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人事労務担当者が押さえておきたい労働契約法のポイント

こんにちは。ぷらいむ です。

労働契約法は、働く人と会社が結ぶ「労働契約」についての基本ルールをまとめた法律です。
労働基準法が「最低限守るべき基準」を示しているのに対し、労働契約法は「契約そのものの考え方」を整理しているのが特徴です。
ここでは、実務で特に重要となるポイントを整理します



1. 労働契約法が生まれた背景

この法律ができたのは2008年。背景にはいくつかの事情がありました。

  • 判例に頼りすぎていた
    日本の労働法制は長く、裁判例を積み重ねてルール(判例)を形づくってきました。
    ただ、個別労働紛争が増加していく中で判例ではなく法律としてルールを整えていく必要が出てきました。

  • 働き方が多様になった
    正社員だけでなく、パート、有期契約、派遣など、さまざまな働き方が広がりました。
    従来のルールだけでは対応しきれず、契約の基本を整理する必要が高まっていました。

  • 国際的な流れ
    海外では労働契約に関する法律が整備されており、日本でも契約ルールを明文化することが求められていました

こうした背景から、「労働契約に関する基本的な民事ルールを定める」という目的で労働契約法がつくられました。


2. 労働契約法の概要

労働契約法はおもに大きく4つの構成でできています。

① 労働契約の基本原則

企業が人を雇い、また労働者が働くときには労働契約が成立します。
労契法第3条で5つの基本原則が明文化されました。

(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない

また、企業の安全配慮義務も労契法第5条で明確に示されています。

(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

② 労働契約の成立・変更

ここでは労働契約がどのタイミングで成立するか明確にされました。

(労働契約の成立)
第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

また、就業規則が合理的な内容のものであり、それが労働者に周知されている場合は労働契約の内容として扱われることも示されました。

第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない

就業規則を変更する際、ときには労働者にとって不利益となる場合がありますが、変更の必要性や内容の相当性、労使協議の状況などを考慮して合理性が判断されます。

③ 労働契約の継続・終了

ここでは、解雇や雇止めに関する基本的な考え方が示されました。
とくに「解雇権濫用の法理」という判例の考え方が法律として確立しました。

(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

出向や懲戒についても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は濫用したものとして無効となります。

④ 期間の定めのある労働契約

「期間の定めのある労働契約」とは、いわゆる契約社員やパート・アルバイトなど契約期間を区切ってはたらく人たちの労働契約のことをいいます。
本当に期間が終了となるケースもありますが、多くは契約更新をしていきます。
ここの章では、雇止めや正社員のような期間を区切らない(=無期)契約への転換ルールも定めています。

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。


3. 実務で押さえておきたいポイント

ここからは、人事労務担当者として特に気をつけたい点をまとめます。

人を採用するとき

人を採用するときは、労働契約が成立するときです。
「求人に書いてあった内容と違う」「採用面接の時に言われた話と違う」というトラブルは少なくありません。
こうしたトラブルを避けるためにも労働条件の明示は口頭で済ませず、書面(または電子データ)で行います。

就業規則を改定するとき

就業規則は会社のルールブックです。
正社員については、個々人と雇用契約を締結するのではなく、就業規則に労働条件を定めて運用しているのが一般的かと思います。

就業規則は会社のルールが変わるたびに改定しますが、特に業績悪化時などで労働条件を引き下げたいというような場合は注意が必要です。
変更の必要性や内容の妥当性、労使の話し合いの状況など、さまざまな要素を総合的に見て「合理的かどうか」が判断されます。

合理的な就業規則であること、そして、その内容を従業員に必ず周知しておくことで労務トラブルを抑えていくことができます。

契約社員やパート・アルバイトの契約更新をするとき

雇用形態や社内の呼称が何であれ、契約期間を区切る有期契約での雇用や通算5年を超えると、労働者の申込みで契約期間を区切らない無期契約に転換できます。

有期雇用契約者一人ひとりの契約期間の管理は仕組み化してモレのないようにしたいところです。
また、無期転換後の労働条件をどうするかといった整備も欠かせません。


まとめ

労働契約法は、労働契約の基本的な考え方を整理し、労使双方が安心して働けるようにするための法律です。
労働契約法は条文が少ないものの、一つひとつの条文には過去の労務トラブルから得られた知見が書かれています。

それぞれの条文のポイントを押さえて日常の労務管理に活かしていくことで、労務トラブルの防止につながっていきます。

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ぷらいむ's Dictionary

JTC企業の人事総務系管理職。副業社労士。
noteは労務コンプライアンス、安全衛生・健康経営、
人権デューデリジェンス、DE&Iなど。
実務に役立つヒントを届けていきます。
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