【創作大賞感想】①「野やぎさん」生きてるだけで加害を生き抜く。
わっかるぅぅーーー!
一発目から簡潔すぎる感想で申し訳ない。でも、この記事を読んで、まずそう思ったのがそれだった。
私自身、在宅で独身、はたから見れば「何やってんのこの人」と指さして言われても首をすくめるしかない謎のおばさんである。
時折、街中を歩くだけならば、なんとか平静を保っていられるけれども、ほほえましい親子が遊んでいる休日、公園の近くなどを歩き時にはスッーーと背中に緊張感が走る。
私、ここを歩いていいんだろうか……。
昨今、不審者の通報は数多い。
化粧っ気もなく真っ黒(無印のワンピースは黒かった)なおばさんが、子供のいる公園の周囲を歩いている、この文体で分かるように、すでに私は通報されてもおかしくないので謝るしかなしすみませんごめんなさい。
ーーー私は散歩もしちゃならんのかい!
自分で書いておいて即座に突っ込みを入れてしまったが、子供の親からしてみればたまったものでないことぐらいはわかる。ああ、私も貝になりたい。
ただ、野やぎさんに一つだけ言いたいことがある。
さすがサバイブ上級者、会話の様子を見るに、もうちょっと息を緩めても大丈夫ではないでしょうか!?
「髪切ったら幼くみられてー」
そう言われた女性の方は、たぶん心の中にクッションを持っている。
もちろん、野やぎさんの脳内に現れたマナー講師のいうことはすべて正しい。
でもね。
きっと、会話している女性にはちゃんとあると思うんだ。野やぎさんへのフランクな信頼が。
ーーこの人なら、きっと私の容姿に対して奇妙なことは言わないだろう。
そういう会話の上でのクッション(信頼)があると思う。
みんな心の中に信頼のクッションを持っている。あるいは覚悟と言ってもいい。
相手を信頼しているからこそ、自分の容姿について意見を求める小さな覚悟。
サバイブで必要なのは、もしかしたら「相手を傷つけてしまうかもしれない」という心配と、「多少傷ついても受け止める」覚悟かもしれない。
もちろん、そんなものないほうが絶対にいい。
特に覚悟の方はたぶん、今の世の中だと「持つ必要なんてない」というのが正解なのかもしれない。
それでも、人と人だ。残念ながら貝にはなれないんだ。
だから、野やぎさんが返した言葉は正解だと思うんだ。
仮にも一人の女性として言うならば、容姿について、自分から異性に「こうだったんですー」というのなら、「よっしゃ何でも受けて立ってやるぜ」という覚悟をしているものだと思う(少なくとも私はそうである)。
私にも、野やぎさんの状況と大変よく似た経験がある。
「千羽さんって幼く見えますね」
異性から突然そういわれ、私は正直ちょっと嬉しかった。
けど「ふふ、そうでしょう?」なんて言ってみろ。
なんて自信過剰な奴だと思われるに決まっている。
だがしかし「え?そんなことないですよ」と返して見ろ。
なんか普通過ぎん?
会話のテンポは野やぎさんの中にいるマナー講師からお借りすれば0.2秒。
この思考回路に費やしたのがたぶん0.1秒。やっべぇどうかえせばええねん。
そうして口から出てきた言葉は。
「いやぁ、この年まで落ち着きがなくって」
お? なかなか面白い返しができたな。笑って返してくれるかな。
「そうですね」(真顔)
そうですね!? そうですねなんだ? 笑ってくれないんだ!?
ってかむしろ失礼では? そこは否定しろよコラァ!
……いや待てよ。相手も正解はB、じゃなかった。「そんなことないですよ」という典型を求めていたのでは、と後に気づく……。
ーーということもある。
以来、私は覚悟を決めるようにした。武士かお前は。
野やぎさんのエッセイを読んで、もう最初から最後まで頷くしかなかった。
このご時世、年上の人、同世代の人、年下の人、誰もが柔らかく繊細なNGゾーンを持っている。
誰でも、ふとした瞬間にそのゾーンを傷つけてしまう可能性もある。
「何話せばええねん」
そう自問しながら、それでもこの世の中を生きていく。
素晴らしいエッセイ、ありがとうございました!
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