過去記事をそのままAIに渡さない——文脈の棚卸しで残すもの・捨てるもの
過去の記事や台本は、AIにとって便利な材料になる。だが、フォルダごと渡せば良いわけではない。古い制度、取り下げた企画、今の自分とは違う判断まで混ざれば、AIはそれらも同じ重さで参照する。蓄積は、量を増やす作業ではなく、使える状態に整える作業だ。
まず「原本」と「参考例」を分ける
発言録、公開済みの原稿、一次資料、企画メモ。それぞれ役割が違う。話した内容を残す原本と、文章の見本として使う参考例を一つの箱に入れない。AIに渡すときに、何を事実の根拠として扱い、何を表現の見本として扱うかが明確になる。
残すべきなのは、何度も使う判断
タイトルの付け方や結論の置き方だけでなく、記事で必ず確認する項目、読者に示したい一次資料、避けるべき断定がある。こうした繰り返し使う判断は、個別原稿から抜き出して別に保管する。原稿を読むたびに推測させるより、短いルールとして渡す方が正確だ。
捨てるのではなく「失効」を付ける
古い原稿を消す必要はない。ただし、現在の判断に使ってよい資料かどうかは分ける。制度や数字に日付を入れ、すでに変わった前提には「参照のみ」と印を付ける。履歴として残しながら、現在の原稿に混ざるのを防げる。
一つの原稿に、役割のラベルを付ける
原本:本人が実際に話したこと、書いたこと
根拠:公表資料、議事録、統計など
参考例:構成や語り口を参照する完成原稿
失効:今は使わないが経緯として残すもの
ラベルは完璧でなくていい。あとから見た人が、AIにどう渡すべきか迷わないことが目的だ。
棚卸しは、新しい企画の前に小さく行う
全アーカイブを一度に整理しようとすると止まる。次に書く記事で使う五本だけ、今月のテーマに関係するメモだけ、と範囲を狭める。そのたびに残すものと失効したものが見えてくる。
AIに渡すのは、整理後の「抜粋」でいい
大量の過去原稿を読むほど、AIの答えが本人らしくなるとは限らない。今回の依頼に関係する判断、根拠、見本を選んで渡す。文脈の質は、保存量ではなく、選び方で決まる。
文脈を蓄積する基本的な考え方は、こちらの記事でまとめています。
判断基準と語り口を一枚にまとめる方法は、AIに渡す「自分の取扱説明書」の作り方――判断基準と語り口を一枚にするで続けています。
▼あわせて読む
・古い文脈は、AIの誤答になる——前提を更新するための見直しルール
https://note.com/poliplus/n/n87d5e090259b
・1本の動画を複数媒体へ展開するAI運用設計――人間に残す判断と責任
https://note.com/poliplus/n/nfa84bc37af7a
▼このテーマのまとめ
・AI×発信ノウハウまとめ
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