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【第162回】ディズニー映画「アーロと少年」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

パパ: What do you see? 「何が見える?」
アーロ: Uh, tracks? 「えっと…足跡?」
パパ: And they're washing out, we got to move! We're losing it! Arlo, keep moving! 「雨で消えるぞ。急げ。見失うな。アーロ、止まるな」

「アーロと少年」

雨の中、パパとアーロが逃げた泥棒を負っています。

And they’re washing out, we got to move! 「雨で消えるぞ。急げ」
ポイントは wash out です。they は tracks (泥棒の足跡)を指しています。wash はここでは自動詞で「…が押し流される」という意味です。

out は「外に」から「すっかり、完全に」というニュアンスがあるので「それら(泥棒の足跡)が完全に押し流されつつある」です。

そこから「足跡が消えてしまうぞ」とも訳せます。”消える“は disappear で And they’re disappearing でももちろんOKです。

でも disappear は消える理由は何でもいいですが、wash out は”水が原因で消える”というイメージがあるので、大雨が降っている中での会話なので、ここでは wash out を使っているのでしょう。



パパ: It's okay, Arlo. I'm sorry. I just wanted you to get through your fear. I know you have it in you. 「怖さを乗り越えてほしくて。お前は強い子だ」
アーロ: But I'm not like you. 「パパとは違う」
パパ: You're me and more. I think we went far enough today. Storm's getting worse. Let's get you home. 「パパよりも強いよ。今日はもう十分だ。嵐が来てる。家に帰ろう」

「アーロと少年」

① I just wanted you to get through your fear. 「怖さを乗り越えてほしくて」
get through は「…を克服する」という熟語です。これと似た熟語で go through 「…を経験する」がありますが、この2つの意味は混同してしまいがちではないでしょうか。

through 「…を通って」は2つとも共通なのでポイントは go と get です。get と go ではなくgo と get です。

どちらでもいいように思えますが、理解するのにこの順番は大切です。

go は「行く、進む」で“過程”をイメージさせるので go through … で「…を(通って)経験する」がしっくりいくのに対して、get は「得る」という“結果”をイメージさせるので get through … で「…を克服する、打ち勝つ」という意味が生じます。

また get to … で「…に到着する」なので、そこからも“結果として克服する”というニュアンスが読み取れます。

私はこの go と get のイメージを把握した後は go through と get through の意味がクリアになり間違うことはなくなりました。

ただ単に“暗記”するのではなく、“考えて自分なりに納得して学習を進めることも大切だと思います。

I know you have it in you.
これは以前取り上げたかもしれませんが、この表現の応用形をここでは説明したいと思います。

意味は「君にはその能力はあるよ」で、相手を激励する表現です。it は ability (能力)や strength (強さ)を指します。

“応用形“というのは、後ろに “to” … をつけて”どんな能力(強さ)“なのかを明確にできることです。

例えば、I know you have it in you to pass the exam. 「君にはその試験に合格できる能力はあるよ」です。

I know you have it in you to get through this difficulty. 「あなたならこの困難を克服する強さはありますよ」

簡単な英語ばかりで構成された I know I have it in you. ですが、案外意味を把握するのは難しいのではないでしょうか。You can do it. 同様、どんどん使っていきたいですね。

You're me and more. 「パパよりも強いよ」
こういったシンプルだけれど強いメッセージを持っている表現大好きですね。

”You” はアーロで、”me” はパパです。直訳は「お前は私で、それ以上だ」です。つまり「お前は俺以上の存在だ」と解釈できます。

「…以上」は more than … でも表すことができるので You’re more than me. 「お前は俺以上だ」とも言い換えることができます。

でも厳格な文法を用いるとこの2つは違った意味になります。厳格というのは more than … の意味です。

例えば There are more than ten students here. は「10人以上の生徒がいる」と訳しているのを見たことがありますが、これは間違いで正確には「11人以上の生徒がいる」です。

なぜなら more than … は“… を含まない”からです。この考えでいくと、You’re more than me. は「お前は私を超えている」と“自分を含まずそれ以上”の存在になります。

それに対して、You're me and more. は“お前は私かそれ以上” なので必ずしも私を超えている必要はないのです。

ですから厳密にいうと、字幕の「パパよりも強いよ」は「パパと同じぐらいかパパ以上に強いよ」になります。

でもあくまで厳密な文法に基けばそうであるだけで、実際の会話では無視してもいいレベルです。でも知識としては知っていてもいいかなあと思います。

④ I think we went far enough today. 「今日はもう十分だ」
ポイントは go far です。直訳は「遠くへ行く」で、We went far into the mountains. 「山奥(山の中遠く)まで行った」と”距離“として far (遠くに) が使われています。

でもこのパパのセリフでは、「今日は十分遠くまで行った」と距離ではなく、”取り組んだ道のり“が今日のところはもういいだろう、という意味に取ることができます。

すなわち、パパはアーロに恐怖の克服方法を教えるために大雨にもかかわらず山を登って行ったのですが、アーロがあまりにも恐怖心を抱いていたため「今日のところはもう十分だろ」と言って引き返したのです。

それが I think we went far enough today. です。go far with … と with をつけると何かの進捗状況が進んでいるのを表すことができます。

We went far with the project. 「プロジェクトのかなり進んだね」

また、この go fargo too far 「遠くに行きすぎる」になると「言いすぎる」「やりすぎる」などと言ったネガティブな意味になります。

I’m sorry, but I went too far. 「ごめんなさい。ちょっと言い過ぎました /  度を越してしまいました  /  調子に乗りすぎました」といろいろ使えます。

反対に Don’t go too far. は「度を越したらいけないよ」と相手を嗜める表現になります。

They always go too far with the jokes in their comedy act. 「彼らの漫才、いつも冗談が度を越している」

go far を使ったいろんな表現どんどん使っていきたいですね。



アーロ: Don't worry, Momma. I won't let us starve. 「任せて、ママ。僕が家族を守る」

「アーロと少年」

I won't let us starve.
直訳は「私は、私たち(家族)を飢えさせない」ですが、主語(ここではアーロ)の強い意志が見られる表現です。

なぜなら、”us” はアーロの家族全員を指し、アーロ自身もその中に含まれているからです。パパが亡くなった今、弱虫のアーロが強い気持ちを持ってママに言ったことを表すセリフです。

We won’t starve. 「俺たちは飢えることはない」と言い換えることもできますが、I won't let us starve. と違って”話者(I)“の意思がないので一般論的になってしまい、意味が弱まります。

この I won’t let us … は他にも応用可能です。
I won’t let us lose the game! 「俺が試合に負けさせない!」⇨「俺が絶対に試合に勝たせてみせる!」

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