【第154回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
Bob (Mr. Incredible): You mean, you killed off real heroes so that you could....PRETEND TO BE ONE? 「偽りのヒーローになるために本物を消したのか?」
SYNDROME: Oh, I’m real. Real enough to defeat YOU! And I did it without your precious gifts, your oh-so-special powers. I’ll give them heroics. I’ll give them the most spectacular heroics anyone’s ever seen! And when I’m old and I’ve had my fun, I’ll sell my inventions so that everyone can be superheroes. Everyone can be a super! And when everyone’s super....no one will be. 「俺は本物だ。お前に勝った。お前らみたいなスーパーパワーも持たずに。前代未聞のヒーローを世界中に見せてやるぜ。老後は発明品を売り、みんなをスーパーヒーローにする。誰もが特別な力を持てば…スーパーヒーローはもう必要ない。ざまあみろあ見ろ」
① You mean, you killed off real heroes so that you could ...
「お前は真のヒーローたちを殺した」ですが、やはり killed off とkill との違いが気になります。でも off には“分離”の意味があるので、「殺して分離する」となり、“(殺して)抹消する”と言ったニュアンスがあるのではという推測はできます。
そこで ChatGPT に kill とkill off について尋ねました。
Key Differences:
“Kill”: Focuses on the act of killing, doesn’t necessarily imply complete elimination.
“Kill off”: Suggests a large-scale or complete reduction, often over time.
“Killed”: 殺したことに焦点を当て、必ずしも完全に全滅させたとは限らない。
“Killed off”: 規模が大きい、または完全にいなくなる。時間をかけて行われることが多い。
推測通りだったのですが、kill off は“大規模”で“時間をかけて“行われることが多いというのが面白いです。抹消するためには、確かに時間を要することが多いですし、規模も大きくなるのも予想されます。
語学のQ&Aサイトの HiNative にもこの kill off について興味深い回答があったので紹介します。
To kill off" can mean the same thing as "to kill" but it can also mean to stop something from continuing.
Microsoft killed off Windows XP this year. They will no longer update it or provide technical support."
People often use "killed off" when a writer of a book, TV show, or movie has a character die.
一つ目が、人だけでなく、モノの存続が終わる時にも使える。(例) Microsoftは Windows XP を今年で終わらせた(=販売を終了した) 。
二つ目が、本やテレビ番組、映画でキャラクターを死なせる場合よく使われる、です。
このシンドロームのセリフもまさしく映画の中でヒーローたちが死んでいったので kill off が使われているのでしょう。
② I’ll give them heroics. I’ll give them the most spectacular heroics anyone’s ever seen!
heroics が繰り返し出ています。これは hero からきた語であるのは容易に推測できますが、
“Heroics” refers to actions intended to appear brave, often exaggerated or unnecessary.
heroics は「勇敢に見せようとする誇張されたり不必要な行動」を指すとのことです。ですから「英雄気取りの行動」とネガティブな意味合いがあります。
普通に「英雄の行動」と言いたい時は、heroic action と heroic という形容詞を使って表します。
hero, heroic, heroics とややこしいですが、特にポジティブな heroic (action) と ネガティブなheroics は覚えておく必要があります。
MR. INCREDIBLE: I’m sorry. This is my fault. I’ve been a lousy father. Blind to what I have. So obsessed with being undervalued that I undervalued all of you. 「家族を巻き添えにしてひどい父親だよな。自分のプライドを満足させようとして…お前たちまで」
① I’ve been a lousy father.
字幕にあるように「ひどい」というのが lousy の意味です。
lousy が「ひどい」という意味になるのは、louse (シラミ)から来ているからです。”シラミ“と聞くと”噛まれると痛痒い“というネガティブなイメージが湧くのではないでしょうか。そこから lousy は「ひどい」、「ウンザリする」、「まずい」などのネガティブな意味が生まれました。
平たくいうと bad や poor ですが、この lousy はとてもインフォーマルな口語表現です。
This coffee is lousy. 「このコーヒー、まずいな。」
I’m a lousy cook. 「僕は料理が下手なんだ」
He’s a lousy friend. 「あいつはひどい友達だ」
I had a lousy day. 「ひどい一日だった」
いろいろな場面で使える lousy です!
② Blind to what I have. So obsessed with being undervalued that I undervalued all of you. 「自分のプライドを満足させようとして…お前たちまで」
字幕はかなり意訳されています。直訳は「自分が持っているものに気づかず、過小評価されていることばかり気にして、結局みんなのことを過小評価していた」です。
( I was ) Blind to what I have. と I was が省略されています。blind は「目が見えない」ですが、そこから「…に気づかない」という意味があります。ですから Blind to what I have. で「私が持っているものに気づかなかった」です。
ボブ(Mr. インクレディブル)が気づかなかったものは、家族や今の生活の大切さですね。その理由が次の So obsessed with being undervalued that I undervalued all of you. です。
これも ( I was ) So obsessed with … のように I was が省略されています。be obsessed with … は「…に取り憑かれた」で、undervalue は「過小評価する」なので、「 「 私は過小評価されることに取り憑かれていたので、お前たちみんな(=家族)を過小評価していた」です。
ここでボブは自分が過小評価されていると感じたのは、以前はスーパーヒーローとして皆から尊敬の念を集めていたからです。昔の名声が今や地に落ちたと感じたのでしょう。ボブはそのことばかり考えていたので、家族の支えなどを過小評価していたのです。
でも今ボブは家族の大切さに気づいたのです。このシーンはボブの大切なものへの“気づき”という点ではとても重要なシーンではないでしょうか。
