砂浜 和田長浜海水浴場 彼女はそこを なはま と呼んでいた Sur la plage de Nahama, un lieu chargé de souvenirs
ヘッドライトの筋が本当にクルマのボディ両側から一筋ずつ伸びて
夜の海と、夜空の曖昧な境界である、昼間なら水平性として見えている
ところまで伸びた
けれど、最後までは届かず、最後は曖昧な光のカーテンの様に
明るさは、やがて希釈され夜に飲まれる
夜には、星が一面 とは、とても言えないけれど
まるで星さえ見えない都会のそれとは違い
星として空に見えている
シロッコの少し寝たフロントガラス越し
僕ら4つの瞳で見つめる空
一瞬流れた流星に、二人同時声をあげた
「願い事っ そんなの無理だよ」
つぶやく彼女の声は、寂しげ
「見れただけで、実は僕 願い事叫んでた 声にならないけれど」
「え、なんて どんな願い事」
「づっと愛していさせてほしい 君のことだけをと・・」
彼女は何も言わず、もう一度、視線を空に
そして静な海が
「あ・・」
星が流れ
彼女が言う
「わたしも」
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和田長浜海水浴場 地元に住む彼女は、ここを なはま と そう呼ぶ
134号から、不意な横道で分岐すると、アスファルトの道路は、やがて砂が浮き始めて、さらに進むと道は少し広くなる
無機質な公共の施設の窓のない建物を通り過ぎると
広い一面の海のスペース
砂浜が海まで続く、その陸側の手前が
広大なスペースになっていて、ここにみな駐車していた
無造作にクルマを停めても
何の問題もないくらい広いその場所で
僕らは、エアコンを切り、左右の窓を、ルーフを開く
センターコンソールに置いたキャスターのソフトパックから
取り出した1本に、ジッポーの火を移す
彼女の横顔がサイドシートに座った姿勢のまま
ライターの火に浮かび上がった
リクライニングを少しだ倒して
空いたルーフ目掛けてタバコの煙を吐き捨てる
緩やかに昇る煙が
車外に出た途端外気に揺られ流されて消えた
車内には、バニラフレーバーの香り
彼女は持ってきたポットからコーヒーを注ぐ
僕らは、そのコーヒーを飲む
だたそれだけのことを、僕らは何度と無く繰り返しつつ
10年の月日を過ごしてきた
出逢いは大学時代
それからもう10年
クルマは、
シロッコからゴルフGTIにそしてアウディ80 2.0E へと変わったけれど
僕ら自信はあの頃のままでいたいと願った
そう、シロッコの窓越しに星に願いをかけた夜から
僕らは、それから暫くして
結婚をして
もう なはま ヘは通わなくなった
そして、すれ違い すれ違い
他人になった
Souvenirs 1986–▓私は片岡義男先生の作品が大好きです
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▓画像はAI生成です
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