採用から退職まであらゆる場面で関わる「労働基準法」の基本
こんにちは。ぷらいむ です。
労働基準法(労基法)は働く人に最も身近で、かつ実務に直結する法律です。
採用から退職まで、あらゆる場面で労基法の理解が求められます。
ここでは、人事労務担当者が最低限押さえておきたいポイントを整理します。
労働基準法とは何か
労基法は、労働者の最低限の労働条件を定める法律です。
目的は「労働条件の最低基準を定め、労働者の保護を図ること」。
企業が独自に決めるルールよりも優先される“最低ライン”を示すもので、企業がどれだけ自由に制度を設計しても、労基法を下回ることはできません。
(労働条件の原則)
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
労働基準法が重視される背景
近年、労基法の遵守は単なる法令対応にとどまらず、企業の社会的評価や人材確保にも直結するテーマになっています。
働き方改革による規制強化
時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化など、企業に求められる対応は増加しています。人的資本経営の広がり
労働環境の整備は、企業価値向上の要素として注目されています。労基法違反はコンプライアンス上の問題だけでなく、お取引先や投資家からの評価にも直結します。労働者の権利意識の高まり
SNSや情報サイトの普及により、労働者が自ら情報を得やすくなるとともに、企業の法対応への姿勢が拡散されレピュテーションリスクにも繋がります。
こうした背景から、労基法の理解は「守るべき最低限」から「企業の信頼性を支える基盤」へと位置づけが変わりつつあります。
人事労務担当者が押さえておきたいポイント
覚えておきたい用語
労働者:職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(法9条)
使用者:事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者(法10条)
賃金:賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの(法11条)
深夜労働:午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間においての労働(法37条第4項)
採用の時に必要な労働条件の明示
労働j条件の明示は特に人を採用する時に関わってくるルールです。
労働条件通知書の交付義務がありますが、この手続きをきちんとやることで「最初言っていたことと話が違う!」というようなトラブル防止に繋がります。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
労務管理の基本となる労働時間管理
労働時間は適正か?休憩や休日、有休(年次有給休暇)はとれているか?
法的なルールを守ることはもちろんですが、従業員が継続的にパフォーマンスを発揮していくためにも労働時間を管理していくことは重要です。
労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならない(法32条)
休憩は労働時間が6時間超で45分、8時間超で1時間(法34条)
休日は毎週少なくとも1回または4週間を通じて4日以上(法35条)
時間外及び休日労働をする場合には労使協定(三六協定)の締結が必要(法36条)
なお、時間外・休日・深夜労働には割増賃金が必要です。
計算方法を誤ると未払い残業問題につながり、特にIPOを目指す企業は上場の審査にも影響してくるので正確に対応したいところです。
賃金支払いに関するルール
賃金を支払う時には5つの原則があります。(法24条)
賃金は従業員の生活にも大きな影響を与えるものなので、確実におさえておきたいルールです。
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(中略)。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
退職(解雇)に関連するルール
退職の中でも解雇は従業員への影響が大きいものとなります。
そのため、労基法では30日前の予告ルールや、解雇制限期間など制約となるルールを定めています。
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
実務で意識したい「3つの視点」
労基法を実務に落とし込む際、次の3つの視点を持つと判断がぶれにくくなります。
法令遵守(コンプライアンス)
最低基準を下回らないか、手続きは適切か。労使の納得感(コミュニケーション)
労働者に説明できるか、理解を得られるか。企業経営との整合性(戦略性)
制度が企業の方向性と矛盾していないか。
この3つをバランスよく考えることで、単なる法令対応にとどまらない労務管理が可能になります。
まとめ
労働基準法は、人事労務担当者にとって“最低限のルール”であると同時に、企業の信頼性を支える重要な基盤です。
労働時間管理等の主要ポイントを押さえつつ、背景にある社会的要請や企業経営との関係も踏まえて対応することが求められます。
労基法を正しく理解し、実務に落とし込むことは、企業と働く人の双方にとって大きな価値を生み出します。
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ぷらいむ's Dictionary
JTC企業の人事総務系管理職。副業社労士。
noteは労務コンプライアンス、安全衛生・健康経営、
人権デューデリジェンス、DE&Iなど。
実務に役立つヒントを届けていきます。
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