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資産額だけでFIREを語るな。「FIレシオ」で見る本当の経済的自立

「FIREするには何千万円必要ですか?」
「少なくとも資産1億円ないと不安ですよね?」

SNSやネット記事では、毎日のようにこうした議論が交わされています。こんなニュースを読むたびに、なにかモヤっとするものを感じてました。

いくら資産があっても、それを上回る浪費をしてしまえば破綻します。逆に、資産が少なくても、ミニマムな生活で満足できるなら自由は手に入ります。

今日は、FIRE達成の基準として一般的に語られる「25倍ルール」を考察して、『FIレシオ』という指標(私が勝手に命名)を用いて、本当の意味での経済的自立について考えてみます。

そして、基準に満たない状態で早期退職した私が、なぜ今「FIRE達成」と言える状態になったのか。そのカラクリと、人生における「機会損失」の考え方について書いてみます。



FIREの基本公式と「FIレシオ」の定義

FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期退職)を目指す界隈で必ず出てくるのが「25倍ルール」。

これは、「年間生活費 × 25年分」の資産があれば、資産運用益だけで生活が可能になるという考え方です。 例えば、年間支出が300万円の家庭であれば、7,500万円の資産が必要(300万円 × 25 = 7,500万円)となります。

つまり「年間不労所得>年間生活費」が成り立つ状態です。

この根拠となっているのは、米国のトリニティ大学による研究(トリニティ・スタディ)から導き出された「4%ルール」です。 退職後、運用資産を年4%ずつ取り崩しても、30年以上の期間で資産が枯渇する確率は極めて低いという統計データに基づいています。もちろんこれには、株式と債券を適切な比率で保有した場合に限ります。

ここで、経済的自立のための、ひとつの指標を紹介します。それが『FIレシオ(Financial Independence Ratio)』です。

Googleで検索しても出てきませんでしたので、この記事を書くために私が作った造語です。FIREの達成度を測るにはこれが分かりやすい指標だと感じています。計算式は以下の通り。

FIレシオ = 金融資産​ / 年間支出

このFIレシオが「25以上」ならFIRE達成、「25未満」なら未達成。非常にシンプルです。

例えば、下記はいずれもFIレシオ=25です。
年間支出が200万円なら、資産5,000万円
年間支出が300万円なら、資産7,500万円
年間支出が400万円なら、資産1億円
年間支出が500万円なら、資産1億2,500万円

FIレシオが25以上なので、いずれもFIRE達成です。

これらの例のように、必要な資産額(分子)は、各家庭の生活費(分母)によって全く異なります。

先日もSNSで「資産7,500万円でFIREなんて無理だ」「いや十分だ」とプチ炎上が起きていました。(参照にした記事→7500万円でのFIREは無謀なのか?

しかし、それぞれの家庭の年間支出という「分母」が共有されていない状態で資産額という「分子」だけを比べて議論するのは、あまりに不毛でトンチンカンな会話だと言わざるを得ません。


FIレシオは「生き物」である

さて、この『FIレシオ』ですが、一度計算して終わりではありません。重要なのは「分子も分母も、常に変動する」という点です。

  • 分子(金融資産):
    市場の相場変動や、取り崩しによって毎日増減します。

  • 分母(年間支出):
    ライフステージ(独身、子育て、教育、介護、老後)によって大きく変わります。

FIREを目指す際、多くの人は「分子(資産)」を増やすことばかりに注力しがちです。あるいは、節約して「分母(支出)」を極限まで下げることに必死になります。 もちろん、「資産を増やす」「支出を減らす」はその両輪ですが、この数値は経時的に変化するんですよ。

特に重要なのが、「今の支出が一生続くわけではない」という視点です。


基準未達の「FIレシオ17」で私が退職した理由

ここで、私の実体験を書きますね。 私が会社員を早期退職し、セカンドライフへと踏み出したのは2022年8月のことでした。

当時の我が家の家計状況はどうだったかと言うと、配当金などの不労所得は生活費を賄えるレベルには達していませんでした。そして、資産額も「年間支出 × 25倍」には届いていなかったのです。

当時の数値を計算すると、FIレシオは「17」でした。

定義上、25に遠く及ばない「FIRE未達成」の状態です。一般的に考えれば時期尚早で無謀と言われるレベルでしょう。 しかし、私は早期退職を決断しました。なぜなら、私にとってFIREは「目的」ではなく、豊かな人生を送るための「手段」に過ぎなかったからです。

資産目標というゴールテープを切るまで会社員を続けていたら、私の年齢はさらに上がってしまいます。目標に達する前に定年になってしまうかもしれません。

体力や気力があるうちに自由な時間を手に入れ、新しい挑戦をする。もしここでお金のために時間を費やしてしまえば、人生における機会損失になってしまうと考えました。

「FIレシオ17でも、何とかなる」

そう判断した背景には、ある勝算がありました。それは、ライフシミュレーションにおける「分母(支出)」のからくりです。


シミュレーションと寺澤伸洋さんの定義

私が退職前に作成したライフシミュレーションでは、年間支出の基準として、退職直前の2019年〜2021年の3年間の平均を用いました。

この期間は、我が家の家計において最もお金がかかる時期でした。二人の息子が私立大学に通っており、学費、食費、そしてお小遣い「支出のピーク期」だったのです。

あえてこの最大支出額をベースにシミュレーションを行いました。つまり、今後の支出額(分母)は劇的に下がることが確定していたのです。

そして現在、退職して3年が経ちました。私のFIレシオは 、なんと、「25」になりました!

給与収入はゼロとなり、住民税非課税で3年経ちましたが、それでも、FIレシオが改善した理由は2つあります。

  1. 分子の増加:
    退職後のこの3年間、幸運にも株高の恩恵を受け、取り崩しを行っても資産が増え続けました。

  2. 分母の減少:
    息子たちが大学を卒業し、独立したことで、教育費という巨額の支出が消滅しました。その分、夫婦で旅行に行ったり娯楽費をふんだんに増やしたりしましたが、それでもトータルの支出は現役時代より減りました。

分子が増え、分母が減ったのですから、当然FIレシオは上がります。 FIレシオ=17での退職は、見切り発車のように見えて、実は将来の分母減少を織り込んだ合理的な判断だったのです。

教育費や食費の減少は、必ず当たる未来ですからシミュレーションに盛り込むのは簡単です。

退職後はそれでも不安はありました。そんな時、ある出会いが、私の気持ちをホッとさせていただきました。ある勉強会でビジネス書作家の寺澤伸洋さんとお会いした時のことです。当時の私は「基準に達していないから、自分はFIREではない」と思っていました。しかし、寺澤さんに私の状況や考え方をお話ししたところ、こう言われました。

「まこさんは、すでにFIREですよ!」

その言葉で、肩の荷が下りたのを覚えています。定義に縛られる必要はない。自分が経済的な不安を感じず、自由に生きられているなら、それはもうFIREと呼んでいいのだと。

それまでの私は、経済的自立もできておらず、56歳での退職をそもそもRE=早期退職ではないと思っていたからです。 そこに、寺澤さんのFIRE定義はRE=REstart your lifeとされている話を聞いて、まさしく自分にピッタリなので、「すでにFIREですよ」がしっくりとして安心しました。

定義や概念そのものを変えていただいた、前向きで素晴らしい出会いでした。


変数をコントロールして人生をデザインする

世の中のFIRE論争は、固定された数字だけで語られがち。 しかし、人生は流動的です。

「FIレシオ = 資産(変数)/ 支出(変数)」

もし今、あなたが資産形成の途中で、目標額に届いていなかったとしても、将来の支出がどう変化するかをシミュレーションするだけでいいんです。 子育てが終わる、住宅ローンが終わる、ダウンサイジングする。分母をコントロールすることで、ゴールは意外と近くにあることに気づくかもしれませんよ。

完璧な数字が揃うのを待って、人生を楽しむ旬の時期を逃してしまうことこそ、最大のリスクです。 数字はあくまで指標であって現状把握にすぎません。人生の目的と手段さえ間違えなければ、自分軸で舵を取るのは自分次第。

私の「FIレシオ17」からのセカンドライフ開始が、読んでいただいている方の少しでも背中を押すきっかけになれば幸いです。


機会損出や退職の過程と退職後の生活については、詳しくは書籍を執筆しましました。Kindleで無料で読めます、ぜひ、ダウンロードを!


お断り:
FP(ファイナンシャルプランナー)業務として、ライフシミュレーション作成やアドバイスは、以前は無料で行っていました。現在は、お受けしておりません。また、Mako Finance Cafeという名の金融勉強会も、新規受付は行なっておりません。ご了承のほど、よろしくお願いします。

なお、ちょっと話が聞きたいとか、おしゃべりだけの個別相談や、書籍内容の講演依頼は、今でもお受けしています。よろしければ、お問い合わせください。ソーシャルインベスターですから!


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まこさん NPO法人DaredemoHeroへ寄付します。 私の人生に大きな転機となった団体で里親支援を続けています。 子どもたちの教育資金に活用させていただきます。あなたのチップをお届けします。ご協力お願いします! ホームページ→ https://daredemohero.com