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零戦のイメージが変わる!「格闘戦特化」説を覆す最新研究と誕生秘話

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翔平 : 零戦って、軍用機に詳しくない人でも「ゼロセン」という名前は聞いたことがあるくらい有名な戦闘機だよね。その開発の経緯については、設計主務者だった堀越二郎の回想録をはじめ、吉村昭や柳田邦男のノンフィクションなど、名著を通じて広く知られてきたんだ。

奈美 : 堀越二郎さんの話は有名ですよね。

翔平 : ただ、この本が面白いのは、これまで語られてきた零戦の物語には、実は大きな情報の欠落や誤解があったかもしれない、という点から出発しているんだ。例えば、「零戦は何の目的で開発されたのか」といった重要な点さえ、2000年を迎えても明らかにされていなかったんだって。

奈美 : そうなんですね。

翔平 : 零戦の設計主務者である堀越二郎は、東京帝国大学工学部航空学科を首席で卒業したエリートで、当初は全金属製大型飛行艇の設計を期待されて三菱に入社したんだ。しかし、海軍の計画変更や技術行政によって、その大型機設計の夢は破れてしまうんだ。

奈美 : 飛行艇の設計者になるはずだったのに、どうして戦闘機を設計することになったんですか?

翔平 : 堀越二郎が欧州出張から帰国した後、海軍は従来の戦闘機、特に三式艦戦の性能に深刻な失望を抱き、大幅な性能向上を目指した七試艦上戦闘機の緊急試作を計画したんだ。最新の技術的知見を持つ堀越二郎が、その設計主務者として適任だったというわけだ。

奈美 : 運命的な巡り合わせがあったんですね。それで、七試艦戦は成功したんですか?

翔平 : 七試艦戦は、液冷発動機の装備が叶わず、代替の空冷発動機を搭載せざるを得なくなって鈍重な外観となり、さらには空中分解事故もあって、要求性能に到達せず失敗に終わってしまうんだ。堀越二郎はこの苦い経験を反省し、七試艦戦の再計画である九試単戦の設計で、七試艦戦を反面教師として全く新しい設計に挑んだんだ。

奈美 : 次の試作機はどうなったんですか?

翔平 : 九試単戦は、海軍が予想していた最高速度を20パーセントも上回る高速を発揮し、堀越二郎の設計者としての最初の成功作となったんだ。これは、技術的には零戦以上の飛躍を実現したとも言われるんだよ。

奈美 : それはすごいですね! その後の零戦の開発では、堀越さんが苛酷な要求に苦しんだという話を聞きますけど、この本ではどう説明されているんですか?

翔平 : 堀越二郎自身、苛酷な要求に苦しんだと記しているけれど、この本では、十二試艦戦(零戦の試作計画名)の要求性能は、当時の世界的な水準から見ればむしろ控え目な要求だったと検証しているんだ。

奈美 : 意外ですね。実現困難な要求ではなかったんですか?

翔平 : そうなんだ。実現困難な無理難題ではなかった。堀越二郎が「苛酷」と感じた最大の要因は、要求そのものの難しさよりも、九七式戦闘機で全金属製単葉機の設計技術で追い上げてきた中島飛行機との競争試作という重圧だったと考察されているんだ。

奈美 : ライバルとの競争が激しかったんですね。零戦に搭載された20ミリ機銃にも「なぜ?」の答えがあるんでしょうか?

翔平 : あるよ。零戦が20ミリ機銃を装備したのは、次期艦戦の主要任務が、敵の双発高速攻撃機を主力部隊に近づかせない「阻止撃攘」だったからなんだ。全金属製で高速の敵機を7.7ミリ機銃で撃墜するのは難しいと考えられ、大火力が求められたんだね。

奈美 : 敵機に合わせた装備だったんですね。

翔平 : あと、零戦の成功は「栄」エンジンのおかげと言われることが多いんだけど、零戦は当初、三菱製の「瑞星」エンジンを装備する予定だったのに、飛行試験前に中島製の「栄」に換装を命じられているんだ。三菱側は「瑞星」を改良すれば「栄」と同等以上の性能が出ると主張していたにもかかわらず、換装は強行された。

奈美 : 技術的に優位性がなかったのに、なぜ「栄」への換装が決まったんでしょうか?

翔平 : それは、海軍航空本部が、日本の航空工業全体のバランスをとり、公式の試作発動機だった「栄」を何とか実用化させたいという、技術行政的な配慮が背景にあったと考えられているんだ。

奈美 : 性能だけでなく、産業育成の視点も関わっていたんですね。

翔平 : そして、零戦は戦地派遣前に二度の空中分解事故を起こしているんだ。最初の奥山事故の後、零戦の機体強度は「強度規定を満足する強度は保有し居るも、強度余裕は皆無なり」と評価されてしまうんだ。

奈美 : 余裕が全くなかったんですね。その後、どうなったんですか?

翔平 : 二度目の下川事故は、主翼の剛性不足からくる補助翼フラッターが原因だと結論され、開戦直前まで、主翼外板の増厚や補強、補助翼のマスバランス追加といった大規模な特急改修工事が実施されたんだ。

奈美 : ギリギリまで改善が続けられていたんですね。

翔平 : この改修の結果、機体剛性が向上したことで、零戦の水平最高速度が向上したんだ。軽量化を追求しすぎたために高速時に変形して抵抗が増えていた主翼が、補強によって本来の性能を発揮できるようになったと推定されているんだよ。

奈美 : 剛性を高めたら速度が上がるなんて、面白いですね。

翔平 : 最後に、零戦といえば「長大な航続距離」が有名だけど、実は機内燃料タンクの容量は欧米のライバル機と比べて格別に大きいわけではないんだ。その秘密は、「栄」エンジンの巡航時の燃費が非常に良かったことにあるんだよ。

奈美 : 長い航続距離にも、複雑な背景があったんですね。従来のイメージが覆されます。堀越二郎の設計者としての苦悩や、海軍とのやり取り、そして事故からの改善のドラマが、従来の定説とは違う視点から描かれているんですね。ぜひ、読んでみたいです。

翔平 : 読んでみて! きっと零戦に対するイメージが変わると思うよ。

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