインドマップが適しています。ドンドンと発想を枝葉に乗せて伸ばすことができますからね。
しかし、ここには大きな壁があります。チームメンバーがいないため、自分一人でアイデアを出し、自分一人で具体策をまとめ、さらに実行しなければなりません。
このアイディア出しの時、多くの人が陥るのは、難易度が高いものや、やり方がわからないものは、思いついてもマインドマップに書かない、あるいは、ポストイットに書き出す作業をしないことがあります。つまり言語化し、具体化する行為まで至らないという欠点です。なぜなら、会議室のように誰も褒めてくれないからです。
人は、失敗を恐れ、非難されることを嫌います。ましてや、何の保証もないアイデアのために準備に時間をかけることを嫌がる人も少なくありません。
一般的に、
ものにならないんだったらとか、
最後までやり切れないんだったらとか、
それなら、やらないほうがマシと考え、動き出すことすらしない人が多いのが現実です。
挙げ句の果てに失敗した人を見て「やっぱりやらなくてよかった」と安心し、さらに陰口まで叩く人までいます。自分で何も行動しない人ほどこの傾向が強いです。
これは、まさに昭和的な組織における「NGワード」を、ひとりワークショップをしながら、自分で自分に投げかけている状態と言えます。
ひとりワークショップは、誰もみてないから、アイディアも実行も、すぐ挫折しがちです。
でもね、自分で自分をしっかり見てますよ。
「ちょっとやってみる」がもたらす価値
私がかつて勤務していたアメリカ資本の会社では、新しい意見を積極的に取り入れてくれる風土がありました。たとえ多数が「それやってどうなるの?」と否定的に思ったとしても、
「いいじゃん、とりあえず下調べから始めてみようよ!」
という、軽いノリがありました。「まだやってもいないのに、どうなるかを論ずるのは早い」という前向きな雰囲気がありました。
少しの先行投資、例えば短期間のリサーチ、あるいは関連書籍を数冊読み込むといった「準備だけ行動」をしてみるとか。いくつかの情報をもとに検討したのちに、初めて「これはさすがに無駄になるね」と実行を止める決断ができるのです。
ここで言いたいのは、全く一歩も踏み出せないまま会議室だけで実行を否定している組織・個人と、「とりあえずちょっとやってみて、方向性を見てからやめる」と判断する組織・個人では、最終的に得る経験値と未来が大きく変わるということです。
実行に至らなくても、準備として行動したことはすべて経験として残ります。失敗した経験も、必ず次のプロジェクトに生かされるものです。
成功しているプロジェクトリーダーは、すべてのプロジェクトが成功しているわけではありません。人の記憶には、うまくいった成功事例だけが残っているに過ぎないのです。つまり、人知れず多くの失敗を繰り返していますが、「失敗なんて人は覚えていない」ものだからこそ、成功したことだけが伝説として語られるのです。
プロセスを楽しむという生き方
私は仕事でもプライベートでも、この「とりあえずやってみよう精神」を大事にしてきました。やってみることで得られる小さな学びや気づきは、必ず次に活かせます。たとえ失敗しても、その過程で得た経験が次のチャンスを生みます。
私は人からは「継続力がある」「成功率が高い」と見られますが、実際はかなり浮気性です。少しうまくいったことや、楽しく続いていることだけを報告しているだけなんです。
本当は「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」タイプです。(参考記事→「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる)
「器用裕福」のススメ:仕事と人生の違い
人それぞれ、ひとつのことを極めたい人もいれば、広く浅く挑戦したい人もいます。どちらが正しいということはありません。大切なのは、自分の価値観に合った進み方を選ぶことです。
広く浅くタイプの人は、器用貧乏ではなく、器用裕福を認識するといいのではと思います。(参考記事→「器用貧乏」は最高の才能だ! 広く浅く人生を楽しむススメ)
営利企業の仕事では「結果」がすべて。プロセスがいくら素晴らしくても、成果がなければ意味を持たないのがビジネスの世界。
一方で、人生は違います。たとえうまくいかなくても、その過程を楽しめれば、それがすでに「成功」だと思うのです。
昭和的JTC(Japanese Traditional Company=伝統的日本企業)では、結果より努力やプロセスを評価する文化が残っています。ビジネスは成果主義のため、プロセス評価は否定されます。しかし、人生においては、むしろ正しい在り方かもしれません。
なぜなら、人生の目的は利益や成果ではなく、充実や満足感だからです。
思考を止めないことが、人生を豊かにする
会議室でのブレストと同じように、人生においても否定から入らず、「まずやってみる」ことが大切だと思っています。ブレストの本質は、思考を止めないこと、そして可能性を閉ざさないことです。
仕事では結果を出すことが目的ですが、人生では「考え続け、動き続けること」そのものが目的になってもかまわないとさえ思っています。
誰も褒めてくれなくても、自分の中でアイデアを出し続けて行動する。noteを書いているのも、自分で自分を褒める自己承認を得ている行為です。
行動し続けることは、とても創造的です。それこそが、豊かな人生への手法の一つであり、満足な人生を送れると思っています。
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