【第156回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
RICK: We’ve frozen all of Syndrome’s assets. lf he even sneezes, we’ll be there with a hanky and a pair of handcuffs. The people of this country are indebted to you. 「シンドロームの資産は凍結した。彼が動けばすぐ逮捕する。国中が感謝してるよ」
Bob (Mr. Incredible) Does this mean we can come out of hiding? 「今後の活動は?」
RICK: Let the politicians figure that one out. But I’ve been asked to assure you we’ll take care of everything else. You did good, Bob. 「政府が判断する。だが今回の被害は我々が全て責任を持つ」
① lf he even sneezes, we’ll be there with a hanky and a pair of handcuffs.
「彼がくしゃみするだけでも、私たちはハンカチと手錠を持って駆けつけます」が直訳です。( hanky は handkerchief の短縮形 )
これはユーモラスな表現で、どんな些細なことでもシンドロームを見逃すことなく、捕まえる準備はできているとの意味です。
“くしゃみすら見逃しませんよ”という強い意志が感じられます。面白い表現なので取り上げてみました。
② Let the politicians figure that one out.
figure … out で「…を自分で考えて解決する」という意味です。
類義語の understand や solve よりも、“しっかりと考えて”解決策を探すという 一歩深い意味があるのが興味深いですね。
that one はボブの言った we can come out of hiding (隠れるということから(スーパーヒーローたちが)抜け出せる)ということを指します。
すなわち「政治家にそのことを(可能かどうか)考えさせればいいよ」となり、「政治家にそのことは任せればよい」や字幕の「政府が判断する」という意味になります。
次の2つの文は、 「なぜ携帯が充電できないのか、いくら考えても分からない」という意味を表しますがニュアンスは異なります。
I can’t figure out why my phone isn’t charging.
→ 「色々考えたり試したけど、それでも分からない」というニュアンスがある。
I don’t know why my phone isn’t charging.
→ 単に「理由が分からない」と言っているだけで、深く考えたり試していない場合も含む。
2番目の know を使った文の方をよく使うのではないでしょうか。でも“よく考えた“という結果を伴う場合は figure out も使っていきたいですね。
③ I’ve been asked to assure you we’ll take care of everything else.
ポイントになる語は assure で、「(人)に…を保証する」です。
もっと口語的に言うと「大丈夫、安心して。… は私が保証するから」です。
このセリフを前から区切って意味をとると、I’ve been asked (私は…するように求められた) / to assure you (あなたに保証するように) / we’ll take care of everything else. (我々が他のすべてのことは対応することを)
「他のことは全て(= スーパーヒーローの活動が再開できるかどうか以外のこと全て)、我々が対応することをあなたに保証するように言われてる。(だから心配しなくてもいい)」という意味になります。
I assure you that there’s nothing to worry about. 「心配することは何もないと保証します(断言します)」
assure って個人的に使いにくい動詞だとずっと思っていましたが、assure (人) that … でどんどん使っていきたいですね。
Bob (Mr. Incredible): Hey, you’re wearing your hair back? 「耳を出したのか?」
VIOLET: Yeah, I just... yeah. 「これは…そうよ」
Bob (Mr. Incredible): It looks good. 「似合うぞ」
VIOLET Thanks, Dad. 「ありがとう」
Hey, you’re wearing your hair back?
これは面白い表現ですね。髪型に wear が使われています。
wear を「着る」や「身につける」という理解だけでは wear one’s hair back 「髪を後ろにまとめる」という発想はなかなか出てこないのではないでしょうか。
字幕の「耳を出したのか?」という訳もいいですね。髪を後ろにまとめると耳が出るのは確かに納得です。
日本語では「髪を~にする」「髪型を整える」といった表現になりますが、英語では髪を「自分がどう『身につけている』のか」と捉えるため、wear が自然に使われるのではないかと思います。
ちなみに wear one’s hair back をChatGPTに依頼して作成してもらった画像です。

wear one’s hair ( ) は次のようにとても汎用性がある表現です。
Wear one’s hair up

Wear one’s hair down

Wear one’s hair curly

Wear one’s hair parted in the middle

日本語は介さずに、英語を写真や絵などの画像と結びつけて理解することも“英語で考える”習慣を身につけるには有効だと思います。
Kari: I’m gonna call the police... - Hi, this is Kari. Sorry for freaking out, but your baby has special needs. 「もう警察を呼ばないと。お騒がせしてすみません。変わった坊やですね」
Bob (Mr. Incredible): "Special needs"?
Sorry for freaking out, but …
赤ちゃんのJack-Jack の世話をしていたカリが、電話口でパニック状態になる場面です。
Sorry for … は Sorry for being late 「遅れてごめん」などでよく使われる口語表現ですが、Sorry for freaking out, but ... はあまり聞いたことがないのではないでしょうか。
freak out は「取り乱す」、「パニックになる」という熟語です。ですから、カリは「取り乱してごめんなさい」とヘレンに言ったのです。
この freak という言葉を聞くと昔アメリカから来た友人が言った言葉を思い出します。それは、日本は治安が良いので日々の生活はそんなに心配しなくてはいいけれど、一つ注意しなければならならないことがある。それは満員電車での“痴漢“。
彼女は、”So he is a freak, right?” と言ったのです。当時、 freak out は知ってたのですが、名詞のfreak はあまり馴染みがありませんでした。でも文脈から”変な奴“のことだろうとピンときたので、”Yeah, that’s right.” と答えました。
痴漢と freak は厳密には違いますが、なぜか彼女が freak と言ったことが頭に焼き付いています… ( freak は「変人」「風変わりな人」という意味です )
