【第134回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
Mr. Huph: I’m not happy, Bob. NOT...HAPPY. Ask me why. 「私は不機嫌だ。少しもハッピーじゃない。理由を聞け」
Bob: Okay. Why? 「なぜですか?」
Mr. Huph: Why what? Be specific, Bob. 「なぜ不機嫌か?と」
Bob: Why are you unhappy? 「なぜ不機で?」
Why what?
「何が何故なんだ?」とWhy と聞いてきた相手に「何について“何故”だと聞いてるの?」と、もっとクリアーに質問してほしい時に使います。
「何故って何が?」が自然な日本語でしょうか。
ボブの上司であるMr. Huph は Why what? の次に Be specific, Bob 「ボブ、具体的に(質問して)」と付け加えているわけです。(嫌味と取れますが…)
Why what? は崩れた表現で、あえて文で書くと What are you asking “why” about? 「あなたは、何について“何故”だと聞いているの?」です。
A: I’ve decided to live in Osaka. 「大阪に住むことに決めたの」
B: Why? 「どうして?」
A: Why what? 「どうしてって何が?」
B: Why have you decided to live in Osaka? 「どうして大阪に住むことに決めたの?」
Why what? ー 聞き慣れない表現ですが、ユニークなのでぜひ使っていきたいですね。
Mr. Huph: Complaints? I can handle. What I can’t handle is your customers’ inexplicable knowledge of lnsuricare’s inner workings!! They're experts! EXPERTS, Bob! Exploiting every loophole, dodging every obstacle! They're penetrating the bureaucracy!! 「苦情ならいい。なぜ彼らは我が社の手の内を知ってるんだ?プロも顔負けだよ。契約の抜け穴を突き回して…保険金をせしめていく」
ここでは語彙を学習しましょう。
① inexplicable [ inéksplikəbəl ]
inexplicable の in は“打ち消し” で最後の -able は「できる」ですが、真ん中の “-explic” が何を表すかです。よく見ると explain (説明する)とよく似ていますね。ですから3つ合わせて「説明することのできない」という意味になります。
実際は、ラテン語の「inexplicabilis」に由来しており、in- (〜でない)と explicabilis (説明できる)という部分から成り立っているそうですが、上の説明で十分でないでしょうか。
② inner workings
物事の「内部構造」や「仕組み」を表す語句です。
I don’t understand the inner workings of this machine. 「この機械の内部の仕組みが分からない。」
この「内部の構造」から、外からは見えない詳細な動きなどを指すこともあり、字幕にあるように比喩的に「手の内」という意味でも用いられます。「手の内」っていい日本語だと思いませんか。
He finally revealed his company’s inner workings. 「彼はついに会社の手の内を明らかにした」
③ dodge
“ドッジボール”( dodge ball ) という競技は、相手が投げたボールをよけながら進んでいく競技です。そこから dodge には「避ける」という意味があります。
dodge ball の競技内容から「避ける」は想像しやすいのではないでしょうか。
五感をフル活用して語句の意味を覚えることもとても有効だと思います。
Bob: He is getting mugged! 「人が襲われてる」
He is getting mugged!
mug は「マグカップ」ですが、動詞 で「(人を)襲って金品を奪う」という意味があります。
盗んだり、奪ったりするのを表す英語は rob がよく使われると思いますが、mug はあまり知られていないのではないのでしょうか。
その理由をちょっと考えてみたのですが、それはそれぞれの語の汎用性にあるのではと思います。
rob は“人や場所から金品を奪うことで、暴力の有無は問わない”語で、ある意味どんな状況でも使えます。すなわち汎用性があるため使いやすくなっています。
それに対して mug は“人のみに使うことができ、場所には使えない”語で、かつ“通りや公共の場で暴力や脅しを用いて誰かを襲い金品を奪う”時に使われます。
すなわち、mugはrob よりも狭い範囲でしか使えません。ある意味、どんな状況でもrob を使っていればいいことになります。
汎用性があるかないかー これもその語がよく使われるかどうかの指標の一つではないでしょうか。
Bob: How is he? 「彼は?」
Rick: He’ll live. 「生きてる」
Bob: I’m fired, aren’t I? 「クビ?」
Rick: Oh, you think? 「当然だ」
ボブのせいで瀕死状態になり、入院中の上司について病院内でボブがたずねます。
① He’ll live.
字幕は「生きてる」となっていますが、「生きている」と言えば、alive を使って He’s alive. と表すのが多いのではないでしょうか。
A: How is he?
B: He’s alive. 「生きてる」
では、He’ll live. とどう違うのか気になりますね。He’s alive. は理解しやすいですが、He’ll live. はあまり聞いたことがありません。
He’s alive. と He’ll live. の違いですが、対話型AI を使う前に少し考えてみました。
一番の違いは be動詞と一般動詞の違いです。He’s alive のようにbe動詞 ( is ) を使っている場合、状態を表すので「(今)彼は生きている」となります。
それに対して、一般動詞の He’ll live. は、今もそうですが、これからも「彼は生きていける」と今の状態だけでなく、今の“動き”も含むのではないかと考えました。そこで ChatGPT で調べてみました。
“He is alive” means he is currently living and not dead, stated as a fact.
“He’ll live” means he will survive or recover, often reassuring someone that he’ll be okay despite being in danger.
alive を使った表現は、“事実として今生きている“ とういことを述べているのに対して、live を使った表現は、”危険な状況でも彼が生き延びたり回復したりする“ ことを意味し、“大丈夫だと安心させる”表現です。
ですから He’ll live. は「彼、大丈夫だよ」という日本語にもなります。
He’s alive. は状況によっては、感情のない冷たい表現として受け取られるかもしれません。
また一つ勉強になりました。英語の奥深さを感じてしまいます。
