書く人に『書く人の幸福論』を
文学フリマ京都10で購入した『書く人の幸福論』。
著者の山王かおりさんから直接手渡していただいたこともあり、内容がリアルに伝わってきて、幸せな読書時間を味わうことができた。
感想を一言で表現するなら、私のために書いてくださった本かと思った。
たぶん、この本を読まれた「書く人」は皆さんそう思われたのではないだろうか。
良い本というのはそういうものだと、どこかで聞いたことがある。
30年近くライターとして、書くことを仕事にされてきたかおりさん。
書くことのプロだ。
この本を読む前は、ライターのかおりさんが日ごろは書けないご自身のことを書かれたエッセイなのだろうと想像していた。
もちろんそのとおりなのだけれど、読んでみるとご本人のエピソードという枠を超えた、これはまさに「幸福論」だった。
読んだ後で、帯に書かれている言葉に気づいた。
「あなたの足もとを照らしたい」
かおりさんが光を見たときのように、私の足もとを照らしてくれるような本だと思った。
◇
40代の終わりのころだったか、書く仕事をしたいと思ったことがあった。
副業として挑戦しようと、地元の情報紙に面接に出かけた。
そして、名前を書いて使える名刺カードもいただいたのだが、取材に行く勇気が持てず、挑戦する前に撃沈した苦い思い出がある。
その後、産業カウンセラーとして書くチャンスがあり、地元の経済紙に何度か書かせていただいた。
署名入りの記事は自信になったが、続けるにはカウンセラーとしての経験がなさすぎた。
そんなわけで、書くことを仕事にしないままここまできた。
◇
そんな私から見るかおりさんは、プロ中のプロなのだが、最初からそうだったわけではないことがわかる。
常にこれでいいのかという姿勢は意外なほど謙虚で、フリーだからこその綱渡りのような日々は、胸に迫るものがあった。
しかし、そのひたむきさが運を運んできたんだと、いくつかのエピソードから感じられる。
ライターの仕事に怖気付いた私には、かおりさんの覚悟は想像を超えている。
そして今、書く仕事はAIにさせれば楽になると言われることについて、「なぜ一番楽しいところをAIにさせるんだ?」とかおりさんは言う。
本当にそこなのよ!と心の奥から共感した。
AIが書けるものは、AIに任せればいいことだ。
手間も経費もかからなくなる。
でも、かおりさんが書かれるようなエッセイは今のAIには絶対書けないし、私自身もそうありたいと思っている。
かおりさんの本を読んでいると、「私はこう思うんだけど、あなたはどう?」と話しかけられているようだった。
同じようにはできないけれど、やっぱり私も書くことで幸せを味わっているんだと再確認できた。
謙虚でありながら、書く人の矜持と心の奥で燃え続ける炎を感じながら読み終えた。
この本に出会えたことを幸せに思う。
発行日が決定したとのこと、書店やAmazonで購入できるようになります。
全力でおすすめします。
いいなと思ったら応援しよう!
もしもあなたの心が動いたら、サポートいただけると嬉しいです。
書き手よし、読み手よし、noteよし、そんな三方よしのために使わせていただきます。