「朝ドラ—おしん—」 北大最初の女子学生・加藤セチ
※本コラムは「北大最初の女子学生・加藤セチ」の第4回ですが、
一話完結ですので、単体でもお楽しみいただけます。
「美人すぎて、科学者には向かない」と言われながら、
著名な化学者として成功した、
北海道大学 最初の女子学生・加藤セチ。
少女時代は、どんな子だったのでしょうか?
NHKの朝ドラ「おしん」は、誰でも知っている名作です。
山形の寒村に生まれた、
貧しい小作の娘「おしん」の生涯を描いたドラマですが、
史上最高の視聴率を叩き出し、
放送時間になると、あまりの人気に、
「街から、人の姿が消える」
「水道の使用量が、極端に減る」
という、伝説まで残しました。
NHKアーカイブス: 連続テレビ小説「おしん」
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=C0010292
(以下、ネタバレあります。ご注意ください)
主人公の「おしん」は、
明治から大正にかけて、
少女時代を送りますが、
口減らしのために、
幼いころから奉公に出されて苦労します。
二つ目の奉公先は、
港町「酒田」にある米問屋でした。
そこには、同い年くらいのお嬢様「お加代」がいました。
賢く辛抱強い「おしん」は、
店を牛耳る「大奥様」に、気に入られます。
一方、お加代はわがままで、
大奥様は「おしん」を引き合いに出して、
いつもお加代を叱ります。
お加代は、「おしん」を逆恨みして、
なにかと意地悪をするのですが、
衝突を重ねた末に、
「おしん」とお加代は、姉妹のように仲良くなります。
その後、二人の運命は交錯し、切ない結末を迎えるのですが、
—— それはさておき ——
実は、セチも山形の出身です。
「おしん」が働いた町、酒田に程近い、農村に生まれました。
セチの方が、「おしん」の設定より8歳ほど年上ですが、
ほぼ時代も同じ。
そうか、セチは「おしん」だったのか——と思いきや、

「お加代」を一桁アップグレードしたような、超お嬢様でした。
実家は大地主で、途方もない数の小作人と、
莫大な土地を抱えていました。
酒田より内陸には、城下町の鶴岡があります。
酒田と鶴岡は、25 kmほど離れていますが、
その間を加藤家の土地だけを歩いて行き来できた、
という逸話が残っているほどです。

それだけではありません。
頭脳も人並み外れて良く、
大人にも気圧されない、勝気な性格で、
とにかく負けず嫌いでした。
その上、美人。
ほぼ、無敵ですね。

ところが、運命はドラマより奇なりで、
セチが15歳、青春まっさかりの時、
実家は破産して、地に落ちます。
学費を捻出できず、女学校すら卒業できませんでした。
残されたのは、女ばかり四人の家族。
苦難の旅路が、始まります。
セチたちの行く末は、どうなってしまうのか。
—— それは、また別の話 ——
最後に、ちょっと「おしん」に話を戻せば、
「おしん」は、
恩人の形見であるハーモニカを大事にしていましたが、
意地悪ばかりしていたお加代が、取り上げようとしました。
こればかりは「おしん」も譲れず、
喧嘩になり、
弾みでお加代に、怪我をさせてしまいます。
「おしん」は、ついに暇を出されましたが、
許しを請うたのは、
なんと、怪我をした当人のお加代でした。
「おしんが、好きだ。
銭では買えないものがある、と教えてくれた。
悪いのは、自分だ」
「おしん」ばかり贔屓して、
お加代には冷たいように見えた大奥様ですが、
その姿に暖かく清い心を認めて、
涙をためて、お加代を抱きしめるのでした。
何かと涙腺を刺激する「おしん」でしたが、
私は、これが一番泣けました。
大奥様の、お加代への愛情が、
日頃の冷たさに隠されていたからこそ、
ジンとくるわけです。
数あるエピソードの中でも、
とりわけ心に響いたのは、
私が、老女の大奥様に、感情移入していたからですね。
主人公ではなく、
自分と年齢が近い方の登場人物に、
シンクロしているなあ、
と、悟った次第です。
「北大最初の女子学生・加藤セチ」については、 第1回「美人すぎて、科学者には向かない」を、 下記リンクよりご参照いただければ、 より詳しくお知りになれます。
「美人すぎて、科学者には向かない」 北大最初の女子学生・加藤セチ |アスカリ
(トップ画像は、AI彩色および高解像度処理したものです。
また、挿絵はAIで作成しました)

