【第160回】ディズニー映画「アーロと少年」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
ママ: Did you just put your mark higher than mine? 「私より上につけた?」
パパ: What? No. It's just the angle you're looking at it. 「まさか。角度のせいでそう見えるのさ」
It's just the angle you're looking at it.
パパがつけた印が自分より上にあることに不満げなママへ言った言葉です。
字幕は「角度のせいでそう見えるのさ」ですが、何故かこの表現が気に入ったので取り上げてみました。
直訳は「それは(= 僕の印がより上に見えるのは)、君がそれ(僕がつけた印)を見ている角度(angle) だけだよ」です。
「それ角度の問題」って普通に使いませんか?角度によって若い女性に見えたり、老婆に見えたりする隠し絵は有名ですが、It's just the angle you're looking at it. が使えます。
パパ: That is how you clear a field. Attaboy, Buck. 「そうやって畑を広げる。よくやった、バック」
< アーロが他の動物たちに追いかけられている >
パパ: He'll figure it out. Be just fine. 「すぐ慣れるさ。心配ない」
He'll figure it out.
3人兄弟の中でアーロだけが臆病で今も動物たちに追いかけられており、その姿を見たパパがママに言った一言です。
figure out… は以前も取り上げたことがありますが、“いろいろと自分で考えて解決する“という意味で使われ、解決までのプロセスに重点を置いている言い回しです。
それに対して、「解決する」を意味する solve はプロセスではなく「解決する」という結果にフォーカスする語です。
He’ll figure it out. の He はアーロなので、”アーロは現状(怖がりなこと)を自分でいろいろ考えて解決策を導き出すよ“という意味です。
「字幕の“すぐ慣れるさ”」は He’ll get used to that. などと直訳してもいいですが、He’ll figure it out. も英語らしくて使っていきたいですね。
He’ll figure it out. の次のBe just fine. は主語を入れると、He’ll be just fine. 「アーロは全然大丈夫」です。
でも主語が省略されて Be … で始まると命令文みたいで何か変な感じがしてしまいますが、覚えておきたいですね。
< リビーが仕事を頑張っている場面>
ママ: You've got it, Libby! Just a little bit more. 「その調子よ、リビー。もう少し」
パパ: Beautiful. 「よし」
ママ: You earned your mark, sweetheart. 「印をつけていいわ」
< 動物に追いかけられているアーロがバックに当たってバックがこける>
アーロ: Whoa, whoa, whoa!
バック: Arlo! 「アーロ!」
パパ: He'll get there. 「大丈夫だよ」
① You’ve got it, Libby! Just a little bit more.
You’ve got it. は「あなたはそれを得た」が直訳で、実際次のように“所有”の意味でも使います。
A: Do you have the key? 「カギ持ってる?」
B: Yeah, I’ve got it. 「うん、持ってるよ」
でもこの You’ve got it. はいろんな場面で使える便利な表現です。
このママのセリフでは、仕事をしている子供のリビーを励ますために使っています。すなわち字幕のように「その調子!」や「できてるよ!」などの意味になります。
You’ve got it. の他の使用は次の通りです。
A: The correct answer is, I think, C. 「正解はCだと思います」
B: You’ve got it! 「その通り!」
A: Can you help me buy a ticket? 「チケット買うの手伝ってくれる?」
B: You’ve got it. 「任せて!」
A: I’m afraid I will fail. 「失敗しそう」
B: Relax. You’ve got it. 「大丈夫。できるよ」
相手を激励したり、認めたり、手伝ったりと汎用性の高いYou’ve got it.です。
またセリフの中でYou’ve got it. の次に続く Just a little bit more. 「もう少し」をセットで覚えておくと、You’ve got it, Libby! Just a little bit more. の Libby を別の名前に変えるだけで「その調子!もう少し」と激励が完了します。
そのまま口に出して覚えておけば役立つこと間違いありません。
パパ: The dang wilderness critter's coming over the fence, eating our food, and I've had it up to my snout. If this keeps up, we won't have enough food to survive the winter. That's why you are gonna catch that critter. 「ずる賢い生き物が入り込んで盗み食いしてるんだ。このままでは冬の食料がなくなるそこでお前が奴を捕まえるんだ」
① I've had it up to my snout.
これは、”I’ve had it” と “up to my snout” に分かれます。
まず ”I’ve had it” ですが、完了形なので「(嫌な状況を)持ち続けてきたけれど、(それも完了して)もう限界だ」という意味になります。「もう我慢できない」ですね。
次に “up to my stout” ですが、snout は「(豚などの)突き出た鼻」で、up to... は「…まで」なので「突き出た鼻まで」です。
この表現は、普通は I’ve had it to here. が使われます。”to here” (ここまで)というのは一般的に”首“のあたりに手を持っていき「もう我慢できない」という感情を表します。
頭のあたりに手を持っていくと”もっと我慢できない“とより強い意味になります。
here の代わりに snout を使うとどんなニュアンスになるのか ChatGPT に聞いてみました。
“I’ve had it to my snout”:
It is much less common and has a humorous or playful tone because it replaces the conventional “here” with “snout,” a term associated with animal noses (like pigs or dogs).
「あまり一般的ではなく、従来の "here "を 豚や犬など動物の鼻を連想させる"snout" に置き換えているため、ユーモアやおどけた口調になる」とのことです。
I’ve had it to here. の方が一般的であるようです。
ここで snout が使われているのは、このシーンでは、恐竜という人間以外の間で使われているからだと思います。でもジョークで使ってみるのも面白いかも知れません。
② If this keeps up, we won't have enough food to survive the winter.
ここで取り上げたいのは「続く」という意味の keep up です。「続く」という英語は continue がまず初めに思い浮かぶのではないでしょうか。
そして、「もしこの状態が続けば、…」は continue を使う人が keep up よりも多いのではないかと思います。
でも、その違いがとても気になったのでChatGPT で調べてみました。
If this keeps up” is casual and often implies a worsening situation or urgency, while “If this continues” is more formal and neutral, describing an ongoing situation without emotional emphasis.
”If this keeps up” はカジュアルで、状況が悪化しそうな含みや緊急性を伴うことが多く、感情的な含みがある表現です。
一方、“If this continues” はフォーマルで中立的に進行中の状況を述べる表現で、2つの間にはとても示唆に富んだ違いがあるのがわかりました。
面白いのは keep up を使った方が、続くは続くでも“状況が悪化し、そこに感情が入る”というニュアンスを含んでいるということです。
日本語で言うと「こんな状況が続けば…」と“この状況”を“こんな状況“に変えるだけで”悪化して感情的になる“ニュアンスが出てきます。
日本語の変化も面白いです。もっと言えば、 continue は中立的で感情を強調しないので、悪化する場面で使うと(もちろん意味は通じますが)少し違和感がある表現になってしまう恐れがあるのではないでしょうか。
この continue と keep up の違いは、別の対話型AI の Gemini と Copilot にも尋ねたのですが ChatGPT と同じような答えが返ってきました。
If the rain continues, we might have to postpone the event.
→ 「雨がこのまま続けば、イベントを延期しなければならないかもしれない。」 ( 冷静に状況を説明している )
If this rain keeps up, we’re going to be completely soaked!
→ 「この雨がこのまま降り続いたら、びしょ濡れになっちゃうよ!」( 感情的で、緊急性を感じさせるニュアンス )
この2つの例文で興味深いのは、“雨が降り続く”という悪条件は共通ですが、それに対する答えが一方は冷静に、もう一方は感情的になっているところです。
この二つの違いとても興味深いのですが、もっともっと深掘りしていきたいですね。
