「続きは読めない」🟥きのころチャレンジ
きのころさんのnote300日記念企画「続きを考えませんかコンテスト」に参加いたします。
こちらのコンテストです。
私は、「続きは読めない」にチャレンジしました。
「続きは読めない」
今朝、郵便受けに入っていた一通の手紙。
差出人の名前はない。
胸騒ぎに、震える手で封を開ける。
中に入っていたのは、
途中まで書かれた私の遺書。
覚えはない。
だが、間違いなく私の筆跡だ。
日付は明日になっていた。
「赤いスタンドで終わる」
理由は書いていない。
けれども、私には分かっていた。
夫とは別居。もうずいぶん会っていない。
随分力を入れていた企画も後輩に取られ、
気持ちも荒れ、生活も崩れた。
何を支えに生きればいいのか分からない。
たった一つ残ったのが、カープだった。
だから、最後は球場で終わろうと思った。
翌日、私はマツダスタジアムにいた。
ライト側ではスクワット応援が続き、
応援歌が球場に響いている。
私は内野一塁側の席で遺書を握っていた。
今日が最後の観戦のはずだった。
試合は0対1で負けていた。
九回裏、二死一・二塁。
打席には今年ドラ1で入った彼が立っていた。
鋭い打球音。
ファウルがネットに当たり、内野席へ跳ねた。
前の列の子どもが固まっている。
私は反射的に子どもをかばった。
腕に衝撃が走る。
係員が駆け寄る。
子どもは無事だった。
私は震えながら席に戻る。
次の一球。
打球は左中間を破った。
走者が二人、生還する。
逆転!サヨナラ!
勝った。ツーアウトから勝った。
赤いスタンドが総立ちになる。
知らない人とハイタッチしながら、
私は泣いていた。
まだ終わりたくない、と初めて思った。
帰宅すると、郵便受けにまた手紙が入っていた。
「赤いスタンドで終わる」
また、この文章で終わっていた。
私は机に向かい、しばらくその余白を見ていた。
そしてゆっくりとペンを取る。
「終わる」の文字のあとに、
小さく一行だけ書き足す。
「そして、また始まる」
窓を開けると、夜風が入ってきた。
どこか遠くで、試合帰りの人たちの笑い声。
そして、あの球場の赤い光景が、まだ胸の奥で揺れている。
私は遺書を封筒に戻し、机の上に置いた。
今日、帰りに買った
次の試合のチケットの隣に。
九回裏は終わった。
けれども、試合は続いていく。
私の中でも、きっと。
いろいろなコンテストに応募するのが
楽しくなってきました。(結果はどうあれ。)
とにかくカープで書けたので、
それだけで良しとします。
コンテストといえば、
JR九州の「わくわくする瞬間」にも
いくつか応募作品を出しているのですが、
その中の一つが紹介されました。
最後に紹介された「浪漫鉄道」に関する記事です。胸が熱くなりましたと言われ、感動。
noteって素敵ですね。
今日はやっと
書きたかったカープでの続きが完成して
喜びも倍!いや、300倍!
きのころさん、楽しいイベントに
参加させていただき
ありがとうございました。
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