AIを使うほど、「判断の記録」が必要になる

以前、「問いを立てることが仕事になった」という記事を書いた。

その次には、AI時代に人間に残る仕事は「決断」と「責任」ではないかと考えた。

では、人間が決断したことは、どこに残るのだろう。

私自身、AIから複数の案を出してもらったあと、最後はその場で決めることが多い。

AIとのやり取りはチャットに残っている。しかし、「なぜこの案を選んだのか」という自分の判断は、意外と残っていない。

AIを使うほど必要になるのは、回答の保存ではなく、判断の記録なのかもしれない。

AIの答えは残るが、自分の理由は消えていく

AIに質問すると、短時間で複数の案が出てくる。

それぞれの長所と短所を比べてもらい、追加の条件を伝えれば、さらに候補を絞ることもできる。

そして最後は、「今回はこれでいこう」と自分で決める。

問題は、その瞬間には納得していても、選んだ理由を記録していないことだ。

何を優先したのか。
なぜ別の案を採用しなかったのか。
どの情報を信用したのか。
何を不確定なまま残したのか。

こうした判断は、完成した文章や資料だけを見ても分からない。

結果だけが残り、そこへ至った理由が消えていく。

チャットの履歴は、判断の記録ではない

AIとの会話を保存しておけば十分だと思うかもしれない。

しかし、チャットに残っているのは、AIが何を提案したかである。

人間がどの案を採用し、なぜ採用したのかまでは、必ずしも記録されていない。

長いやり取りの途中で方向性を変えた場合は、なおさら分かりにくい。

AIの回答履歴と、人間の判断記録は別のものだ。

AIが出した案をすべて保存するより、最後に自分が決めた理由を数行残した方が、あとで役に立つこともあると思う。

今回の記事選びにも、判断があった

今回、次の記事を何にするかで迷った。

一つは、前の記事で扱った斎藤知事や政治家の責任について、さらに掘り下げる案。

もう一つは、AIと個人の仕事という当初のテーマに戻る案だった。

どちらにも続ける理由がある。

兵庫県問題を続ければ、政治家の責任について具体的に考えられる。一方、すぐに政治記事を重ねると、もともとのAI仕事論が見えにくくなる可能性もある。

そこで今回は、まずAI側へ戻り、「判断の記録」を考える記事を作ってみることにした。

この決定を簡単に記録すると、次のようになる。

問い
次は政治家の責任とAI仕事論のどちらを扱うか。

選択肢
斎藤知事の問題を掘り下げる/AIと個人の仕事へ戻る。

今回の決定
先にAI仕事論へ戻る。

決めた理由
一連の記事の出発点がAIによる仕事の変化であり、まずその流れを固めたいから。

保留したこと
斎藤知事と第三者委員会の問題は、別の政治シリーズとして扱う。

これだけでも、後から見たときに「なぜこの順番にしたのか」が分かる。

判断ログは、5項目あればいい

判断の記録といっても、長い議事録を作る必要はない。

仕事のたびに詳しい記録を作っていたら、それ自体が負担になってしまう。

まずは次の5項目で十分だと思う。

  1. 何を決めようとしているのか

  2. どんな選択肢があったのか

  3. 最終的に何を選んだのか

  4. なぜそれを選んだのか

  5. 何を未確定のまま残したのか

大切なのは、AIの回答を要約することではない。

自分が何を優先し、どの不確実性を引き受けたのかを残すことだ。

記録する目的は、自分を正当化することではない

判断ログは、「自分は正しかった」と証明するためのものではない。

むしろ、間違えたときに修正しやすくするためのものだ。

結果が想定と違ったとき、当時の判断材料が残っていれば、どこに問題があったのかを考えられる。

情報が足りなかったのか。
優先順位が違っていたのか。
AIの提案を信用しすぎたのか。
分かっていたリスクを軽く見たのか。

判断の過程が残っていなければ、結果だけを見て「失敗だった」「次は気をつけよう」で終わってしまう。

それでは、次の判断に経験を生かしにくい。

AI時代の仕事には、判断の跡を残す作業が加わる

AIによって、調査や整理、文章作成にかかる時間は短くなった。

その分、人間は以前より多くのことを、短い時間で決めるようになる。

だからこそ、何を決めたかだけでなく、なぜ決めたかを残す必要が出てくる。

問いを立てる。
AIから選択肢を得る。
人間が決める。
結果を引き受ける。
そして、判断の理由を次に残す。

AI時代の仕事は、この流れになっていくのかもしれない。

私自身、これまで判断の理由をきちんと記録してきたわけではない。まずは今回の記事選びのように、大きな判断をしたときだけでも数行残すところから試してみたい。

その記録が本当に役に立つのかは、これから確かめていくことになる。


▼あわせて読む

・問いを立てることが仕事になった

https://note.com/poliplus/n/n2f0ca1c8fe99

・AI時代、人間に残るのは「決断」と「責任」

https://note.com/poliplus/n/n2e4c902fa319

・1本の動画を複数媒体へ展開するAI運用設計――人間に残す判断と責任

https://note.com/poliplus/n/nfa84bc37af7a

・判断ログを3日だけつけてみた。いちばん書きにくかったのは「理由」だった

https://note.com/poliplus/n/n4d8b3698ef73

・政治家に必要なのは無謬性ではなく、間違いから逃げないこと

https://note.com/poliplus/n/nda124b166847

▼このテーマのまとめ

・AI×発信ノウハウまとめ

https://note.com/poliplus/n/ncd6194c20727

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