【第161回】ディズニー映画「アーロと少年」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
パパ: Then along comes a critter... And this is how you're gonna finish the job. When that critter's taken care of, you'll put your mark on the silo right next to mine. 「いいか。そいつがやってきたら…そしてとどめはこう。やることやったら…印をつけていいぞ。私の隣にな」
アーロ: I'll take care of the critter, Poppa. It won't stand a chance. 「任せといて、パパ。僕が必ずやっつける」
< 虫が飛んできた後に葉っぱも飛んでくる>
アーロ: What are you doing, you bug? Get out of here. Huh! Move along, leaf. Move along. 「何しに来た。虫め!どっか行けよ。あっち行け、葉っぱ。ジャマだ」
① When that critter's taken care of, you'll put your mark on the silo right next to mine. / I'll take care of the critter, Poppa.
take care of … がポイントになる熟語です。両方とも同じ意味ですが、一つ目は受け身で、もう一つは普通の文として使われています。
take care of … は学校では主に「…の世話をする」という意味で勉強したと思いますが、その意味はごく限られたもので、実際はもっとその意味は広がります。
まずその広がりの一つ目は I’ll take care of that work for you. などで「その仕事やっておくから」と何かを“引き受ける”場合に使えます。でも「世話をする」から「引き受ける」という意味になるのは推測ができるのではないでしょうか。
対象が”人“から”もの“に変わっただけですね。でもこのパパとアーロのセリフに出てくる When that critter's taken care of, … と I'll take care of the critter, Poppa. はさらなる広がりを持った take care of… になります。
the critter (その小動物)は食べ物を盗む悪い奴なので、take care of も「世話する」や「引き受ける」ではおかしくなります。
ここでは「始末する」や「処分する」という意味で使われています。ですからWhen that critter's taken care of, … 「その動物が処分された時、…」となります。
また、I'll take care of the critter, Poppa. は、「僕がその動物をやっつけるよ、パパ」という意味になります。
でもよく考えると不思議です。なぜなら、前2つの例文の take care of の意味(「世話する」と「引き受ける」)はポジティブなイメージなのに、このセリフで出てきた2つ(「処分する」、「やっつける」) はネガティヴなイメージになるからです。
「始末する」というのは「殺す」につながるので、「世話する」とは180度真逆ですよね。こうやって考えると take care of … も奥が深いです…
② It won't stand a chance.
stand a chance は「成功する(勝つ)見込みがある」という熟語です。
stand には「耐える」という意味がありますが、「(成功する)可能性に耐える( = 立ち向かえる)」です。
成功する可能性に立ち向かえるというのは、“成功する見込みがある”に結びつきます。
ただ成功だけでなく、
We can’t stand a chance of surviving this storm. 「この嵐に生き残る可能性はない」
He doesn’t stand a chance of passing the exam.「彼はその試験に合格する見込みがない」
というふうに stand a chance of …ing で表すことが多いです。stand a chance はパッと意味が把握しにくい表現の一つなのでもっと使っていきたいと思います。
③ Move along, leaf. Move along.「あっち行け、葉っぱ。ジャマだ」
ここでのポイントは “along” です。along は「…に沿って」で I walked along the river. 「私は川沿い(=川に沿って)歩いた」のように使います。
move along は「…に沿って動け!」が直訳ですが、move との違いがわかりにくいので ChatGPT に聞いてみました。
“Move!”is about immediate action in the moment (often abrupt).
“Move along!” suggests continuing on your way, often implying you’re staying somewhere too long or lingering unnecessarily.
”Move!” は「今すぐ動け」という短くて直接的な命令ですが、“Move along!” は「そのまま進んで」と、どこかに誰かが長居などをしたりしている時に使う命令です。
“Move! You’re blocking the door!” 「どいて!ドアを塞いでるわよ!」(短くて直接的)
“Move along, there’s nothing to see here.” 「進んで。ここには見るもの何もないから」(穏やかな命令)
“何かに沿って進む”という along から少し穏やかさが伝わってくるのは理解できますね。
このアーロが言った “Move along, leaf.” も葉っぱがひらひらと舞いながらアーロに近づいてくるので、臆病なアーロは“ここはいいから立ち止まらないでどこかに行って”と葉っぱに言いたかったのでしょう。
Move, leaf. でもいいですが、直接的でかなりキツイ言い方になってしまいます。アーロの優しい性格故の Move along. とも取れるかも知れません。
パパ: Arlo! Why'd you let it go? 「アーロ!なぜ逃した?」
アーロ: It was biting, and coming at me, and screeching, and... 「噛みつこうと向かってきたから… 」
食べ物を盗もうとした泥棒を捕まえなかったアーロにパパは怒ります。
① It was biting, and coming at me, and screeching, and...
coming at me の字幕は「向かってきた」となっています。ポイントは前置詞の “at” です。
come は通常 come to … 「…へやって来る」のように “to” と一緒に使います。“to” は”方向と到達“を表す前置詞ですが、”at” は”一点に向かう“イメージがあります。
ですから come at me で「私という一点をめがけてやって来る」というニュアンスがあります。
アーロは泥棒が噛みつこうとして自分に向かってきたので It was biting, and coming at me … 「噛みつこうと向かってきた」と言ったのです。
もし、It was biting, and coming to me… と “to” を使うと「私のところに(会うために)やって来る」となり緊迫感はなくなります。
come to と come at ー 前置詞でニュアンスが大きく変わるのは面白いです。他の前置詞ももっと深掘りしていきたいですね。
② It was biting, and coming at me, and screeching, and...
screech は「甲高い声で叫ぶ」です。キーの高い耳に響くあの金切り声です。
She screeched at him for being late. 「彼女は遅れた彼に甲高い声で叫んだ」
shout も”叫ぶ“で声の高さの違いはありますが screech と同義語として覚えておくと忘れにくいと思います。
shout はよく目にするのでその度に”甲高い“ screech を思い出すとますます定着率が高まります。
この screech は”声“だけでなく、タイヤのスリップ音や車のブレーキ音などの”甲高くて鋭い“音にも使えます。
The car screeched to a halt. 「車がキキッと音を立てて止まった」
